東京都文京区千駄木の老舗酒場
実家の鮮魚店から仕入れる魚介を使い
ひと手間加えた絶品料理で客を魅了!
名物「石焼ほたるいか」は大人の味!
きたろうさんと武藤さんがやって来たのは、東京都文京区千駄木。東京メトロ千代田線・千駄木駅から徒歩2分。よみせ通り商店街に店を構える創業32年目の「魚貝三昧 彬(あきら)」が今宵の酒場だ。ご主人の窪田昭さん(59歳)と妻の理恵子さん(56歳)に笑顔で迎えられ、焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」。乾いた喉を潤すチューハイに「あ〜、旨い! 夏だな」と思わず声が漏れるきたろうさんだ。
最初のおすすめは、「お任せ刺身盛合わせ」。ショーケースには常時12〜13種類の鮮魚が並び、「ウチはお刺身が自慢。ほとんど天然物です」とご主人。この日は、本まぐろの中トロ、いさき、あいなめ、太刀魚、あおりいか、とり貝、しまあじという、なんとも豪華な盛合せで、さっそく、旬のいさきを食べて、「すごく上品な甘み!」と感激する武藤さん。続いて、あいなめ、太刀魚、と次々いただき、「全部おいしい! 本当においしい! どれもスゴすぎ……」と言葉にならない。きたろうさんも、夢中で味わうばかりだが、それもそのはず、「隣にある実家が100年以上続く魚屋」だそうで、使用する魚は実家の鮮魚店「山長」から仕入れているというから、納得だ!
そんな老舗鮮魚店の次男として生まれ、幼い頃からおいしい魚介が身近にあったご主人は、父親からの勧めもあり、高校卒業後、調理師専門学校に入学。専門学校を卒業した後は、様々な料理店で修業を重ね、26歳で「魚貝三昧 彬」を開業した。ところで、夫婦の出会いは、「よく行く飲み屋さんが一緒だった」と理恵子さん。「食の好みが似ていて、彼も私もどんどん食べるタイプ。きっと食べ物をどんどん作って食べさせてくれるんだ!と思った」と笑う。ご主人はそんな理恵子さんに「明るくて、素敵だな」と心惹かれ、開業から14年後の平成18年に結婚。それまで営業職に就いていた理恵子さんは結婚を機に退職し、女将としてご主人とともに店の暖簾を守ってきたのだ。
続いてのおすすめは、店の名物「石焼ほたるいか」。熱した石板の上で生のほたるいかを焼き、ワタを絡めながらいただく。「独特の香ばしさで、大人の味」と感心するきたろうさん。武藤さんも、「ちょっと焦がしたほろ苦さがおいしい!」と味わいながら、チューハイが進む!
〆は「さんまで包んだ焼きおにぎり」
さて、お次は、「ぶり大根」を。ぶりのお頭がドーンと乗ったインパクト大の一皿に、「ぶりがすごい主張してるね!」と興奮しながら、大根をいただいたきたろうさん。「旨いっ」とため息。武藤さんも、「ぶりがふわふわっ! 味付けが濃すぎないのに、旨みがすごい」と舌つづみ。ご主人は「使っているぶりの量が多いんです。これは魚屋でないとできない」と胸を張り、常連さんたちも、「うまいものを出してくれるのが魅力」、「金目(鯛)のしゃぶしゃぶ(要予約)なんて絶品だし、しかも下町感覚でリーズナブル」と絶賛するのだった。
ここで、きたろうさんと武藤さんは、隣接する鮮魚店「山長」へご挨拶に! 三代目を継いだ、昭さんの兄・総(さとる)さん(65歳)にお話しを伺うと、「弟は昔は生意気でしたけどね、今は一生懸命仕事してる」と温かい笑顔。さらに、兄弟の父親で「山長」二代目の嘉徳さん(91歳)も元気に登場し、「息子の料理は旨いよ。食べにはいかないけどね!」と笑う。現在は、総さんの長男・真人さん(35歳)と次男・貴文さん(34歳)も一緒に働いているそうで、貴文さんは、「自分が市場で選んできた魚を皆さんに美味しいって言っていただけることが楽しい」と話してくれた。
そして、店に戻ったふたりがいただくのは、「帆立の北海グラタン」。帆立、しめじ、玉ねぎ、赤ピーマンなど具だくさんなグラタンにチーズがたっぷり! 武藤さんも「帆立がいいアクセント。おいしい〜」と大満足だ。
店をやっていて楽しいのは、「いろんな方と巡り合えること。何十年も付きあって下さるお客さんもいて、宝ですね」とご主人。料理のこだわりは、「きばり過ぎると疲れるし、お客さんにも押し付けになる。だから、こだわり過ぎず、頑張り過ぎない」と言い、自然体で店の暖簾を守ってきた。そんなご主人について、理恵子さんは、「彼は頑固ですよ。フォルムが丸いから、笑ってると人がよさそうに見えるけど、全くそんなことない!」とバッサリ! 一方、ご主人は、「見た目どおり気が強いんですよ」と笑いながら、「優しくてね」と付け足し、「夫婦のバランスがいいねぇ(笑)」ときたろうさんを感心させる。常連さんも、「結婚して、さらに良い店になった。なんだかんだ言いながら、二人とも一生懸命にやってるし、いい夫婦ですよ」と話してくれた。
最後の〆は、「さんまで包んだ焼きおにぎり」を! じゃこ、おかか、胡麻、大葉を混ぜたご飯をさんまで包み、香ばしく焼き上げる。さんまの美味しい脂がごはんに滲み込み、さっぱりとした大葉もアクセント。他では食べられない絶品おにぎりを堪能したふたりだった。
ご主人にとって、酒場とは、「人と知り合える大事な場所」。理恵子さんにとっては、「くつろぎの場所」。多くの人に愛される、心地よい酒場である。