東京都葛飾区亀有で創業46年目
人情の街で愛され続ける下町大衆酒場
絶品創作料理の数々に舌つづみ!
45年継ぎ足す秘伝のタレで焼き鳥を!
今宵の舞台は東京都葛飾区亀有。“こち亀”こと漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の聖地で、きたろうさんと武藤さんがお邪魔したのは、創業46年目を迎えた老舗酒場「やきとり渓(けい)」。店を切り盛りするのは、ご主人の宇田川英雄さん(74歳)だ。昭和レトロな雰囲気の店内で、ふたりは、さっそく焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」
最初のおすすめは、備長炭で焼き上げる「かしら(塩)」と「ねぎま(たれ)」。たれは45年間継ぎ足されてきた秘伝のたれで、きたろうさんは、「どっちも旨いね〜」と感激! 武藤さんも「お肉が柔らかくてジューシー。タレも甘すぎず辛すぎず!」と舌つづみを打つと、ご主人は、「注文を受けてから生の肉を切って刺してますから」と胸を張った。
ご主人が店を開業したのは、29歳の時。それまでは「兄貴とふたりでいろんな仕事をしてました。亡くなった兄貴とは本当に仲良かった。義理堅くてみんなに愛される兄でした。34歳で亡くなったんですが」と振り返る。今は亡き兄・繁さんとは幼い頃から仲が良く、ご主人が高校中退後は兄弟で様々な仕事を経験したという。その後、24歳で結婚したご主人は服飾関係の会社に就職するが、29歳の時、転機が! 酒場を経営していた繁さんから、「友人が店を閉めるから、お前やってみないか?」と誘われたのだ。しかし、その頃、病気で入院中だったご主人は、「こんな状態だし、お金もないから」と諦めかけたという。「そしたらね、女房が、『やってみたら? それくらいのお金あるよ』って言ってくれて。貯めてくれてたんですね。本当に女房のおかげで今がある」と、妻への感謝があふれた。
半年間、兄のもとで修業したのち、昭和54年に「渓」を開業したご主人。「修業は厳しく、兄によく怒られたり、殴られたりしました。他人にはすごく優しく、家族には厳しい人だった」と苦笑いしながら、店名の「渓」は、西新井で兄が経営していた酒場と同じ名前をつけさせてもらったのだと教えてくれた。しかし、そんな繁さんは、「渓」の開業からわずか2年後に病に倒れ帰らぬ人となる。「弟思いの兄でした。年がら年中、弟のことを心配して、電話かけてきて。お客さんが少ないと言ったら、自分のお客さんを引き連れてタクシーで駆けつけてくれてね」。そんな思い出話に、きたろうさんは「カッコいい人だったんだね」と感銘を受けるのだった。
さて、次にいただくのは、ジューシーな豚バラでキムチを巻いた串焼き「豚キムチ巻き」! 武藤さんは、「ごま油のいい香り〜」と言いながらパクリと食べて、「これは女性が絶対好き! お肉の脂がキムチとバランスよく、豚キムチをポンっと一口で放り込む感じ」と絶賛だ!
ジャガイモで作るタコ焼き!? 名物「渓ポテト」
続いては、お店の名物「渓ポテト」を! 「これは間違いなくおいしい!」とご主人も激推しの一品は、潰したジャガイモにキャベツや紅しょうがを混ぜ、タコを入れて油で揚げた、「ジャガイモで作るタコ焼き」。武藤さんは、「ホックホク。タコとジャガイモが合う!」と味わい、きたろうさんも、「発想が面白い! たまんないね!」。
創業45年、今や人気の老舗酒場となった「渓」だが、開業当初は不安だらけだったとも。「当時は店の前に曳舟川というドブ川が流れてて、匂いはするし、お客さんは来ないし(笑)」。曳舟川は平成元年に埋め立てられ道路になったそうだが、「それまでよく辞めなかったね」と驚くきたろうさん。ご主人は、「いろんな仕事しましたけど、やっぱり、自分はこういう商売が好きなんですよね」と頷く。そんな「渓」の魅力を常連さんに聞くと、「マスターが友達みたいで気を遣わない」、「マスターに『おやすみ』って言いに立ち寄っちゃいます」、「マスターと相性が合うんです」と、みなさんニコニコ! 「地元感あっていいね〜」と、思わず笑顔になるきたろうさんに、ご主人も「地元の人たちに救われてます。人情味のあるみなさんのおかげです」と穏やかに笑った。
ここで、「山芋ステーキ」が登場! 鉄板皿での上ジュージューと音を立てる一品は、すりおろした山芋に卵を加えバターで炒めたふわとろ食感! お酒のおつまみにもぴったりだ!
店を長く続ける秘訣は、ずばり「ハート」とご主人。「こちらがお客さんを好けば、相手も好いてくれる。お客さんのことが大好きですし、みんな友達です」と話し、「45年も続けていれば、出会いもあるが、辛い別れもある。それでもやってきてよかった。一番心配してくれた兄貴には、『ここまで頑張ってこられたよ』と言いたいですね」と語ってくれた。
最後の〆は、出汁が自慢の「とり雑炊」。鶏肉と昆布で取った出汁に、たっぷりの野菜の旨みも加わって、喉が鳴るおいしさ。武藤さんは、「おいしい! スルスル食べられちゃう〜」と目を細めて堪能した。
ご主人にとって、酒場とは「ドラマ」。「この小さな店が、本当に自分にとって素晴らしいドラマを作ってくれたと思います!」。まさに、人情物語の舞台なのである。