BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS
#449

酒喰処

かぼす

2023/10/28放送

池袋で大分県の郷土料理を堪能!
48歳でサラリーマンから転身した男が
守り続ける大分県人憩いの酒場

大分県の郷土料理「りゅうきゅう」が絶品!

今宵の舞台は、東京都豊島区池袋。きたろうさんと武藤さんは、池袋西口公園から立教通り商店街を歩いて今宵の酒場へ。平成19年創業の「酒喰処 かぼす」は、商業ビルの地下にある隠れ家のような店だ。古き良き大衆酒場の雰囲気の店内で、二代目ご主人の友成(ともなり)哲治さん(59歳)に迎えられ、3人揃って、焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」。

チューハイと一緒に、「今が旬なので」と、ご主人が出してくれたのは、「かぼす」。大分県出身のご主人は、「大分県はかぼすの生産量が全国の約98%。かぼすを何にでもかけるんです。お味噌汁にも!」と言って、地元・大分県の名産が店名「かぼす」の由来だと教えてくれた。

さて、最初のおすすめは、大分の郷土料理「りゅうきゅう」。「りゅうきゅう」とは、青魚や白身魚を漬けにする料理の総称だそうで、この日はぶりを使用。タレで丸一日漬け込んで、すりごまをたっぷりとまぶす。武藤さんは、「ねっとりしていておしいしい〜。ごまがマイルドな味わい!」と舌つづみを打ち、きたろうさんも、「ぶりそのものが新鮮! これは、旨いなぁ」と感激だ。

創業17年目を迎えた店は、ご主人に代替わりして11年目。「かぼす」の創業者である先代が大分県出身で、店には当初から大分県人が多く集まっていたという。大分で生まれ育ち、大学進学を機に上京したご主人も、そんな常連客のひとりだった。大学卒業後は、映像制作や広告関係の会社に勤めていたご主人だが、「大将が引退して店を閉めるという話が出たとき、お客さんから『大分県人が集まる所がなくなるのは寂しい』という声が上がって。じゃぁ、俺がやろうか!」と、48歳で二代目を受け継ぐことを決意した。それまで料理の経験はほとんどなく、大学時代の和食店でのアルバイトや自炊の経験程度。「無謀でした」と認めつつも、49歳で食品衛生管理者の資格を取得し、店を引き継いだのだ。

次のおすすめは「がめ煮」。「なにそれ? 亀を煮るの!?」と驚くふたりの前に出てきたのは筑前煮だ。福岡県や大分県の西部では、筑前煮のことを「がめ煮」と呼ぶという。鶏肉や根菜、椎茸など、じっくりと煮含めた筑前煮を味わい、「出汁が利いてて旨い」、「永遠に食べていたい!」と堪能するふたりだった。

常連客を魅了する「かんかんのとり天」!

ところで、店内には、大分県内の高校別にお客さんの名前や卒業年などを書いた短冊がずらりと貼られている。「お客さん同士がつながるきっかけになれば」と書いてもらっているそうで、「大分市内の方だと、だいたい誰かとつながりますね」とご主人。店に集う大分出身の常連さんに話を聞くと、「同郷で同じ高校だと分かった。まさか、ここで一緒に飲めるとは!」と、31歳差の先輩・後輩が酒を酌み交わしていたり、「方言をしゃべる機会や、いろんな出会いがあって楽しい」という10年来の女性常連客がいたり! 大分愛あふれるお客さんに囲まれ、ご主人も、「池袋に『かぼす』という店があることは、大分市内でも知られているようです」と誇らしげ。もちろん、大分出身以外のお客さんたちも、「ここでしか食べられない秘伝のとり天が、忖度なしに美味しい!」など、飲んで食べて、ゴキゲンだ!

そんな常連客イチ押しの大分名物・とり天が、続いての一品。「かんかんのとり天」は、ご主人が子供の頃、“かんかん”と呼んでいた母親のレシピで作る“おふくろの味”だ。武藤さんはさっそくアツアツにかぶりついて、「味がしっかりついていて、おいしい! 唐揚げの何倍も柔らかくて、軽〜い」と目を細め、きたろうさんも、「大将、48歳から始めたのに、料理上手いね」と感心しきり。他にも、ご主人が作るオススメメニューには、「カキフライ」、「しいたけステーキ」、「クリームチーズえんがわチャンジャ」など、おいしそうな料理が並び、お客さんの舌を唸らせている。

ここで、ご主人が東京の人にも食べてほしいと始めた「大分産豊後牛中落ちステーキ」が登場! 大分県産のA4ランク以上の牛肉を使い、味の決め手は九州地方特有の甘みの強い醤油。武藤さんは一口食べて、「おいしい〜。口の中が幸せ。脂も甘い!」と、もう、頬が落ちそうだ。

そして、最後の〆は、「りゅうきゅう出汁茶漬け」を! アツアツの出汁をりゅうきゅうの上から回しかけ、表面が白っぽくなったところをいただけば、「あ〜、なんとも言えない、飾らないおいしさだね」と喉を鳴らすきたろうさん。武藤さんも「やっぱりご飯にあう! 幸せですね〜」とうっとりするのだった。

店をやっていて楽しいのは、「お客さんと話ができて、いろんな業種の人と交流できること。それから、やっぱり、お客さんと一緒に飲むこと!」とご主人。「ビルの地下の隠れた場所にあるこの店に愛着がある。死ぬまでやりたいと思ってます。40年後かな!」と笑った。ご主人にとって酒場とは、「人が集まって楽しくお酒を飲める場所」。お酒が好きで人が好き。そんな大将の郷土愛あふれる一軒だ。

「かぼす」の流儀

その壱

まずは大分県の郷土料理“りゅうきゅう”を食らうべし!

“りゅうきゅう”とは、青魚や白身魚を漬けにする料理の総称だそうで、この日はぶり。みりん、大分県産醤油、昆布だし、柚子胡椒などが入ったたれで丸一日ほど漬ける。たっぷりかかったすりごまが、漬けの味をマイルドにしてくれる。
りゅうきゅう(ぶり)720円(税込)

その弐

九州北部の家庭料理“がめ煮”を食らうべし!

福岡県と大分県の西部では、筑前煮のことを“がめ煮”と呼ぶそうで、昔はすっぽんを使っていたためそう呼ばれるようになったという説も! 鶏肉、こんにゃく、人参、ごぼう、椎茸、蓮根を使い、かつお出汁、砂糖、酒、醤油で味付けする。
がめ煮(筑前煮)680円(税込)

その参

りゅうきゅうを使った“出汁茶漬け”を食らうべし!

ごはんの上に乗せたりゅうきゅうにアツアツの出汁をかけ、表面が少し白っぽくなる程度にしていただく。ごはんとりゅうきゅう、出汁の旨みが一つになり、飾らない味わいながら、贅沢なおいしさに!
りゅうきゅう出汁茶漬け850円(税込)

きたろうさんから、かぼすへ贈る「愛の叫び」

お客さんから大将に
郷土愛恐るべし

―――きたろう

「酒喰処 かぼす」

住所
営業時間
定休日
東京都豊島区西池袋3-29-4 B1
18:00〜24:00
日曜
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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