16歳で和食の道に!
22年の修業を重ねたご主人が作る
鮮度抜群の魚を使った絶品料理の数々
今が旬「はもの梅肉天ぷら」に舌つづみ!
今日の舞台は、東京都品川区大井町。天台宗久遠山東光寺を訪れたきたろうさんと武藤さんは、“トイレの神様”といわれる「烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)」にお参りして、さっそく、今宵の酒場へ。令和2年創業の「料理屋 幸森(ゆきもり)」は、こだわりの魚料理が味わえると地元で評判の店だ。清潔感あふれる店内の様子に、「料亭の雰囲気だね」と期待が高まるふたり。迎えてくれたご主人の幸森洋一さん(41歳)に、焼酎ハイボールを注文して、「今宵に乾杯!」。
「暑いときは、たまんないね〜」と喉を潤すふたりの前に出てきたのは、見た目も涼しげな「先付け」だ。菊と海ぶどうの酢の物、焼き芋豆腐、夏野菜の揚げ浸し、そうめんの煮凝りの4種が並ぶ。武藤さんは、「さっぱりしてておいしい〜。外の暑さを忘れますね」と感激! ひとつひとつが手の込んだ料理で、「季節ごとに、手を替え品を替え、作っています」と胸を張るご主人だ。
次にいただくのは、毎朝豊洲市場で仕入れる鮮魚の「お造り5点盛り」。この日は、本まぐろ(中トロ)、さわらの炙り、あおりいか、尾長鯛、平目のうにのせ。武藤さんは、丁寧な包丁さばきのあおりいかを味わい、平目のうにのせを食べては「う〜ん、おいしい〜」とうっとり! 続いて尾長鯛を口に運んで、「上品な甘み。口の中が幸せ」と目を細める。
お客さんの半分以上は地元の方だそうで、ご主人自身も大井町の出身。都内の高校を中退して、16歳で和食の世界に飛び込み、新橋や銀座、日本橋など5つの日本料理店で厳しい修業を積んだという。修業の途中で、嫌になって、IT系の仕事を1年やったというが、「やっぱり板前をやりたい」と料理の世界に戻り、修業を始めて22年、生まれ育った大井町に自分の城を構えたのだ。
さて、ここで、今が旬の「はもの梅肉天ぷら」が登場! 梅肉を挟んだ「はも」をしそで巻いてカリッと揚げる。きたろうさんは、「揚げたては旨いねぇ〜」としみじみ。武藤さんも「梅肉がさっぱりして、おいしい!」と舌つづみを打つ。
ふわふわ穴子にタレを絡めて!
「穴子の炊き込みご飯」
店を開業した3年前は、コロナ禍の真っ只中。しかし、後戻りはできず、ご主人は、「もうドキドキでした」と振り返る。きたろうさんが、「でも腕に自信があるから、何とかなるだろうって感じだったんだ?」と言うと、「まぁ、何かあったら、地元の人が助けてくれるだろうって」。そう話すご主人の笑顔に、確固たる自信が垣間見えた。
ところで、板場にズラリと揃えられた何本もの包丁に興味津々のきたろうさん。ご主人は、「私、刃物フェチで。包丁が好きなんです」と、食材や用途に応じて数十本を使い分けているという。約30万円の刺身包丁や、30歳記念に作った包丁などを披露しながら、「趣味なんですね。包丁に散財してしまう。これがなければ、もう2年くらい早く店を持てたと思う」と苦笑い。きたろうさんは、包丁を握らせてもらい、「重たい! やっぱり持ちごたえがある」と納得。ご主人は、お客さんの目につくところに包丁を並べて、「しれっと自慢するんですよ」と満面の笑みを浮かべ、武藤さんは、「オタクですね! 包丁の話、してるときが一番楽しそう」と笑うのだった。
次のおすすめは、ご主人自慢の「銀だらの西京焼き」。白味噌と酒粕を合わせて作る自家製味噌が、脂ののった銀だらと相性抜群! こんがりと焼きあがった銀だらに、武藤さんは「ほくほくで、脂がおいしい〜」と感動するばかり!
毎朝、自ら豊洲市場に足を運び、仲買人とコミュニケーションを取りながら魚を仕入れるご主人。仲買人からの評価も高く、「ご主人は、すごい真面目で誠実。魚の目利きもいいから、私たちも努力してます」と、お墨付き。当然、店のオススメメニューも、「珍味盛り合わせ」、「自家製からすみ」、「紙鍋(ねぎま鍋)」など、新鮮な魚を使った絶品料理が目白押しというわけだ。
続いていただくのも、梅肉の爽やかな酸味が夏を感じさせる「いわしの梅煮」。上品な器に盛り付けられた一品に、きたろうさんは、「おしゃれなんだよなぁ」と唸り、「旨い! いわしだってうれしいんじゃない? こんな出され方したら」と味わい尽くした。
最後の〆は、「穴子の炊き込みご飯」を。ふっくらとした穴子とご飯に甘めのタレを絡めていただけば、「穴子がふわっふわ。タレもおいしい! 最後にご飯が食べられてうれしい」と大喜びの武藤さんだ。
店をやる上で、ご主人が一番大切にしているのは、「感謝」だという。「大井町駅から徒歩約12分。結構、駅から遠いのに、ここを目指して来てくださるお客さんもいる。ありがたいですね」と心を込めて客をもてなし、「目標は30年!」と目を輝かせる。そんなご主人にとって、酒場とは、「楽しむ場所。私もお酒が好きなので!」。
訪れる人を存分に楽しませてくれる、大満足な一軒であった。