親子で開業して35年!
常連さんに愛され続ける人気酒場で
安くて旨い絶品料理に舌つづみ!
名物「牛もつ煮込み」は一味違う!
新年最初の放送で、きたろうさんと武藤さんが訪れたのは、東京都江東区木場。お邪魔したのは、東西線木場駅から7分ほど歩いた、安くておいしい料理が味わえると評判の「居酒屋 せんて」だ。創業36年目を迎えた店を切り盛りするのは、ご主人の伊丹辰博さん(59歳)と母の芳子さん(81歳)。古き良き雰囲気の店内で、ふたりは、さっそく、焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」
最初のおすすめは、「お刺身三点盛り」。この日は、青森県大間産の本鮪中トロに活〆ぶりと活〆真鯛。鮮度抜群の一皿に「素晴らしいね!」と感激しながら、中トロを食べたきたろうさん。「旨いねぇ。やっぱ、本鮪だねぇ」と舌つづみ! 武藤さんも、脂ののったぶりを食して「おいしい〜」と目を細める。値段の安さに驚くお客さんも多いそうで、ご主人は「儲けは全然ない。でも、儲けるつもりもないし、対価以上のことをしたい」と胸を張った。
御年81歳の母・芳子さんは、「お酒を飲み歩くのが大好き。今でも、年中、飲んでます」という大の酒場好きだ。35歳の時には子育てしながら木場に小料理屋を開業し、明るい人柄も手伝って、瞬く間に繁盛店となったという。しかし、10年後、小料理屋を辞めて息子の辰博さんとともに大衆酒場「せんて」を開業したのは、「息子を一人前にするために、なんとかしなきゃと思って」と芳子さん。「そんな過保護かよ!」とツッコむ辰博さんだが、高校卒業後は23歳まで石工職人として働いていたそうで、「全く違う仕事でした(笑)。でも、お袋が散歩中にこの物件を見つけて、『息子と一緒にやりたい』って、すぐ決めちゃって。お袋がやりたいんだったら、俺も手伝おうかと。あまり先のことは考えず、板前さんを雇って開業した」とのこと。芳子さんも「お金なんかなかったけど、あんまり悩んだり、考えたりしないで生きてきましたね」と話し、「楽天的だね、意外と!」と、きたろうさんを驚かせた。
ここで、店の名物「牛もつ煮込み」が登場! 「普通のとはちょっと違う」とご主人がこだわる、ハチノスと直腸を使った煮込みだ。「旨いよ! しっかり煮込まれてトロトロ。部位が違うから全然違うおいしさ」と、きたろうさん。もともと芳子さんが作っていた豚もつの煮込みを辰博さんが試行錯誤して作り変えたそうで、「お肉食べてる!って感じ」と武藤さんも大喜びだ。
ご主人自慢の「せんて風玉子焼」に感激!
24歳で母親とともに「せんて」を開業後、15年にわたり、板前さんのもとで厳しい修業を重ねた辰博さん。その間、芳子さんも辰博さんを一人前にしようと厳しく接したそうで、辰博さんは、「今で言うパワハラ!? でも、お客さんに褒められると嬉しくて、もっといいものを作ろうと思った」と振り返る。
続いていただく「イカフェ」は、生イカとキュウリやリンゴなどを自家製コチュジャンで和えた韓国料理。「甘口唐辛子なので、見た目ほど辛くない」そうで、武藤さんは、「キムチに似てるけど、ちょっと違う。甘辛くておいしい!」と箸が止まらない!
息子・辰博さんの働きぶりについて、「よく働く方だと思う。おかげ様で、なんとか飯は食えるし、笑っていられる。今は、もう、私はかなわないから、遠慮してます」と芳子さん。きたろうさんは、「いい息子だね。優しいよね」と言い、常連さんも、お店の魅力は「人柄」と頷く。さらに、別の常連さんが、「お母さんもすごくて、毎日、近所の公園や道路の掃除を日課にしている」と明かすと、芳子さんは「そんなの当たり前。元気なんだから」と気取らない。そして、「お客さんは本当にいい人ばっかり。お客さんの笑顔がうれしいし、お客さんを大事にしてます」と充実した笑顔の芳子さんに、辰博さんは「逆に大事にされてんだよ」と優しく声をかけた。
次は、「せんて風玉子焼」を。お好み焼きのような見た目だが、小麦粉は使わず、卵にキャベツやエビ、イカ、山芋などを混ぜ合わせて焼き上げるふわトロの玉子焼。「出汁もしっかり利いてて、旨い!」ときたろうさん。武藤さんも頬が落ちそうだ。
料理のこだわりは、「いいものを安く提供すること」。オススメメニューにも「ポテトサラダ」や「ハムカツ」、「焼鳥(塩)盛り合せ」、「銀だら煮付」など安くて旨いものが揃う。店を長く続ける秘訣は、「とにかく毎日、がむしゃらにやるだけ!」というふたり。芳子さんに「これからの夢」を聞くと、「考えたことない」とつぶやいて、「道路の掃除とか……」。あまりに素朴な答えに、きたろうさんは思わず笑いながら、「でも、それが一番!」と納得するのだった。
最後の〆は、アツアツ「おでん」。白出汁のみを使用し、素材の味と色を活かしたおでんに、「味が滲み滲み。お酒にもご飯にも合う」と喉を鳴らす武藤さん。さらに、旬を迎えたタラの白子を入れた「白子おでん出汁」もいただけば、優しい味わいに大満足!
ご主人にとって、酒場とは、「気持ちをリセットする場所。こういうところで一度気持ちを整えて、ワンクッションおいて家に帰ってもらえたら」。気取らない親子に、ほっこり癒される酒場であった。