昭和42年創業の老舗酒場!
亡き父の跡を継ぎ
暖簾を守り続ける夫婦の物語
57年変わらぬ味! 「もつにこみどうふ」
今宵の舞台は、東京都江戸川区篠崎。きたろうさんと武藤さんがお邪魔したのは、昭和42年創業の老舗酒場「酒処 大林(おおばやし)」だ。都営新宿線・篠崎駅から徒歩18分という立地ながら、夜な夜な多くのお酒好きが集う店を切り盛りするのは、二代目主人の青木康徳(やすのり)さん(50歳)と妻の友紀さん(50歳)。コの字カウンターのあるレトロな雰囲気の店内で、さっそく、ふたりは、焼酎ハイボールを注文。こちらの店では、コップになみなみと注がれた焼酎を、自分好みの濃さに炭酸で割っていただく。武藤さんは初めてのシステムに戸惑いながらも、自分でチューハイを作って、常連さんと一緒に「今宵に乾杯!」。
最初のおすすめは、「さしみ盛り合わせ」。この日は、ぶり、まぐろ、サーモン、かんぱち。どれも分厚く食べ応え十分! 脂ののった鮮度抜群のおいしさに悶絶するふたりである。
創業57年の店は、康徳さんの父・博さん(享年82)が開業した。博さんはもともと「大林」という店名の酒屋に勤務し、夜は角打ちで働いていたそうで、独立する際に暖簾分けしてもらったのだとか。康徳さんが、「7年前に亡くなった先代は頑固で自分を曲げない人だった」と言うと、お客さんが、「お父さん、そこにいます」と壁に飾られた写真を指さす。写真の中の博さんは、お酒を片手に優しく微笑み、一緒に酒を酌み交わすかのようだ。そんな博さんの写真を見ながら、「きっぷのいい人だったよ」と教えてくれたのは、「通い始めて半世紀」という常連さん! 別の常連さんが「私は10年。まだまだひよっこ(笑)」と言うと、「半世紀と10年じゃバランスがね……」などと少々調子に乗って、きたろうさんから「聞いてないよ(笑)」とツッコまれるのだった。
続いては、57年続く店の名物「もつにこみどうふ」。もつとこんにゃくを特製合わせ味噌で約2時間煮込み、注文を受けてから豆腐を加える。きたろうさんは、「煮込み方がちょうどいいね!」と目を細め、武藤さんも「もつがトロける〜」と舌つづみを打った。
江戸川区篠崎で生まれ育ったご主人は、大学在学中の20歳から「大林」で働き始めた。「もう店を継ぐと決めてました。子供の頃から、『大林』のせがれとして育ったんで」と振り返る。「修業もここで父から教わった。父とは仲もよく楽しかったですが、頑固だったので毎日ぶつかりあいながら一緒にメニューを作ったり……」と話していると、先ほどの50年来の男性常連客が「焼鳥がないんです」と割って入り、またまた、きたろうさんからツッコみが!
おつまみにぴったりな「カツカレー」!?
次のおすすめは「カツカレー」。「〆じゃないのに!?」と驚く武藤さんだが、登場したのは、ご飯はなく、とんかつに特製カレールーをかけた、おつまみになる一品。「サクサクの衣に、お肉はやわらかくておいしい〜。ルーもお酒に合う味」と、ふたりは大喜びだ。
ところで、店内の短冊メニューを見渡して、「ほとんど400円以下。リーズナブルだね〜」と感心するきたろうさん。女将の友紀さんに「もうちょっと値段上げてほしいと思わない?」と聞くと、「そうなんですが、そんなに上げてもお客さんが戸惑うから」と言い、ご主人も、「なるべく上げないようにしたい」と夫婦で頷きあう。そんな夫婦の出会いは32年前。18歳で出会い、10年後に結婚。友紀さんも「大林」で働き始めた。そして、病に倒れた先代主人から康徳さんは44歳で店を引き継ぎ、「プレッシャーはありましたが、やっていくしかないと思った」とか。お客さんから「味が変わった」などと言われたこともあったそうだが、「店の雰囲気が変わるのはしょうがない」と夫婦で支え合い、「やっぱりお客さんを大事にしたい。先代もそうだったんで」とお客さんとの触れ合いを何よりも大切にする。常連さんは、「今の言葉、うれしいよね。ここに来たら喜んで帰れる。50年も通ってるんだもん。この店が大好き!」と、あふれる「大林」愛を語るのだった。
ところで、博さんの母親、先代女将の悦子さん(80歳)は、現在も息子夫婦とともに元気に働いているとのこと! 恥ずかしがる悦子さんに少しだけご登場いただくと、「息子が継いでくれて嬉しかったですよ」と可愛らしい笑顔を見せ、「息子は主人と似て、頑固です」と話してくれた。
続いての料理は、「ヤリイカトマトバター」。女性客人気No.1のメニューだそうで、武藤さんも「バターのいい香り〜! トマトとイカが合いますね。おいしい〜」と目を細めてうっとり!
そして、最後の〆は、「なべやきうどん」。カツオと昆布の出汁が利いた創業当時からの大人気メニューに、「〆に合うね、実にいい」、「ほっとする味。お出汁が美味しい!」と、大満足のふたりだ。
「一緒に仕事してくれてありがたい」と友紀さんへの感謝の思いを口にするご主人。友紀さんも「楽しいよね、毎日!」とご主人と顔を見合わせ、お客さんからも拍手がおこった。ご主人にとって酒場とは「癒しの場所」。友紀さんは「笑顔で帰れる場所」とのこと。なんとも素敵な一軒である。