粋なこだわり料理に舌つづみ!
創業60年目を迎えた老舗酒場
暖簾を守り続ける夫婦の物語
「生本鮪赤身」3つの部位を食べ比べ!
今宵の舞台は、東京都北区浮間。きたろうさんと武藤さんがお邪魔したのは、JR埼京線・浮間舟戸(うきまふなど)駅から徒歩8分、創業60年目を迎えた老舗酒場「粋肴(すいこう) しま田」だ。清潔感あふれる明るい店内で、二代目主人の嶋田龍三さん(50歳)と和服姿の妻・美穂さん(45歳)に迎えられ、さっそく、ふたりは、焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」
最初のおすすめは、「生本鮪赤身」。「生鮪にこだわって、冷凍は使わない。その時に獲れる一番美味しいものを」というご主人が、この日、仕入れたのは、鳥取県境港で水揚げされた生本鮪。赤身の中でも背骨に近い“骨際(ほねぎわ)”、中トロに近い“背の皮際”、その間の“中間”の3種類を食べ比べる。ご主人曰く「食感も味も全然違う」とのことで、武藤さんはまず骨際を「キメが細かくてギュッとしてる」と味わい、「中間はなめらか。皮際はちょっとトロの感じがする!」と、それぞれの美味しさに驚きを隠せない!
店は創業60年目。龍三さんの父・孝三さんが、昭和39年に北赤羽で「大衆食堂酒場しまだ」を開業したのが始まりだ。その後、現在の場所に移転。孝三さんが52歳という若さで他界してからは、母・ヒロさんがひとりで三人の子供を育てながら、店を切り盛りしてきた。そんな母の姿を見て「飲食業とは違う道に」と経理専門学校への進学を望んだ龍三さんだったが、「ちょうど、店を建て替えるタイミングで、このままだと新しい店を60歳の母親がまたひとりでやることになる。それなら、僕が……」と、一大決心。18歳で調理師専門学校に入学し、卒業後、平成6年に20歳で二代目を継いだ。しかし、お客さんの反応は厳しく、「まずい、まずくないだけではなく、『若い奴がやってるからダメ』と言われる。それには反論できず、『すみません』しか言えない。一日何百回言ってるんだろうと、挫折しそうにもなりました」とご主人。それでも、「そんな時、話を聞いてくれるお客さんに相談させてもらって救われました」と振り返った。
さて、次は、先代から受け継ぐ「牛もつ煮込み」を。麹味噌を使い、代々継ぎ足す煮込み汁を加えるそうで、きたろうさんは「これは、うまい! 全然、奇をてらってないのに、こだわりを感じる」と絶賛。武藤さんも、「定番だけど上品な味。モツがとろっとろ!」と目を細めた。
女性人気No.1「山芋とタコの鉄板焼き」
店は3年前に改修したばかり。それを機に、ご主人は自分の理想の店を目指してある決断を下したという。「先代が名付けた『大衆食堂酒場』の“安さ”や“大衆”の要素は残しつつ、何かもっと粋なものを提供したい」と、夫婦ふたりで『粋肴 しま田』という屋号を考えたのだ。
ところで女将の美穂さんは、22年前にアルバイトとして店に入ったそうで、ご主人は、「その時からピンとくるものがあった」と笑いながら、「彼女は隙がないくらい真面目。僕も負けそうなくらい芯が一本通ってる」と一目置く。美穂さんは、「最初は、いい店長という感じでそんな関係になるとは思ってませんでした。でも一緒に働くうちに、お客さんへの温かさや熱い人だということが分かって。こういう人と結婚できたら、という感情に変わった」と、2年後に結婚し、それ以来、女将として龍三さんを支え続けている。
続いては、自家製味噌ダレで食す「牛タンつくね串(卵付き)」。生の卵黄を絡めれば、「味噌と卵が合う! 旨い!」とたまらない様子のきたろうさん。武藤さんも「外側カリカリで中はジューシー! お肉の旨みがすごい〜」と大興奮だ。
ここで、先代女将の母・ヒロさん(91歳)がご登場! 「先代は病気がちで、私が一人で頑張ったのよ! 酒場をやって良かった。息子が継いでくれてうれしいです」と溌剌とした笑顔。きたろうさんが、「いい奥さんに出会えたからだね」と言うと、「そう! 良い子だよ。何だって聞いてくれるし」と大きく頷く。龍三さんも、「若女将が家のことを全部やりながら、お店のこともやってくれて。頭が上がりません」と感謝するばかり。そんなふたりの言葉を受けて、美穂さんは、「この商売をやり始めて、大変さを知りました。これをずっと一人でやってきたお義母さんは、本当にすごい。尊敬してます」と涙を滲ませた。
次のおすすめは、「山芋とタコの鉄板焼き」。もんじゃ焼きのように混ぜ合わせていただけば、武藤さんは、「タコや生姜、いろんな味して、お酒が進む!」とチューハイをグビグビ!
最後の〆は、新潟県産こしひかりを使った「鮭おにぎり」。パリッとした海苔を巻いて頬張って、「お米がおいしい〜」と感激する武藤さん。きたろうさんも、「鮭も旨いよ。幸せになるな」と、至福の表情を浮かべる。さらに食後には、女将手作りの自家製スイーツも! きたろうさんは「熟成チーズケーキ」、武藤さんは「モンブラン」を選び、「もう完璧!」、「おいしくて、いくらでも食べられる!」と堪能しきった。
「お客様が笑顔で帰ってくださるのが一番うれしい」というご主人。酒場とは、「心の充電をする場所。たっぷり充電して明日の活力にしてほしいですね!」。