東京都足立区竹の塚で創業13年
大きな挫折を乗り越えて
人気酒場を作り上げた親子の物語!
ふわふわトロトロ「白レバー」に舌つづみ!
今宵の舞台は、東京都足立区竹の塚。きたろうさんと武藤さんがお邪魔したのは、東武伊勢崎線・竹ノ塚駅西口から徒歩3分。ビルの2階に店を構える「焼き膳 彩鳥(あやとり)」だ。「焼鳥が止まらない店」と書かれた看板を目印に階段を上ると、店内は靴を脱いでくつろげる和モダンテイスト! ご主人の杉村篤士さん(43歳)と母親の和子さん(66歳)に迎えられ、さっそく、焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」。
まずいただくのは、看板メニューの焼き鳥「白レバー(塩)」と「つくね(タレ)」。調理を担当する店長の山辺宏季さん(40歳)が丁寧に焼き上げる「白レバー」はボリュームたっぷりで見るからにおいしそう! パクリとかぶりついた武藤さんは、「ふわふわトロトロでおいしい〜」と目を細め、きたろうさんも「なかなかこんなレバー食えないよ!」と感激。タレでいただく自家製つくねも「ジューシーでおいしい!」と大満足だ。「焼鳥が止まらない店」の意味を尋ねると、「お任せコースだと31種類の串焼きを食べ続けることができて、1本単価がどんどん安くなるんです」とご主人。オーダーを止める時には“STOP”と書かれた札を上げるというアイデアも楽しく、いろんな種類の焼き鳥をお得にシェアして食べられるのはうれしい限りだ!
店は創業13年。「もともと兄貴と始めることになって、そこに母ちゃんを無理やり巻き込んだ(笑)」とか。母・和子さんは「まさかそんなことになるとは思ってませんでしたし、最初は反対しました。でも、息子のためにって感じですよね」と振り返る。兄の凪絆(なぎ)さん(46歳)はプロの書道家だそうで、看板やメニュー、店内に飾る書画などを手掛けたのち、本業に戻り、その後はご主人と和子さんだけで突っ走ってきた。「高校卒業後は、ろくに仕事にも就かずパチプロで稼いでいた時もあった(笑)」と言う篤士さん。しかし、22歳から独学で経営の勉強を始め、飲食店のコンサルティング業務を担うなど、飲食業の道へ。母親をはじめ、つながりのある多くの人たちの力を借りて、29歳の時に店をオープンさせたのだ。
お店の原点! 絶品「ももの唐揚げ」
実は「彩鳥」は、最初は唐揚げ専門店として開業したそうで、すぐに唐揚げの味が評判を呼び大盛況に! しかし、2年後、隣接店からのもらい火で店舗が全焼。「地獄を見た」という。それでも前向きなご主人は、「たかが2年で辞めるのはダサい」と持ち前のバイタリティで苦難を乗り越え、地元の知人や友人の協力で現在の場所に店舗を再建したのだ。そんな息子のことを和子さんは、「私は大雑把でいい加減ですが、息子は何事も無我夢中で頑張る。だから、店の経営に向いているのかも」と語り、ご主人は「あんなことがあったからこそ、13年続けていられる。だから、もらい火にも意味があったし、恨みつらみはないです」ときっぱり! きたろうさんが、「万事塞翁が馬だね」と声をかけると、「はい!」と元気に答えつつ、「意味はあんまり分からない(笑)」
そんな店の原点である「ももの唐揚げ」が次のおすすめ。鳥もも肉をにんにく醤油ベースの特製ダレで漬け込んであり、「お肉がすっごい柔らかい! 味がついてるからこのままでおいしい〜」と武藤さんは箸が止まらない。
続いて、2種類のタレから選べる「手羽先」。甘ダレの「極上手羽先」を選んだきたろうさんは、後を引く味わいに「甘い! 旨い!」と大喜び。武藤さんは、「激辛手羽先」を恐る恐る食して、「おいしい! 辛い! 舌がビリビリ。でもタレがおいしいから大丈夫!」と、激辛をものともせずニッコリ!
常連さんたちに話を聞くと、「いろんな人たちを巻き込んで仲良くさせてくれる」、「ひとりでも来やすいお店を作ってくれている」と口を揃える。実際、ご主人は、お客さんとのつながりを特に大切にしているそうで、「来店の翌日にはお客さんにSNSなどでお礼のメッセージを入れたり、とにかくまめにできることをやっています」とのこと。店で出会って結婚したカップルが多いのも、そんな証と言えそうだ。
さて、ここで、常連さんたちと一緒に飲んでいた書道家の兄・凪絆さんから、きたろうさんと武藤さんにサプライズプレゼントが! その場でふたりの目を見つめ、思い浮かんだ言葉を書にしたためるという粋な計らいに、大感激のふたり。そして、そこに登場した女将の家庭料理「茄子の揚げ浸し」に、ほっこりと温かい気分に浸るのだった。
〆の一品は、「とり雑炊」を。鍋の蓋をあけると、ふわふわの卵に思わず歓声が上がる。一口食べて、きたろうさんは「旨い〜」と唸り、武藤さんは「鳥の旨みが出てますね。体が温まる〜。しょうがも入ってますね」と堪能した。
今だからこそ母親に言いたいのは、「これまでありがとう。そして、引き続き馬車馬のように働いてください!」と憎めない笑顔を見せるご主人。酒場とは、「人生が変わる場所。人が変わるきっかけを作れるのが、酒場の醍醐味」と言い、和子さんは、「憩いの場所。楽しかった!と帰ってもらえたらうれしい」と話してくれた。