東京都荒川区南千住で創業35年!
家族4人で守り続ける
地元で愛される老舗酒場の暖簾
名物「もつ焼き」を塩とタレで!
今宵の舞台は、東京都荒川区南千住。きたろうさんと武藤さんがやってきたのは、日光街道沿いに店を構える「もつ焼き 栃木屋」。創業から35年、名物のもつ焼きを始めさまざまな料理が味わえる老舗酒場だ。店を切り盛りするのは、二代目女将の小川治子(はるこ)さん(49歳)と先代の長男で治子さんの夫・幸次(こうじ)さん(49歳)。そして、幸次さんの弟・博さん(46歳)、さらに、先代女将で兄弟の母・幸子(ゆきこ)さん(77歳)。家族4人で営むアットホームな店内で、常連さんたちと肩を寄せ合いながら、ふたりは、さっそく、焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」
最初のおすすめは、もつ焼きの「かしら(こめかみ)」と「ぼんじり(尻尾)」を塩で。「かしらは噛めば噛むほど味が出て、おいしいですね〜」と武藤さん。「ぼんじりは、脂がのってて、柔らかくて旨い!」ときたろうさんも舌つづみをうつ。
続いて、創業以来継ぎ足しのタレでいただく「レバー」と「しろ(大腸)」。どちらもボリューム満点でたっぷり絡んだタレが見るからにおいしそう! 武藤さんは、「甘すぎず、辛すぎず、ちょうどいい! しっとりしてておいしい〜」と感激し、きたろうさんも、「実にシンプルで旨い! チューハイに合うんだよ」と絶賛。幸次さんは「しろは一番出ますね。売り切れて怒られることも多い」と胸を張った。
幸次さんの母・幸子さんと父・司郎さん(享年69)が平成元年に創業した「栃木屋」。店名は幸子さんの出身地・栃木県が由来だそうで、開業当時は、「びっくりするくらいの忙しさで、やればやるほどどんどんお客さんが増えた」とか! 12年前に先代の司郎さんが亡くなったことをきっかけに、幸子さんと治子さんを中心に、他にも仕事を持つ幸次さんと博さんが順番で手伝いながら店を切り盛りしている。
まだまだ現役で店に立つ先代女将幸子さんだが、嫁の治子さんが店を継いでくれたことに、「嬉しいですよね」と満面の笑み。きたろうさんが、「でも普通、嫁姑なんてうまくいかないんじゃないの?」と聞くと、治子さんは、「お母さんに会いに来るお客さんががほとんどだったし、お母さんの顔見て『頑張って続けてね』と応援してくれるお客さんも多い。不安より、やってよかったという気持ちの方が大きいですね」と話す。幸次さんも、「元気なうちは、ずっとやっててもらった方が、母のためにもいい」と、幸子さんを支えながら、老舗酒場の暖簾を守り続けているのだ。
カリッと焼き上げた老舗豆腐店の「厚揚げ」
次に登場したのは、「サバの塩焼き」。足立市場から仕入れたサバを絶妙の火加減でふっくらと焼き上げる。「焼き加減がちょうどよくて、脂がしっかりのってますね」と目を細める武藤さん。きたろうさんも、「シンプルだね。ほっとする、家庭の味だなぁ」と頷いた。
中学時代の同級生だったという幸次さんと治子さんは、24歳から交際を始め、6年後30歳で結婚。治子さんは、「30歳になるタイミングで結婚を決めたくて、彼に聞いたんです。『結婚するか、しないなら別れる』って(笑)」と明かし、幸次さんは、「はじめから結婚するつもりだったし、彼女の誰に対しても優しいところに惹かれた」と結婚を決めた。そして、治子さんは、「親に対する気持ちが同じで、何かあった時は私がみてあげなくちゃと思う。そういう感覚が同じだったから結婚したいと思った」と言い、先代のご主人が亡き後、二代目女将を継いだのだ。
そんな治子さんに対して、「本当にありがたかった」と感謝の気持ちを滲ませる幸次さん。幸子さんは、「お父さんが急になくなったからね。それで子供たちもやる気が本物に変わった感じでしたね」と振り返った。
さて、次にいただくのは、「厚揚げ」。荒川区町屋にある老舗、朝日屋豆腐店の厚揚げを使用し、カリッと焼き上げた一品に、「外側がカリッカリ! 中はほんのり大豆のやさしい味がしておいしい〜」と頬が落ちそうな武藤さん。きたろうさんも、「なんとも言えないんだよ、焼きたての厚揚げって! 中の豆腐がしっとりときめが細かくて旨いね」と感心しきりである。
ところで、毎朝7時過ぎには店で仕込みを始めるという幸子さん。閉店まで調理や接客で忙しく店を切り盛りするなか、うれしい瞬間に出会えることがあるそうで、「店で仕込みをしているときに、店の前を通りかかった人が『お母さ〜ん』と手を振ってくれたり、声をかけてくれたりするの。それがすごくうれしいんです」と幸せそうな笑顔で語ってくれた。
最後の〆は、「カレー丼」。もともと家族で賄いとして食べていたそうだが、お客さんのリクエストでメニューに加わったという。「食欲そそられますね〜」と食べた武藤さん。「おうちカレーの安心感がある! でも適度に辛くて〆にぴったり」と大満足なのだった。
治子さんにとって、酒場とは、「幸せな場所」。幸次さんは「憩いの場所」と答え、最後に幸子さんが「お友達がいっぱいできますよね。友達ができる場所ですね」と素敵な笑顔を見せてくれた。