東京都墨田区で創業43年!
アットホームなくつろぎ酒場
暖簾を守り続ける家族の物語
「合鴨とねぎの陶板焼き」は垂涎もの!
今宵の舞台は、東京都墨田区押上。きたろうさんと武藤さんがお邪魔したのは、とうきょうスカイツリー駅から徒歩1分。創業43年の老舗酒場「旬味処ふじせ」。厨房で腕を振るうのは、二代目主人の高城(たかぎ)君夫さん(77歳)と、三代目として修業中の長男・大樹さん(38歳)。そして接客を担当するのは二代目女将、妻・有子さんだ。家族で営むアットホームな雰囲気の中、きたろうさんと武藤さんは、さっそく焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」
最初のおすすめは、「合鴨とねぎの陶板焼き」。目の前で焼き上がるのを見ながら、「もうおいしいのが分かる」と涎を垂らさんばかりのきたろうさん。一口食べて、「ああ、旨いっ! やっぱり鴨は旨みがすごいわ!」と感激。ご主人は、「鴨とアヒルを掛け合わせた合鴨は、鴨とアヒルのいいとこ取り。野性的な味わいと、脂ののった旨みが合わさっておいしいんですよ」と教えてくれた。
「ふじせ」は、昭和55年に有子さんの両親が始めた。当初はしゃぶしゃぶ割烹だったそうで、君夫さんは板前として雇われ、その時出会った有子さんと昭和57年に結婚した。故郷の宮城県気仙沼市から18歳で上京し、21歳から料理人の道へ入った君夫さん。32歳から「ふじせ」で働き始めたが、「思ったほどお客さんが入らなくて」と、33歳で一度「ふじせ」を離れ、いくつかの日本料理店で腕を磨いたという。その間、「宮内庁にも行って、皇太子殿下と雅子さまのご婚礼や園遊会で料理を作った」というから、腕は確か! その後、平成11年に先代夫婦の引退をきっかけに二代目を継ぎ、有子さんと共に再び「ふじせ」で働き始めたのだ。
次は、女性にも人気の「くじらステーキ」を。武藤さんは、「クジラってクセが強いイメージあるんですが、これは柔らかいし臭みが全然ない!」と舌つづみ。ご主人は、「クジラもいろいろありますが、これは一番高級なミンククジラ。香りがよくて肉が柔らかい。優しい味なんです」と胸を張った。
ところで、義父母の店を継ぐにあたり、ご主人は、「俺がやればすぐお客さんは倍になると思った」とニヤリとして、「けど甘かった」と苦笑い。「土地柄、値段を安くしないと入ってもらえないんです」とのことで、価格を抑えた様々なメニューを増やし、誰もが気軽に入れる店へと変えていったという。そんな話に、きたろうさんが、「ダンナが店を立て直したんだね」と言うと、「いえ、私です!」と楽しそうに笑う有子さん。ご主人は、普段、無口な根っからの料理人で、接客には向いていないとか!? 「普段は全くしゃべりません。今日は、お客さんもビックリしてるんじゃない?」と有子さん。常連さんは頷きながら、「新鮮ですね! 普段のご主人は寡黙だけれどすごくハートがある感じ。たまに笑うのがすごく沁みる」と言い、別の常連さんは、「お店の魅力は、アットフォームな雰囲気。ほっこりして癒されます」と答えてくれた。
〆は絶品「夏鴨鍋」!
続いては、自家製味噌を使った「ぶりの西京漬け串焼き」。一口サイズに切ったぶりを串に刺して焼き上げてあり、「味噌の味がちょうどいい。素晴らしい!」と大満足のきたろうさん。ご主人曰く、「最初は刺身の残り部分を活用していたが、人気が出て、今は刺身の部分を漬け込んでます!」
現在修業中の長男・大樹さんが店で働き出したのは7年前。もともとは俳優を目指し芸能事務所に所属していたというが、「父から、もうそろそろ役者をやめて働くように言われて(笑)」と大樹さん。師匠としての父親は、「すごく丁寧に教えてくれますが、細かすぎて全然先に進まない」とも。ご主人は、「失敗されると食材が無駄になるから、失敗しないように教えると細かくなる」と話し、「昨日も、彼が作ったドレッシングを味見したら、酢が2〜3滴足りない。その2〜3滴の差が分かるようにならないとダメなんですね」と、さすがは腕利きの料理人だ。それでもすでに何品かは大樹さんが自由に作ったメニューも採用。中でも「三種のチーズオムレツ」が自信作なのだとか! そんな大樹さんに、「大将の料理の何割をマスターした?」と聞くと、「4割くらいですかね」とのこと。ご主人は、「2割くらいじゃない!?」と辛口評価ながらも、うれしそうに笑った。
ここで、「紙カツ(チーズ・梅しそ)」が登場! 豚ロース薄切り肉にチーズや梅しそを挟んで揚げてあり、薄いながらも、チーズはトロリと濃厚で、梅しそはさっぱりした味わい。そのアイデアとおいしさに大満足のふたりである。
最後の〆には、「夏鴨鍋」を。武藤さんは、「鴨の旨みがふわっと広がる〜」と興奮しながら、「本来なら料亭で食べる味」と感激。きたろうさんは、「夏に鍋ってのもいいね〜。出汁も幸せな味でバランスがいい!」と絶賛だ。
店を長く続ける秘訣は、「旨いものを作るしかないね」と潔いご主人。酒場とは、「美味しい酒と料理で幸せな気分になれる場所」だと言い、大樹さんは「仲間と騒いで泣き笑いする場所」。
間違いなく幸せになれる一軒である。