自由が丘の住宅街に佇む人気酒場
11年間の厳しい修業で培った技が光る
型にとらわれない絶品和食に舌つづみ!
「クジラ刺し」と「ヒラメの昆布〆」に感激!
東京都目黒区自由が丘にやってきた、きたろうさんと武藤さん。さっそく向かった今宵の酒場は、自由が丘駅(東急東横線・東急大井町線)から徒歩約8分、住宅街に佇む「星火(せいか)」だ。ピカピカに磨かれた清潔感あふれる店内で、ご主人の眞形(まがた)賢吾さん(43歳)に焼酎ハイボールを注文して、「今宵に乾杯!」。
最初のおすすめは、「季節の有機野菜のわっぱ蒸し」。色とりどりの野菜に、「おしゃれ〜!」と歓声を上げるふたり。この日は、かぼちゃやスナップエンドウ、紅芯大根にあわび茸など季節の有機野菜が9種類! 「1オーダーで約2名様分のボリュームなので、このように分けてお出しします」と、ひとりずつせいろで提供してくれるのもうれしい。さっそく藻塩をつけていただけば、「野菜の甘みがすご〜い」と目を細める武藤さん。きたろうさんも、「自由が丘に来たって感じ。おしゃれだなぁ」と感心しきり!
ご主人は静岡県の高校を卒業後、上京し、家業の和食店を継ぐため4店舗で修業を重ねたという。19歳〜26歳まで働いた最初の修業先は、「ふぐの調理師免許が欲しかった」と、ふぐ料理店へ。修業は厳しく、しかも寮生活。「仕事から帰ったあと」も先輩と一緒で気が休まらない。理不尽なことも多かった」と振り返る。「親方が作った後の鍋を僕らが洗うんですが、残った煮汁で味見するんです」。そうやって料理を学んだというご主人の話に驚きながら、早くもチューハイをおかわりするきたろうさんだ。
次のおすすめは、「クジラ刺し」と「ヒラメの昆布〆」。しっかり冷やしたガラス皿に盛り付けた刺身に、きたろうさんは、「これだよ、料理っていうのはね! 愛を感じるね」と感激し、ヒラメの昆布〆を食べて、「あぁ、旨い」とため息まじり。武藤さんも、藻塩とごま油で味付けされたクジラ刺しに、「おいしい! ごま油とよく合いますね」と舌つづみを打つ。
さて、ご主人の修業話に戻ろう。26歳から働いた2軒目の修業先は、日本料理店。「結構、料理人がいるお店で。やっぱり人数がいると人間関係がねぇ……」と、今年AKBを卒業した武藤さんと顔を見合わせる。ご主人が修業した1年間で、約20人の料理人が辞めたというから、びっくりだ。
そして、3軒目は、なんと、ラーメン店! 意外な修業先だが、ご主人は、「2〜3年やりました。楽しくて! 初めてラーメンを一から作って、すごく勉強になった」と言う。しかし、ラーメン店で修業中だった28歳の時、継ぐはずだった両親の和食店が閉店。「ラーメンをやってる場合じゃない!」と我に返り、東京での「酒場開業」を目標に和食店へ。29歳から2年間の修業を経て、31歳で夢を叶えたのだ。
人気の火付け役! 「星火ラーメン」
ここで、「燻製の盛り合わせ」が登場! ホタテ、うずら玉子、サーモン、チェダーチーズを桜チップで燻製し、自家製たまり醤油で味付け。「いい匂い〜。しっかり香りと味がついていて、おいしい!」と武藤さん。きたろうさんも、「家庭では食べられないね!」と大満足だ。
店は創業13年目。店名の由来は、「星火燎原(せいかりょうげん)」という中国の言葉で、「星の光のように小さな火でも燃え広がると原野を焼き尽くす(最初は小さな力でも放っておくと手がつけられなくなること)」との意だとか。駅から離れた住宅街という立地もあり、開業当初は、お客さんの入りは全然だったというが、2011年に、メニューのラーメンが雑誌に掲載され、軌道に乗り始めたのだと教えてくれた。
続いては、ご主人考案の創作和食「シラスのあひぃ〜じょ」を。ぐつぐつと煮立ったアヒージョをバゲットに乗せてパクリといった武藤さん。「うわぁ、和風だ!」と目を丸くする。酒盗や塩昆布を使って味付けしてあり、「パンと合うね! これは初めて」と、きたろうさんも絶賛し、ご主人は、「自分の好きなアヒージョをなんとか和風で作れないかと考えた」と胸を張った。
店のコンセプトは、“何を出しても専門店”だそうで、「僕にとっては、しょっちゅう作っている料理も、お客さんにとっては初めて。そういう気持ちで作っています」。オススメメニューも、「銀ダラの西京焼き」「牛すじの煮込み」「がりんこ(平目の皮の素揚げ)」「自家製明太子コロッケ」など絶品料理が並び、お客さんも「おいしい!」と口を揃えるのだった。
最後の〆は、ご主人も「ここまで評判になるとは思ってなかった」と言う大人気の「星火ラーメン」。きたろうさんは醤油味、武藤さんは塩味を! 丸鶏やゲンコツ、日高昆布、煮干し、ニンニクなどを8時間煮込んで作るというスープに、「あ〜、和風だ」と喉を鳴らすきたろうさん。武藤さんは、「やさしい〜。ほっとする味。やっぱり和食屋さんのラーメンですね!」。
酒場とは、「非日常を楽しむ場所」。お客さんが非日常を楽しみ、おいしい料理を存分に味わえるよう、空間を整え、まっすぐ料理と向き合うご主人なのである。