東京都江戸川区小岩の人気酒場で
静岡県伊東直送の絶品鮮魚料理を楽しむ
おいしさと安さに驚き!
お酒が進む! 大満足の「お通し5点盛り」
今宵の舞台は、東京都江戸川区小岩。商店街も多く、にぎわう街で、きたろうさんと武藤さんがお邪魔したのは、安くておいしい料理が味わえると評判の「居酒屋 いなか」。ひとりで店を切り盛りするのは、ご主人の藤城功治さん(40歳)だ。明るく居心地のよい店内で、ふたりは、さっそく焼酎ハイボールで、常連さんたちと「今宵に乾杯!」。
まず最初にいただくのは、日替わりの「お通し5点盛り」。この日は、自家製豆腐、レタスのおひたし、黒バイ貝の旨煮、クリームチーズ味噌漬け、シマガツオの南蛮漬け。「5種類お出ししてるので、一品くらいは温かいものを」と、自家製豆腐は温かく、生姜が利いていて、武藤さんもほっこり! どれもひと手間かかったお酒が進む味わいで、おつまみにぴったりだ。
ご主人の藤城さんは、千葉県の中学校卒業後、子供の頃から憧れていた料理人を志し、調理師専門学校に進学。19歳で都内のホテルに就職した。「最初はフレンチをやりたかったんです。でもホテルでは、まず和食をやることになって。そのうちに和食が楽しい!と心変わりした(笑)」という。24歳からは都内の日本料理店や居酒屋などで厳しい修業を重ね、ここ小岩に「居酒屋いなか」を開業したのは、39歳の時だった。
ここで次のおすすめ「お刺身3点盛り」が登場! この日は、カマス炙り、マグロ中落ち、タカノハダイ。静岡県伊東漁港から直送される鮮魚だそうで、「基本的にうちでは規格外や傷物を仕入れて、安く提供しています」とご主人。きたろうさんは、「エライ! 味は一緒だもんね」と頷いて、皮目を炙った香ばしいカマスに舌つづみ! 煮切りみりんと醤油に焼いた昆布と鰹を入れて作る自家製土佐醤油をつければ、さらに味わい深く、武藤さんも「おいしい〜」と目を細める。脂ののったマグロの中落ちも絶品で、早くもふたり揃ってチューハイを「おかわり!」。
コロナ禍の令和4年に開業した店は、2年目を迎えたばかり。実はこの店舗、以前はお好み焼き屋で、ご主人も何度か通っていたそう。「お店をやめると知って、女将さんに店名をそのまま使わせてほしいとお願いしたんです。お客さんとのやりとりが理想的で、雰囲気がすごくよくて。それを引き継ぎたかった」と言う。常連さんも、「改装工事かなと思っていたら、いつの間にか居酒屋になっていて。でも入ってみたら、前の店の雰囲気はそのままだった」と、ご主人の思惑通り! しかし、開業当初はお客さんの入りも少なく、不安だったご主人は、「お客さんにいろいろアドバイスしてもらいました。ひとりでやっていると自分本位な料理になってしまうので、とても助かった」と感謝。常連さんは「頑張って通いましたよ!」と笑うのだった。
「クロシビカマス」の塩焼き&煮付けに舌つづみ!
さて、ここで、ご主人が「本日のお魚です」と、トレーに並ぶ様々な鮮魚をお披露目! イシガキダイ、ムロアジ、ウメイロ、コショウダイなど、ちょっと聞き慣れない魚だが、新鮮さは見て取れる。「お好きなものをお好きな調理法で」とのことで、「高級料理店みたいだよ」と喜びつつ悩むふたりに、ご主人が勧めてくれたのは、「クロシビカマス」。相模湾で水揚げされた深海魚の仲間で、小骨が多いため、なかなか市場には出回らないという。「手間はかかりますが、小骨さえ骨切りすれば、すごくおいしい魚。脂の乗りはノドグロにも負けない」とか! きたろうさんは塩焼き、武藤さんは継ぎ足しの煮ダレを使った煮付けをいただいて、「旨っ!」、「味が滲みてて、おいしい〜」と大満足。ご主人は、「魚として価値がないのではなく、市場価値がないだけ。手間をかければ、おいしくなる」と胸を張った。
料理のこだわりは、「逆にこだわりすぎないこと。こうやって食べるのが当たり前、と決めつけず、どんな食べ方でもおいしければいい」。そんな店のオススメメニューには、「茄子の和風味噌グラタン」、「豚ロース西京焼き」、「牛タン朴葉焼き」、「本鮪のど肉レバ刺し風」など、安くて美味しい様々なオススメメニューも揃っている。
続いては、魚のアラを1時間煮込み、旨みを凝縮した店の一番人気「土瓶蒸し」を。アサリや鶏肉、海老や舞茸などの具材の旨みも加わった出汁に、「あ〜、おいしいっ!」、「もう、日本の文化だよ」と喉を鳴らすふたり。お値段はなんと380円(税込)で、ご主人も「日本一安い土瓶蒸しを自負しております!」。
最後の〆は、この時期うれしい「てっちり」! 「野菜とふぐの味が滲み出てる」と、目を細める武藤さん。豆フグという小さいフグを使うことで680円(税込)という安さ! 「仕入れが安ければ、その分、お客様に還元できるんで」と話すご主人に、きたろうさんは「経済学者になれる。発想が素晴らしいよ!」と感心するばかりだ。そんなご主人にとって酒場とは、「仕事であり趣味の場。毎日が楽しくてしょうがないし、自分自身が楽しんでないとお客さんを楽しませることはできないので!」。