東京都葛飾区のもつ焼き酒場
元イタリアンシェフの主人がつくる
安くて旨い絶品料理に舌つづみ!
2種類のタレで味わう「もつ焼き」!
今宵の舞台は、東京都葛飾区堀切菖蒲園。きたろうさんと武藤さんが向かった今宵の酒場は、京成本線・堀切菖蒲園駅から徒歩1分、平成12年創業の「もつ焼き とん将」だ。コの字カウンター13席の店内に、「下町っぽい雰囲気がいいねぇ〜」とうれしそうなふたり。さっそく、二代目主人の春山剛実(たけし)さん(48歳)に焼酎ハイボールを注文して、「今宵に乾杯!」。
最初のおすすめは、備長炭で焼くもつ焼き「カシラ」と「葱ハラミ」。ちょっと珍しい自家製ポン酢ダレでいただく。「食べ応えあるね。タレが独特」と舌つづみを打つきたろうさん。武藤さんも、「ジューシーで噛めば噛むほど旨みが!」と味わいながら、「串にポン酢って珍しいですね」と感心しきり。実は、店では自家製ポン酢ダレと特製醤油ダレの2種類を用意。ご主人によると、「ポン酢ダレも私がこの店を継ぐ前からあって、当時の常連客さんからのリクエストだったと聞きました」とのこと。ご主人は、もともと、別の場所にあった「とん将」の系列店で10年間店長を務めていたそうで、5年前、オーナーから現在の店を引き継ぎ、二代目オーナーとなったのだ。
続いて、秘伝の特製醤油ダレでいただく「網つくね」と「アブラ」を! つくねを網脂(豚の内臓周りについている網状の脂)で包んだ「網つくね」は、パサつかずしっとりとした食感で、醤油ダレとの相性も抜群! ふたりは「おいしい〜!」と絶賛し、カシラ部分の脂肉「アブラ」を食べては、「脂の甘みをすごく感じるけど、重くない」と舌つづみを打った。ご主人は、前オーナーから特製醤油ダレのレシピを教えてもらうことができなかったそうで、自ら試行錯誤して完成させたとのこと。「タレは店の命。まだこれからも進化していくはずです」と語った。
高校時代、プロサッカー選手を目指していたというご主人。夢はかなわず、一度は都内の銀行に就職するが、もともと料理好きだったこともあり、22歳で転職。東京青山のイタリアンレストランで修業を始め、10年後には副料理長を任されるようになった。「辛いこともありましたが、料理自体を辞めようと思ったことはない。好きじゃなきゃできない世界だとは思いますね」。そんなご主人は、イタリアンレストランで働いていた26歳の時に結婚し、堀切菖蒲園で暮らし始めると、34歳の時に転機が訪れる。「とん将」のオーナーと出会い、系列店の店長を任されることになったのだ。「もつ焼きは食べたことも、焼いたこともなかった。でも、いいタイミングかなと思って」と、ほぼ独学でもつ焼きの技術を習得したご主人である。
イタリアンな濃厚スープ!? 「特製もつつけ麺」
ここで、元イタリアンシェフの経験を活かした「モッツァレラチーズの天ぷら」が登場! 添えられたバジルペーストもイタリアンを感じさせ、「急におしゃれになった!」と目を輝かせる武藤さん。一口食べて、「チーズのトロっとした感じが何とも言えずおいしい〜」とうっとり! 女性に大人気というのも納得だ。
26年前、イタリアンから始まったご主人の料理人人生。43歳で大衆酒場の主になった時、これからも料理の腕を磨き続けようという思いを込めて、名刺には「オーナーシェフ」と記したという。「前よりおいしくなったと言ってもらえることも多くてうれしい」とご主人。常連さんたちからも、「春ちゃんになってから柔らかい雰囲気になって、お店に入りやすくなった!」、「イタリアンな料理もあるから女性ひとりでも来やすい」と大評判! 料理のおいしさとご主人の温かい人柄で、多くの常連客に愛される人気酒場となったのだ。
さて、次にいただくのは、「ポテマカ」。なめらかなポテトサラダとマカロニサラダの2つの味が楽しめる欲張りな一皿。マカロニサラダは、ツナを入れることでしっかりとした味わいに仕上げてあり、「ちゃんとチューハイに合う!」と、きたろうさんもチューハイをゴクゴク!
店のある堀切菖蒲園は、「どこに行ってもアットホームな街」と常連さんたちは口を揃える。ご主人も、「ここは、ザ・下町。とにかく何もない(笑)。地元の方が地元の店で飲んでいるので、噂が広がるのも早くて、私がまだ店を開業する前から、『イタリアンやってた人が店を始めるらしいね』なんて言われましたよ」と笑った。
最後の〆は、もつ煮をアレンジした「特製もつつけ麺」。きたろうさんは、スープを一口、まず味わって、「あ〜、もつ煮にちゃんとイタリアンが入ってる」と喉を鳴らす。武藤さんも、「もつ煮の味はしっかりしているけど、どこかおしゃれ〜」と感心すると、すかさず常連さんが「トマトが利いてますよね、私も大好き〜!」と賛同。その親しげな様子に「親戚!?」とツッコみながら、今度は麺をすするきたろうさん。濃厚なスープとの相性のよさに「めっちゃくちゃ旨い!!」と絶句するのだった。
ご主人にとって酒場とは、「居心地のいい場所」。「この街に気取りはゼロですね!」。まさに下町の居心地のよさ、そのものである。