東京都江東区亀戸で創業26年目!
料理人人生47年のご主人が
家族とともに営む人気老舗酒場
ご主人考案の名物「ブータレ」
今宵の舞台は東京都江東区亀戸。きたろうさんと武藤さんがお邪魔したのは、亀戸駅北口から徒歩4分。創業26年目を迎えた老舗酒場「遊食 こいずみ」だ。厨房で腕を振るご主人の小泉勉さん(65歳)と接客を担当する妻の里花さん(56歳)、そして里花さんの母・田内陽子さん(78歳)さんに迎えられ、さっそく、ふたりは、焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」。
最初のおすすめは、「刺身ミニ盛り」。この日は、中トロ、赤身、カンパチ、スミイカ、アジの5種類。一人で食べ切れるボリューム感に盛り合わせた一皿だ。武藤さんは、脂ののった中トロに「甘〜い」と感激し、スミイカを食べては「ねっとりしていておいしい!」と舌つづみ。きたろうさんは、新鮮なカンパチに「歯応えもちゃんとあって旨い!」と大満足。
江東区砂町で生まれ育ったご主人は、高校卒業後、寿司職人に憧れ、都内の大手寿司チェーンに就職。料理人人生をスタートさせた。しかし、「だんだん料理が面白くなって、煮物や焼き物も覚えたくなった」と、寿司店を6年で退職。以前「夕焼け酒場」でも訪れた九州料理の名店「有燻酒蔵」(2018年11月3日放送)で、15年にわたり料理の腕を磨き、平成10年、39歳で「遊食こいずみ」を開業した。
「修業中大変だったのは、刺身のツマ作り。大根を包丁でかつら剥きして作るんですが、これが難しい。これを剥けなくなったら、店を辞めるつもり(笑)」と語るご主人。その饒舌さに、「今日はよくしゃべるけど、普段は無口」と明かすのは、ご主人の義理の母・陽子さんだ。「でも、料理の腕はピカイチ。手抜きは一切しない」と太鼓判を押し、「『有燻酒場』のママさんたちからも、『一番いい板前さんをとられた』って言われたんですよ」と笑った。
さて、次にいただくのは、ご主人考案の「ブータレ」。豚バラ肉を約3時間煮込んだ後、串打ちし、タレをつけて焼き上げる。「角煮を作るために茹でておいた豚バラ肉を焼いてみたら、おいしくて。豚のタレ焼きだから“ブータレ”」と笑うご主人。ふたりは、照りよく焼けた串にかぶりつくと、「う〜ん、旨いっ。こんなの食べたことない!」、「焼き豚のようであり、角煮のようであり!」と舌つづみをうつのだった。
皮なし!? 「自家製シューマイ」が旨い!
開業時から共に働く、妻の里花さんとは、九州料理店での修業時代に出会ったという。出会いから3年後に結婚し、ご主人が独立したのはそれから6年後。修業先で料理の腕も認められ、2人の子宝にも恵まれる中、39歳での決断だった。「不安でしたよ。でも40歳になる手前だったから、失敗しても、まだなんとかなるかと思った」と当時を振り返る。里花さんの母・陽子さんは、「私は、勤めていてほしかった。いい給料もらってたから。でも好きな料理をしたいって聞いて、それはしょうがないなって思いましたね」。
続いては、皮を使わない「自家製シューマイ」が登場! 餡だけを蒸しあげたシューマイに、「皮なしでもシューマイって言うの!?」と不思議がるきたろうさんだが、一口食べて、「旨いっ! 皮いらない……」と唸るばかり。武藤さんも、「おいしい〜。皮があるから旨みが閉じ込められるのかと思ってましたが、皮なしで十分おいしい!」と感激だ。
お店の魅力について、常連さんたちに話を聞くと、「下町の温かさがある」、「お客さんへの心配り」、「料理も美味しいし、店の雰囲気がいい」と絶賛の嵐! そして、次のおすすめは、そんな常連客にも大人気の「さつま揚げ」を! 2種類の魚のすり身を贅沢に使い、人参、ゴボウを加えて低温で揚げる。武藤さんは「もっちりしてる。味もしっかりしていて、おいしい!!」と目を細めた。
店は、開業当時から順調に客足を伸ばしてきたと言い、それには、陽子さんの存在も大きかったとか。陽子さんは、昭和53年から平成2年までの12年間、亀戸6丁目で酒場「はりまや」を経営していて、その時の常連さんたちが、「こいずみ」を訪れてくれたのだ。開業から25年。今では、かつての陽子さんのお店の常連客と、ご主人の料理に惹かれてやってくるお客さんの相乗効果で、多くの人から愛される人気酒場となっている。
妻の里花さんにもお話を伺うと、「主人と店をやってよかったですね。いろんな人と出会えますし」とニッコリ。そして、「主人があってのお店ですから」とご主人をたてる様子に、「三歩下がってる感じがいいじゃない。今時、ないよ!」と、感心するきたろうさん。母の陽子さんも、「娘にはもったいないくらいのいいお婿さんです! 本当に感謝してます」と、感謝の思いをストレートに言葉にしてくれた。
最後の〆は、ご主人のこだわりが詰まった「焼おにぎり」。「普通は両面しか焼かないんですが、側面も焼く5面焼き」だそうで、醤油だけのシンプルな味付けながら、パリパリに焼き上げた表面にかぶりつけば、香ばしさが鼻孔に抜ける至福の焼おにぎりなのだ。
ご主人にとって酒場とは、「楽しく飲める所」とシンプルかつストレート。里花さんも、「はい、そのとおりです」と、最後まで三歩下がってご主人を支える!!