39歳で専業主婦から女将に転身!
料理人人生27年の店長に支えられ
作り上げた人気酒場の物語
数量限定!「マグロの切り落とし」
今宵の舞台は東京都足立区北千住。きたろうさんと武藤さんが向かったのは、北千住駅から徒歩7分。日光街道沿いにある人気酒場「居酒屋 楽空(らくう)」。店を切り盛りするのは、女将の鈴木亜矢子さん(56歳)。そして、店長の吉原正仁(まさひと)さん(49歳)が、厨房で腕を振るう。すでにほろ酔い気分の常連さんたちが集う店内で、きたろうさんと武藤さんは、さっそく焼酎ハイボールを注文して、「今宵に乾杯!」。
最初のおすすめは、数量限定の「マグロの切り落とし」。なんと一皿330円という低価格ながら、鮮度は抜群! 多くのお客さんが最初に注文するという人気の一皿に、きたろうさんも武藤さんも納得するばかりだ。
「最初は、いらっしゃいませと言うのも恥ずかしかった」という女将の亜矢子さんは、きたろうさん曰く、「ちびまる子ちゃんが大人になったみたい」な可愛らしい雰囲気。千葉県の高校を卒業後、製粉会社の事務員として働き、23歳の時、取引会社で働いていたご主人の茂明さんと結婚。結婚後は専業主婦として家庭を守ってきたが、ご主人の「酒場をやりたい」という夢に賛同して、平成19年、39歳で「楽空」を開業したのだ。店長の吉原さんは、ご主人・茂明さんの友人で、「酒場をやりたい」というご主人と意気投合し、厨房を任されている。そして、ご主人の茂明さんはタンクローリーの運転手として働きながら、食材の買い出しなどで亜矢子さんをサポートしているのだそう。
全くの専業主婦から酒場の女将へ転身した亜矢子さん。「店長がいなかったら、このお店は成り立たない。本当に感謝しています」と言う。店長の吉原さんは、高校卒業後から酒場の料理人として働いてきたそうで、亜矢子さんもご主人とともにその店のお客さんだった。「その時から、よく働くし、本当に気の利く人だなと思ってました」と亜矢子さん。吉原さんは、そんな期待にこたえ、常時約200種類のメニューを揃え、ひとりで対応しているのだ。
さて、次にいただくのは、「栃尾あぶらあげピザ(納豆&ネギ)」。「そのままでは面白くないので、チーズを乗せてピザのように」と吉原さん。武藤さんは、「ふわふわですね! 和風のピザみたい。納豆と合うんだ、おいしい!」と感激だ。
グツグツ煮え立つ「石焼き牛すじ豆腐」!
創業17年のお店だが、「コロナ禍もありましたし、まだまだ大丈夫とは言えない」と女将。きたろうさんが、「女将は苦労が顔に出ないタイプだね」と言うと、「すごく苦労してるんですけど」とにこやかに笑う。常連さんからも、「ざっくばらんで明るい方」と慕われ、「一度伝えたことは次の時に対応してくれるのが本当にうれしい」との声も。女将は「お客様の好みなどは覚えるようにしています。できるだけお客さんに過ごしやすく思っていただきたいので」と話し、きたろうさんも、「細やかだね。地元の酒場だね」と、顔をほころばせた。
常連さんの中には、吉原さん(通称 よっちゃん)と同級生だったという方もいて、「見た目も変わらないし、ずっと優しい。子供の頃からよっちゃんが怒ってるの見たことない」と言い、女将も「私がカリカリしていても、彼はニコニコ。怒っているのがバカらしくなる」と大きく頷いた。
続いていただくのは、そんな優しいよっちゃんが試行錯誤して作り上げたこだわりの一品「鳥の唐揚げ」。「カラっと揚がる粉の配合を考えて、工夫しました」とのこと。ボリューム満点で衣はカリっ、中はジューシー! 「味つけもしっかりしていて、お酒にあう!」と大満足のふたりである。
吉原さんの料理のこだわりは、「そのままではなく、何かアレンジしてお出しすること」。常連さんたちからは、「メニューの数が多くて、大人のファミレスみたい」、「日替わりメニューには旬の食材を使った季節の料理もあってうれしい」と、大好評なのである。
ここで、次のおすすめ「石焼き牛すじ豆腐」が登場! 石焼鍋の中でグツグツと煮え立つ牛すじ豆腐に、歓声を上げるふたり。熱々をいただいて、「あ〜、おいしい。ほっとしますね〜」と目を細める武藤さん。約3時間煮込んで柔らかくし、コクを出すために牛脂を加えるなど、こちらも吉原さんのアレンジが利いている。
〆の一品は、「居酒屋のナポリタン」。2種類のトマトソースが味の決め手で、きたろうさんは、「品がある!」と感心し、武藤さんは、「トマトの酸味がしっかりしていて、おいしい!」と味わっていると、最後にデザートが登場! バウムクーヘンを天ぷらにして、アイスクリームを乗せ、メープルシロップをかけた一品は、名付けて「バウムクー天」! 驚きの一皿だが、食べてビックリ! 「全然違和感ない! 旨いよ!」ときたろうさん。武藤さんも「揚げるとこんなにふわふわに! これ大好き!」と大喜びだ。
店名には、「楽しい空間を過ごしてほしい」という気持ちを込め、お客さんに気分よく帰ってもらうことを大切にしているという女将。酒場とは、もちろん「楽しい空間」。吉原さんも「自分を解放してくつろげる場所」と言い、「そういう酒場でありたいですね」と女将とともに頷きあった。