東京都北区赤羽で絶品料理に舌つづみ!
和食一筋66年のご主人が
家族とともに守り続ける人気酒場
店内で捌く絶品「ふぐさし」に感激!
東京都北区赤羽にやってきた、きたろうさんと武藤さん。JR赤羽駅から徒歩約5分、昭和44年創業の「ふぐ料理 太助(だいすけ)」が今宵の酒場だ。店を切り盛りするのは、ご主人の井上博行さん(84歳)と長男・博樹さん(59歳)、長女・あゆみさん(56歳)。木のぬくもりを感じる落ち着いた店内で、さっそく、ふたりは、焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」
最初のおすすめは、「ふぐさし」。「いきなり!? 贅沢だなぁ」と大喜びのきたろうさん。一切れ口に運び、「甘っ! 旨っ!」と感激。豊洲で仕入れた国産とらふぐをご主人が店内で捌いているそうで、武藤さんも、「おいしい! これは幸せ〜」とペロリと平らげる。
店は創業55年目。「太助」と書いて「だいすけ」と読む店名は、ご主人の中学時代のあだ名「大助」が由来だそうで、姓名判断で、漢字を「太助」に変えたとか。溌剌とした表情で厨房に立つ若々しいご主人が、御年84歳とは驚きで、きたろうさんも、「お肌ツルツルだね」と感心しきり! 葛飾区立石で生まれ育ち、18歳から都内を中心に多くの和食料理店で修業を重ねたご主人は、「修業は楽しかった!」と断言する。「え!? すごく厳しいイメージなのに」と驚く武藤さんに、「そりゃ厳しいけどね。ロクでもない奴が怒られるだけ」と余裕の表情を浮かべ、きたろうさんが、「周りに女性がいたから!?」とカマをかけると、「あははは!」と大笑い! そして、「根っから料理が好きだった。料理をやめようと思ったこともない。一度決めたらその道を行くだけ!」と迷いなく、その潔さに、武藤さんは、思わず「カッコいい〜!」。
次のおすすめは「自家製あん肝」。「テンションあがるね。めっちゃ旨い!」と舌つづみを打つきたろうさん。生のあん肝に下味をつけ、約1時間蒸すそうで、武藤さんも、「このもったりとした感じがおいしい〜」とたまらない様子だ。
昭和44年、30歳で独立し、多額の借金を抱えて「太助」を開業したご主人。支えてくれたのは、修業時代に出会った妻・悦子さん(享年80)だった。「22歳の時に知り合った修業先の仲居さん。6歳上。恥ずかしいなぁ」と、少年のように照れるご主人。当時の写真を見せてもらうと、22歳のハンサムなご主人と28歳の美しい悦子さんの姿が! 「大将、かっこいい! 色男だねぇ」と大興奮のきたろうさん。「めちゃくちゃモテたらしいです」という長女・あゆみさんの言葉にも納得するばかりだ。そんなふたりは、ご主人が25歳の時に結婚し、「ずっと一緒にやってきて、さんざん世話になりました」とご主人。しかし、様々な苦楽を共にした最愛の妻・悦子さんは、10年前に病を患い他界。生前、悦子さんが座っていた椅子は、今もそのまま残され、にっこり微笑む悦子さんの写真が飾られている。
出汁の旨さが滲みわたる! 松茸入り「土瓶蒸し」
続いては「豚の角煮」を。上品な盛り付けの一皿に、「大将の料理は、謙虚な感じがする」ときたろうさん。一口食べた武藤さんは、「味が滲みて、柔らかくて、おいしい! でも全然脂っこくなくて、いくらでも食べられそう」と大満足だ。
ところで、店内のメニュー看板には、「食べたい料理をお申し付け下さい」と書いてあり、「魚も肉も野菜も、天ぷらでも煮物でも、なんでもできますよ」とご主人。食材があればメニューにない料理も作ってくれるそうで、常連さんたちも、あれこれとわがままを聞いてもらい、「大将は普通の人とは違う! 本当の料理人。ひと味違う」と絶賛。オススメメニューにも、「ふぐの唐揚げ」、「野菜の煮物」、「酒の肴の盛り合わせ」など、垂涎ものの料理が用意されている。
ここで登場したのは、ご主人の自信作、松茸と鶏肉、海老などが入った「土瓶蒸し」。「いい香り! 滲みますね〜。料亭の料理ですよ」と武藤さん。きたろうさんも、「贅沢だなぁ。旨いよ。やっぱり日本人は出汁だよね」と喉を鳴らした。
ご主人とともに厨房に立つ長男の博樹さんは、18歳から店で働き、長女のあゆみさんは忙しい週末に店を手伝うなど、家族全員で店を守り続けている。「父への憧れはやっぱりありますね」と博樹さん。喧嘩をしたこともないそうで、「調理場にいるときは、父は“偉い人”だから」と尊敬の眼差しを向け、「父の味には、まだちょっと追いつかない。なかなか深いです」とも。ご主人は、「家族にはそりゃ感謝してますよ。でも、お返しはあんまりできないね」と照れ笑い。そんな様子に、きたろうさんは、「なんだかいい家族。いい店だね」としみじみと頷くのだった。
最後の〆は「太助めし」を。野菜や魚介など8種類の食材を使い、せいろで蒸した彩り美しい一品に、きたろうさんは、「ひな祭りが来たみたい。旨いなぁ。味が濃くなくて絶妙なバランスなんだよ」と感激しながら味わい尽くした。
「大将は何より元気。その姿が見られるだけでうれしい」と常連さんたちからも慕われ、「何年できるか分からないけど、できるだけやります!」と力を込めるご主人。酒場とは、「和気あいあいと飲む場所。それが一番じゃないですか!」。元気なご主人と絶品料理に魅了され、再訪必至の名店である。