創業44年の老舗酒場で焼肉を!
和牛にこだわるご主人がつくる
絶品肉料理に舌つづみ!
肉のプロが焼く! 絶品「牛ロース」
今宵、きたろうさんと武藤さんが訪れたのは、東京都葛飾区堀切菖蒲園。京成堀切菖蒲園駅から徒歩2分の線路脇に店を構える「居酒屋焼肉 富吉(とみきち)」へ。1Fは居酒屋、2Fは焼肉店というスタイルの店を切り盛りするのは、ご主人の福島和明さん(73歳)だ。広いコの字カウンターが象徴的な店内で、ふたりはさっそく焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」
最初のおすすめは、「牛ロース」。「肉がメインの居酒屋なので、良いお肉をなるべく低価格で提供しています。よそでは倍以上するかも!?」と言うご主人。脂が溶け出さないよう調理寸前に切り落とし、自家製タレをたっぷり絡ませて焼き上げる。「香りだけで飲める〜」と目を細めながら食す武藤さん。「トロけますね〜。おいしい!」と感激すると、ご主人は、「うれしいお言葉! 肉の旨みを残すように焼いていますから」と頬が緩む。肉の種類や状態で焼き加減を変えるそうで、「ここは、私がプロとしての誇りをもって最適な焼き加減でお出しするお店」と胸を張り、「2Fの座敷席は、お客さんが自分のお好みで焼くスタイルの焼肉屋です」と教えてくれた。
ご主人がこの店を開業したのは28歳の時。店名は、父親が縁起の良い字を重ねて命名してくれたのだとか。実は、ご主人の実家は焼肉食材店。「幼い頃から家業をずっと見てきたし、手伝いながら過ごしてきたので、肉の目利きが身についた」という。28歳までは家業を手伝っていたが、4人兄弟の次男であるご主人は、両親の勧めもあり、独立して酒場を開業。当初は、魚介や野菜を扱う炉端焼き店だった。しかし、実家が焼肉食材店だと知る地元のお客さんからの要望もあり、開業から10年後、肉料理中心の酒場にリニューアル。安さと美味しさでたちまち人気店となったのだ。家業の焼肉食材店から仕入れる牛肉を提供していた時期もあったそうだが、両親も他界し、現在は和牛にこだわるご主人が、自らの目利きで、日本全国から安くて美味しい和牛を仕入れている。ちなみに「和牛」とは、日本の在来種をもとに作られた食肉専用の牛のこと。「国産牛」は、日本で飼育、加工された牛で、外国産の牛でも日本で飼育・加工されれば表示可能だと、ご主人が教えてくれた。
ご主人のオリジナル料理「カルビチジン」
続いていただくのは、和牛のプロが焼き上げる「上ハラミ」。武藤さんは、「すっごい柔らかい! ハラミって、肉々したイメージがあるんですが、ちゃんと脂が甘くて柔らかくておいしい」とウットリ。きたろうさんも、「ハラミはやっぱり旨い!」と頷くばかりだ。
創業から44年、「忙しい時期は、家内に子供の世話を後回しにさせて、店を手伝ってもらった。今考えると迷惑かけたことも多い」と振り返る。従業員の荒川建子さん(66歳)は、「店が混んでないときは優しいです。でも、混んでるとテンパって、『アレやれ! コレやれ! 何やってんだー!』ってなる(笑)。それでケンカして辞めたこともありますが、また戻ってきて、かれこれもう16年」と笑い、ご主人は、「本当に助かってます。おかげ様でなんとかやってこられた」と頭が上がらない。
次に登場したのは、炉端焼店の頃からの人気メニュー「鶏の唐揚げ」。アツアツにかぶりついて「これは見事!」ときたろうさん。武藤さんも「すごくジューシーで味がしっかり! お酒が進む〜」とチューハイをおかわりすると、ご主人が一緒に出してくれたのは、「キムチ風自家製イカの塩辛」。唐辛子の赤色に辛そうだと身構えるも、食べてみれば、「甘辛くて美味しい! 臭みも全くなくておいしい!」と絶賛だ。
武藤さんが料理のこだわりを聞くと、「愛ですかねぇ」とニヤけるご主人。その様子に「十夢を見る目がヤラしいよ!」とツッコむきたろうさんだが、常連さんたちも「マスターの気持ちのこもった焼肉は愛がある。下町感あふれる雰囲気も抜群!」と口を揃える。ご主人は「ちゃんと伝わってるね」と満足気で、「お客さんがいなければ店は成り立たない。感謝の気持ちが愛にかわるんです。気の合う人が多くて、友達や家族みたいな感覚になってくる。だから居心地がいいし、楽しくて、こんなにおしゃべり好きになっちゃった!」。
次は、ご主人のオリジナル料理「カルビチジン」を! 味付けしたカルビとキムチを炒めてたっぷりの卵を絡めた一品は、「和風であり韓国風。結構ガッツリした味で、おいしい!」とふたりの箸はまたまた止まらない!
そして、最後の〆は、冷麺用の麺を使った「ユッケジャン麺」。具沢山のボリューム満点! 「辛ウマで麺がモッチリ。野菜も多くてうれしい」と堪能するふたり。大満足である。
「食べものは十人十色。味や焼き加減が好きかどうかはお客さんが判断すること。値段が高ければおいしいという単純なものではない」とご主人。料理をする上で大切にしているのは、「誠実に作ること。いい加減さをなくすこと」と言い、「かなり遠くからわざわざ来てくださるお客さんも多くて、感謝、感謝ですよ」。そんなご主人にとって酒場とは「憩いの場」。こんな楽しいご主人がいれば、間違いなし!!