東京都墨田区曳舟で創業59年!
下町の呑兵衛たちに愛され続ける
「元祖焼酎ハイボール」の老舗酒場
創業時から変わらない「にこみ」!
今宵の舞台は、東京都墨田区曳舟(ひきふね)。きたろうさんと武藤さんが向かったのは、京成曳舟駅から徒歩7分。昭和41年創業の老舗酒場「三祐酒場 八広(やひろ)店」だ。店には3つの入り口があり、指示された入り口から店内に入ると、ちょっと変わった形のカウンターが! すでに常連さんたちで賑わうなか、二代目主人の奥野木晋助さん(52歳)と妻の幸子さん(55歳)が迎えてくれる。さっそく焼酎ハイボールを注文するふたりに、ご主人が差し出したのは、三祐酒場の6つのルールが記された注意書き。こちらをしっかりチェックし終えたら、お待ちかねの「今宵に乾杯!」だ!
最初のおすすめは、創業時から変わらない「にこみ」。牛もつ、大根、こんにゃくを味噌ベースの出汁で煮込んであり、「定番だね!」と嬉しそうなきたろうさん。武藤さんも「お肉がトロトロ〜」と目を細め、ご主人は、「『酎ハイ』と『にこみ』はウチのこだわり!」と胸を張る。
実は「三祐酒場」は焼酎ハイボールの起源と深いかかわりがある酒場として知られ、店の暖簾にも、「元祖 焼酎ハイボール」の文字が! 「このチューハイは昭和26年に私の叔父の奥野木祐治(享年60)が作りました。当時、アメリカ駐屯地のバーでウイスキーハイボールを飲んだ叔父が感激し、それをヒントに考案。焼酎を炭酸で割り、独自の配合で作ったエキスを混ぜます」とご主人が教えてくれた。
「三祐酒場」の歴史は98年前に遡り、創業者は晋助さんの祖父・奥野木祐助さん(享年103)。昭和2年に三祐酒場の前身「三祐酒店」を開業し、昭和41年に暖簾分けして、「三祐酒場 八広店」を開業。晋助さんの父・晃三(こうぞう)さん(享年62)と母・千代子さんが店を任された。そして、晋助さんは24年前から両親の跡を継ぎ、暖簾を守り続けている。
次に登場したのは、こちらも創業時から変わらない「串かつ」! 豚かつサイズの巨大な串かつに驚きながら、アツアツを頬張るふたり。「衣がザックザク!」と武藤さんは大喜びで、ご主人は、「『にこみ』と『串かつ』だけは、先代から変えないように言われた。でも、実際、私が食べても、これは変える必要がない!」と自信たっぷりだ。
墨田区曳舟で、老舗酒場の次男として生まれ育ったご主人。大学卒業後、様々なアルバイトを経験し、本格的に料理人修業を始めたのは24歳の時。「料理の道に入ったのが遅かったので、並みの努力では無理」と、早朝からスーパーの魚売り場で働き、その後は料理屋で夜中まで働いたという。「でも修業は楽しかった。やっぱりこの仕事が向いてるんでしょうね」と笑うご主人に、きたろうさんは、「親父のDNAだね!」と納得するばかり!
むろあじの「くさや」が登場!!
そして、次のおすすめは、なんと、「むろあじくさや」! 独特の匂いや風味のある「くさや液」に浸けて作る干物で、初めて食べる武藤さんは、おそるおそる口に運び、「味はおいしい!」とモグモグしながら、「なんか生命を感じます(笑)」と飲み込んで、チューハイをグビグビ! 「お口直しに」とご主人が出してくれた「生のり三杯酢」をいただいて、「さっぱり! ここまでがセットですね」と、ほっとした様子だ。
ところで、二代目女将の幸子さんは、もともと店のお客さん。当時はお付き合いしていた男性と来店していたそうだが、その後、その男性と別れた幸子さんは、晋助さんと半年間の交際を経て平成18年に結婚。女将は、「主人はいろんな意味で、熱い人」と言い、ご主人は、「大変なこともあるのに、よく私についてきてくれる」と感謝する。常連客のみなさんも、「ふたりのケンカはしょっちゅう」と言いつつ、「それもお店の名物」、「ケンカするほど仲が良い」と笑いあった。
ここで、ご主人が考案し、2年前からメニューに加えたという「三祐特製シウマイ」が登場! 「大きい〜。存在感がすごい!」と大興奮のふたり。「ジューシーでおいしい!」、「ひき肉が旨い!」と絶賛だ。
老舗酒場の伝統を守りつつも、時代に合わせたやり方を模索し続けるご主人。「暖簾を継ぐというのは、単純に同じ暖簾をかければいいわけじゃない。商売って、自分がやりたいことと、お客さんから求められていることの差を埋めないと成り立たない。そのために毎日いろんな努力を続け、切磋琢磨するんです。祖父や先代からは、その気持ちを継いだと思っています」と熱く語った。
さてここで、23年前にリタイヤした先代女将の八千代さん(91歳)がご登場! 先代ご主人について伺うと、「遊び人の旦那だよね」と笑う。そして、晋助さんのことを、「しっかりやってくれて、助かるよ」と認め、二代目女将の幸子さんも「こまめに気が付く人」と太鼓判を押した。
〆は、「無水キーマカレー」をガーリックトーストと一緒に。野菜や赤ワインなどの水分だけで作るキーマカレーに、「味がぎゅっと詰まってる! 辛すぎず、お酒にあうカレー!」と、止まらない武藤さんであった。
「あと約1年半で丸60年。さらに1年経つと、『三祐』の屋号ができてから100年。それまでは続けたい」とご主人。酒場とは、「職場であり……、楽しみであり……、いろんな人との出会いの場であり……」と絞りきれず、きたろうさんに「0点!」と言われて大笑い!