趣味のパンクロックで意気投合!
男ふたりで作り上げた人気酒場で
鮮度抜群の絶品料理に舌つづみ!
目の前で叩き割る! 「真鯛の塩釜焼き」
本日の舞台は、東京都世田谷区桜新町。漫画「サザエさん」の作者・長谷川町子(1920〜92)が長年暮らした街だ。きたろうさんと武藤さんは、“サザエさん通り”と名付けられた商店街を歩いて、さっそく、今宵の酒場へ。平成15年創業の「巌廻(がんかい)」は、夜な夜なお酒好きが集まる人気酒場。店を切り盛りするのは、“たきさん“こと、ご主人の滝口基久(もとひさ)さん(47歳)と、”やっさん“こと、店長の田中康介(やすすけ)さん(49歳)だ。きたろうさんと武藤さんは、「楽しみだなぁ〜」と期待を高まらせながら、焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」
最初のおすすめは、「おまかせお造り3点盛り」。この日は、本まぐろ中トロ、キントキダイ、ノドグロ。まずは、軽く炙ったノドグロを塩で食し、「脂がおいしい〜。炙ってあって香ばしい」とウットリする武藤さん。「見た目は金目鯛に似てるんですが、結構珍しい魚」と田中さんが言うキントキダイも、「旨いっ。見事だな」ときたろうさんを唸らせる。
創業20年の店は、田中さんと滝口さんの共同経営だ。店名の由来は、「『巌(いわ)が廻(まわ)る』で、『ロックンロール』(笑)。二人ともロックが好きなんで!」と田中さん。二人の出会いは26年前。当時、六本木のバーで店長をしていた滝口さんと、お客さんだった田中さんが、共通の趣味「パンクロック」を通じて意気投合したという。出会いから3年後、「二人で酒場を開業したい」と、田中さんはサラリーマンを辞めて居酒屋で修業を開始。滝口さんはバーの店長を続けながら、夢を追いかけ始めた。二人で毎月10万円ずつ開店資金を準備し、出会いから6年後、「巌廻」を開業したのだ。きたろうさんは、「余程の信頼関係があったんだね」と感心し、滝口さんも、「本当に足りないところを補いあってる感じ。僕は左脳派で、やっさんは右脳派」と言う。アイデア出しは“やっさん”、それを計算して運営していくのが“たきさん”というわけだ。きたろうさんが、「ロックバンドだったら、たきさんは、ドラムかベースだね」と言うと、田中さんは、「僕は、完全にボーカルですね!」。
ここで運ばれてきたのは、「真鯛の塩釜焼き」! 卵白を混ぜた塩で真鯛を包んでオーブンで焼き上げてあり、目の前で塩釜を叩き割ってくれる。居酒屋では珍しい光景に、きたろうさんは驚きながら、「香りもいいよ、これは魚も大喜びだね!」と大興奮。武藤さんも、一口食べて、「身がふわっふわ! 塩加減もいい〜」と感激だ。
スープの旨みに悶絶! その名も「貝風呂」
開業時は、「若さと無謀さで、『やっちゃえ!』って感じでした」と振り返る滝口さん。当初は、同業者が仕事終わりに来られるよう、夜中の3時まで営業したそうで、その戦略は功を奏したというが、人気酒場となった今でも、ふたりは地道な努力を続ける。そんな“やっさん”と“たきさん”の信頼関係は、「小さな喧嘩はあっても、崩れることはない」とか! 滝口さんは、「細く長くやっていくには、お互いあまり期待しすぎないこと。やってくれることを期待すると疲れちゃう。やってもらったら、感謝すればいい」と言い、きたろうさんは、「いい関係だなぁ〜」と頷くのだった。
ところで、ロック好きな二人の店で、「普段どんな音楽がかかってるの?」と興味深々なきたろうさん。流れてきたのは、テンポの速いパンクロックで、「なんか早く食べなきゃいけないような気がしてきた」と焦る武藤さん。きたろうさんも「魚を食う音楽じゃないよ!」と苦笑いだ。
次は、揚げたての「とうもろこしのかき揚げ」。旬によって産地を変え、「今は鹿児島とか四国。もう少ししたら北海道です」と田中さん。「家で作って大失敗したことがある」という武藤さんは、「甘いっ。サクサクでおいしい〜」と舌つづみを打った。
続いて、アサリやムール貝、イカのゲソなどを酒蒸しにしたオリジナル料理「貝風呂」を。「今日はゲソも入ってるから、混浴(笑)」と滝口さん。貝の旨みが凝縮されたスープが絶品で、「すんごくおいしい!!これは、もう、黙々と食べちゃう」と止まらない武藤さんだ。
メニューはふたりでアイデアを出し合って完成させていくそうで、オススメメニューには、「マグロカマ塩焼き」、「いぶりがっこポテトサラダ燻製半熟玉子のせ」、「どでかい3本串盛り合せ」など、食べてみたい料理が目白押しである。
〆は、新鮮な魚介を贅沢に使った「海鮮炊き込みご飯」。土鍋の蓋を開けると、アサリやホタテ、真ダコにイクラなどが彩りよく盛られ、「これは楽しい。遊び心がある」ときたろうさんは大喜び! 武藤さんも、魚介のエキスが滲み込んだ炊き込みご飯をたっぷりと味わった。
最後に、「酒場とは?」を尋ねると、“たきさん”は、「ガチャガチャした音とか、お客さんのワイワイした音」と言い、きたろうさんは、「酒場とは音」ってことだねと納得。“やっさん”は「人生最大の趣味」と答え、「いいねぇ、自分のことしか考えてない!」と、きたろうさんを笑わせた。