美人女将が離婚を乗り越え
一人で切り盛りする人気酒場!
炭火を使った地鶏料理に舌つづみ!
真っ黒な宮崎地鶏の炭火焼き!
今宵の舞台は、東京都足立区扇大橋。きたろうさんと武藤さんが向かったのは、日暮里・舎人ライナー・扇大橋駅から徒歩3分の「鈴亀亭」。創業19年目を迎えた人気店の厨房で腕を振るうのは、二代目を継いだ女将の鈴木蘭さんだ。おしゃれで落ち着いた店内で、ふたりは、さっそく、焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」
最初のおすすめは、宮崎地鶏を使った「地鶏ももの炭火焼き」。宮崎県出身の先代から受け継いだメニューだそうで、炭火の煙と炎をまとわせて真っ黒に焼き上げた一品! さっそく口に運んで、「普通の鶏とは全然違う!」と感激するきたろうさん。武藤さんも「弾力があって、噛み応えがすごい!」と、炭の香りと地鶏の旨みを存分に味わった。
料理は先代からすべて教わったという女将。「先代ってどういう方?」ときたろうさんに聞かれて、「元夫です(笑)。もともとふたりでやってましたが、彼がリタイヤして私がひとりでやることに。4年になりますね」と明かす。
渋谷区で生まれ足立区で育った女将は、専門学校を卒業後、広告代理店で働き、27歳の時に元夫と出会った。「マチアプ(マッチングアプリ)の先駆者です(笑)。当時の同僚が、恋人のいない私を心配してマッチングサイトに私の写真を登録したら、翌日、6000件くらいメールが届いて。その中のひとりが元夫。宮崎県出身の板前さんでした」。出会って1年後に結婚。翌年ご主人が酒場の開業を決めると、蘭さんは広告代理店を退職し、29歳で女将として第二の人生をスタートさせたのだ。扇大橋は女将の地元ゆえ友達や仲間も多く、「開業と同時にみなさん来てくれました。当時、東国原知事の就任でちょっとした宮崎ブームもあって、お客さんが入らないという心配はなかった」という。
続いてのおすすめは、「チキン南蛮」。大きな包丁を軽々と使いこなす女将の姿に感心するきたろうさん。女将は「夫からの誕生日プレゼントが包丁だったのは、ちょっと怖かったですが」と言いながら、手際よくチキン南蛮を作り上げる。そして、「衣がザクザクですね! おいしい!」と満足そうに頬張る武藤さんに、「一番こだわってるところなので、嬉しい!」と美人女将の顔がさらに輝いた。
次に登場したのは、お店自慢の「つくね焼き」。串に刺さないつくねは、鉄板に乗ったハンバーグのよう! トッピングの生卵を崩しながらいただいて、「串で食べるより旨いな」ときたろうさん。武藤さんも「卵がまろやかで合いますね! ふわふわでおいしい〜」と頬が落ちそうだ。
ふわふわの大和芋が絶品!「とろろめし」
18年前に夫婦で開業した「鈴亀亭」だったが、現在はひとりで店を切り盛りする女将。離婚に至った経緯を伺うと、「お互いやりたいことが違っていたことに気づいて、これからは親友でいようとなりました」。互いの価値観の違いから令和3年に離婚し、料理を担当していた夫は店を離れたが、それでも女将が店を続けたのは、「お客さんは『絶対やめないで』と言って下さるし、先代の『やれるもんなやってみな』的な態度が私のハートに火をつけた!」から。
きたろうさんは、「女将の応援者が多かったんだね。酒場って面白いね〜!」と感心しきりだが、女将には不安もあったそうで、「先代は何十年も修業した板前でしたが、私はただのお母さん。お客さんにどう思われるのかと想像すると、ここに立つのはめちゃめちゃ怖かった」と振り返る。そして、「最初の1年は生意気なことはせず、先代と同じ料理だけを作り、慣れてきた頃から、自分の考えたメニューもだすようになりました」。
そんな女将考案の人気メニューが「ネギ巻きささみ」! 鶏ささみでネギを巻いて炭火で焼き上げてあり、「やわらかくてウマっ!」ときたろうさん。武藤さんも「ネギがとろっと甘くて、ささみはしっとり! おいしい〜」と舌つづみを打った。
店をひとりで切り盛りするのは、「やっぱり孤独です」と言う女将だが、「お客さんから『ありがとう』、『おいしい』と言ってもらえたりたりすると、すごくうれしい。お客さんの反応を直接感じられるのがいいですね」と話す。一方、常連さんたちは、「料理もおいしいですが、やっぱり女将さん!」、「女将さんは見ての通りの魅力ある女性」と口を揃えて魅力を語り、2年間アルバイトを続ける従業員の森島明日香さん(25歳)も、「女将はめっちゃ優しいです。お母さんみたいな存在。楽しいからこのバイトを続けています」と話してくれた。
最後の〆は「とろろめし」。大和芋に醤油、塩を加えてすり鉢ですった、ふわふわのとろろをごはんにかけていただく。「はぁ、旨いなぁ……」と、ため息が漏れるきたろうさん。「粘り気があって、すごくおいしい。贅沢ですね〜」と武藤さんもうっとりだ。
「お客さんに居心地がいいと思ってもらいたいし、楽しい思い出の店となるようにいつも心がけている」と女将。「チャンスがあれば店舗数を増やしたい」という夢もある。そんな女将にとって、酒場とは「人生を見る場所。私からはお客さんの人生が見えるし、お客さんからは私の人生が見えるから!」。酒場とは様々な人生の交差点なのである。