37歳で脱サラして酒場の世界に転身!
生まれ育った地元で人気酒場を作り上げ
第2の人生を歩み始めた男の物語
「串焼き」の旨さとボリュームに驚き!
今宵の舞台は東京都品川区西小山。品川区と目黒区のほぼ境界に位置する東急電鉄目黒線・西小山駅から、区境の道を歩いて、きたろうさんと武藤さんが向かったのは、令和2年創業の「つなぎや」だ。店を切り盛りするのは、ご主人の西嶋健太郎さん(48歳)と妻の優子さん(48歳)。黒を基調とした落ち着いた雰囲気の店内で、さっそく、ふたりは、焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」。
最初のおすすめは、「まぐろの青唐醤油」。一口サイズに切ったまぐろの刺身を青唐辛子、米麹、みりんを加えた自家製醤油で味付けし、オニオンチップなどをトッピング。青唐のピリ辛とオニオンチップのカリカリ食感もアクセントになり、「ちょっとパンチが利いた味! おいしい〜」とうれしそうな武藤さんだ。
開業は3年前。店名には、「人と人がつながる場所にしたい」という思いを込めた。西小山で生まれ育ったご主人は簿記の専門学校を卒業後、一度は家具メーカーに就職したが、37歳で脱サラし、酒場の世界に飛び込んだ。26歳の時に結婚した優子さんは専門学校の同級生。二人の子宝にも恵まれ、順風満帆な日々の中、ご主人が転職を告げたのは、結婚から10年後だった。優子さんは反対することなく、「やらないで後悔するよりは、やってみてダメならまた考えればいい」と背中を押したそうで、きたろうさんは、「いいねぇ、そういう人がいてくれるとね!」。
次のおすすめは、備長炭で丁寧に焼き上げる「合鴨」と「つくね」。運ばれてきた串焼きを見て、きたろうさんは「饅頭よりデカいよ(笑)」と驚きながら、まずは合鴨からいただいて、「ジューシーで柔らかい!」とさらにビックリ! 武藤さんは、自家製つくねにかぶりつき、「お肉の旨みがすごく感じられて、おいしい〜」と舌つづみを打った。
37歳で転職し、8年後、45歳で「つなぎや」を開業するまで、ご主人は都内の様々な店で厳しい料理修業を重ねた。その間、優子さんは、内装業者の営業事務などで家計を支えたという。「転職して厳しい状況になっても、最低限の生活ができればいいかな、と。私ががんばっていけば、なんとかなるだろうと思った」と、しっかり者の優子さん。ご主人は、「やっぱり、家族があったからやれたんだと思います。一人ではダメだったでしょうね……」と振り返るのだった。
具だくさんの贅沢「お雑煮」に大興奮!
続いていただくのは、「目光(メヒカリ)の唐揚げ」。ご主人が、優子さんの実家で初めて食べて、衝撃を受けたという一品だ。鮮度抜群、揚げたてアツアツをいただいて、「身がほくほくしていておいしい!」と目を細める武藤さん。ご主人は、「せっかくこの仕事についたので、自分も納得して、お客さんにもおいしいと思ってもらえる料理を作りたい」と、「ひめアワビバター醤油焼」、「みつせ鶏のたたき」、「自家製!炙りチャーシュー」など、垂涎もののオススメメニューを揃える。
ご主人にとって、優子さんは「本当のことを言える人。喧嘩もしょっちゅう」と聞いて、「大将、デカい声出すの?」と意外そうなきたろうさん。「いえ、僕は小っちゃい声で」と答えるご主人に、「小さい声だよね〜(笑)。『ありがとうございます』って言ってみて」とリクエストし、ご主人の控えめな「ありがとうございます〜」に、「小っちゃいよ!!」と速攻でツッコむ! 一方、優子さんから見たご主人は、「人に優しくて、悪口も全然言わない。どこで発散してるんだろう?と思うくらい穏やか」とのこと。きたろうさんは、「悪口、楽しいぞ〜(笑)」とニヤけて、今度は武藤さんからツッコミが……。
ここで登場したのは、「お雑煮」! 「岩手県出身の祖母が作るお雑煮が好きだったので」とご主人が再現した。具材は、餅、鶏肉、いくら、銀杏、白滝、筍、にんじん、大根、しいたけ、かまぼこ、ゆず、と、見るからに豪華。きたろうさんは、「これはもうお雑煮とは呼べないな!」と大興奮で、武藤さんも、「いろんな具材の旨みが出て、すごくおいしい」と絶賛だ。
今宵の〆は、「うな丼」を。ご主人が修業先で知り合った仕入れ先から特別に卸してもらう浜名湖産のウナギを秘伝のタレで味付けする。きたろうさんは、「デカい!」とうれしそうに食べて、「あぁ、完璧だ。うなぎ屋のうなぎだ!」と大満足。武藤さんも、「ふわふわっ。甘辛のタレもおいしいですね〜」と味わい尽くした。
酒場とは、「人がつながり盛り上がる場所」と、店名に込めた思いを貫くご主人。優子さんは、「主人の友人が集まることも多くて、この店がきっかけにもなっている。それは主人もうれしいと思います」と言い、きたろうさんは、「みんなも居心地良いだろうね。ご主人はおとなしいし、いじりやすいし(笑)」と納得だ。最後に「奥さんへの気持ち」を聞かれたご主人は、「妻には、ひもじい思いをさせた時もあるので、ゆくゆくは、いろんな所に連れて行ってあげたいですね」と、支え続けてくれる妻への感謝の思いで締めくくってくれた。