東京都狛江市で創作和食に舌つづみ!
33歳の若さで酒場を開業し
妻と二人三脚で人気酒場を守る男の物語
一番人気!「冷製生湯葉とウニの吉野あんかけ」
本日の舞台は、日本で2番目に小さい市である東京都狛江市(市の面積6.39平方キロメートル)! きたろうさんと武藤さんが向かった今宵の酒場は、小田急電鉄狛江駅南口から歩いて約1分の「もも亭」だ。清潔感あふれる明るい店内で、ご主人の栗原大輔さん(50歳)と妻の千恵子さん(39歳)に迎えられ、さっそく、ふたりは、焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」。店は創業18年目。「ここには5年前に移転してきて、その前もすぐ近くで13年営業してました。ずっと狛江です」と教えてくれるご主人も、狛江市出身だ。
さて、最初のおすすめは、「冷製生湯葉とウニの吉野あんかけ」。ワイングラスに盛り付けた生湯葉に冷たい餡をかけ、ウニをトッピングしたおしゃれな一品は、「このフォルムが女性を惹きつけるんです」とご主人。武藤さんも「こんなの初めて!」と大喜びしながら、「湯葉がとろとろ。お洒落過ぎて、どう表現したらいいのか分からないけど、おいしい〜」と頬が落ちそう!
ご主人が料理の世界に入ったのは、「高校の先生に、『君は寡黙なタイプだから、板前とかいいんじゃない?』と勧められ、軽い気持ちで」というが、高校卒業後、麻布十番の会席料理店で修業を開始すると、「毎日が新鮮で楽しくて仕方なかった」と料理人の仕事に魅了され、5年間、料理の基礎を学んだ。そして、都内の和食料理店や創作料理店などで9年間修業を重ね、平成18年、33歳の若さで「もも亭」を開業したのだ。
続いては、「白子の茶碗蒸し」を。出汁が利いたなめらかな玉子とトロトロの白子が口の中で混ざり合い、たまらないおいしさ! 「うちは繁華街ではないので、地元の子育て世代やお年寄りにも食べてもらえるように料理を考えている」そうで、オススメメニューにも、「刺身おまかせ盛りあわせ5点盛」、「銀ダラ西京焼き」、「ふぐ唐揚げ」、「もも亭風ぶり大根」など、おいしそうな和食がズラリと揃う。
ところで、ご主人と千恵子さんの出会いは、17年前。もともと千恵子さんのお姉さんが、ご主人と飲み仲間で、「もも亭」の開業に、姉妹でお祝いに行ったのがきっかけだ。「そしたら、料理がおいしくて、胃袋を掴まれて! それで結婚することに(笑)」と千恵子さん。結婚前は医療機器メーカーに勤めていたが、「医療に携わっている実感が持てず悩んでいたら、彼に、『ご飯を提供することも、食べる人の健康を担ってる。それも医療の仕事じゃない?』と言われて」目からウロコ! 結婚後、退職し、店を手伝い始めた。「おいしいって笑ってくれるお客さんを見ると、充実感が全然違う。自分の仕事で誰かが喜んでくれるのがうれしい」と目を輝かせる千恵子さんだ。
結婚の決め手は「里芋の揚げ出し」!?
そんな千恵子さんの胃袋を鷲掴みにした料理が、「里芋の揚げ出し カニときのこのあんかけ」! 武藤さんは「里芋がねっとりホクホク。外側がカリッとして、カニときのこの餡が合う〜」と目を細め、「これで、結婚したんだー!」と興奮気味!?
開業当初は、お客さんが入ってくれるか不安だったと言うご主人。18年来の常連さんは、「開店祝いにお花を持って行ったら、大将は何も喋らない。料理は最高なのに、無愛想で。これじゃ潰れると思いましたね」と笑う。ご主人も、「お前に足らないのは“笑顔”と言われた」と振り返り、「最初は、『何を!』と思いましたが、よくよく考えたら……」と反省。今では、ご主人もお客さんも笑顔の絶えない人気酒場となった。「いいお客さんと出会ったねぇ」と感心しきりのきたろうさん。常連さんは、「奥様の教育ですよ!」と言い、ご主人も「妻は本当にしっかりしてる。お金の管理が!」と笑うのだった。
ここで、「やわらか牛タンステーキ モンゴリアンソース」が登場! 6時間煮込んだトロトロの牛タンを、アジアの調味料とパインジュースなどを使ったモンゴリアンソースで絡め焼く。スパイシーかつ甘酸っぱい、どことなくアジア風な一品に、ふたりは箸が止まらない!
「料理って、みんなで楽しく食べれば、体にも心にもいいと思ってます。みんなでニコニコしながら食べてほしい!」と、こだわりを語るご主人だが、「でも最初は笑ってなかったんでしょ!?」ときたろうさんにツッコまれて、タジタジだ。店をやる上で大切にしているのは、「清潔感」。営業後は1時間かけて掃除するそうで、千恵子さんは、「朝8時半に家を出たら、夜中の2時まで帰ってこない。でも、仕事が辛いと思ったことは1回もないらしく、なんて幸せな人なんだと思いますね。それに、どんなに遅く帰っても、朝は必ず子供たちと一緒に過ごしてくれる」と、ご主人への感謝と尊敬の念が入り混じるのだった。
〆の一品は、「猪豚とキノコのごはん」。「旨みが強く脂がさっぱりした猪豚はご飯と炊き込んでも全然くどくない」そうで、きたろうさんも、「本当だ。さっぱりしてる。全く嫌味がないね!」とペロリと平らげた。
ご主人にとって酒場とは、「いろんな人が集い、同じものを食べる。空間を共有して、その一瞬を楽しむ場所」。みんなが笑顔で過ごせる、心地よい酒場なのである。