東京都台東区谷中で創業29年目!
15歳から厳しい料理修業を重ね
人気酒場を作り上げた男の物語
名物の絶品刺身!「お好み三点盛り」
東京都台東区谷中(やなか)にやってきた、きたろうさんと武藤さん。谷中銀座商店街をぶらぶらしながら向かった今宵の酒場は、創業29年目を迎えた老舗店「季節料理の店 みさき」。厨房で腕を振るうのは、ご主人の三崎進さん(67歳)だ。昭和の風情が残る賑やかな店内で、さっそく、ふたりは焼酎ハイボールを注文して「今宵に乾杯!」
まずは、日替わりの「お通し三種盛り」。この日は、島豆腐、つくねのカレー煮、鯛の南蛮漬け。島豆腐は沖縄の豆腐で、「ちょっと固めですが、味がいいんですよね」とご主人。ふき味噌と一緒にいただけば、さらに絶品で、「うちのカミさんが沖縄出身」と聞いて、納得するばかり!
最初のおすすめ料理は、お刺身「お好み三点盛り」。“おまかせ”でお願いした盛り合わせは、真鯛、メバチマグロ、つぶ貝。まずはご主人こだわりのメバチマグロの赤身からいただいて、「おいしい〜」とうっとりする武藤さん。続いて愛媛県産真鯛に、「上品な甘み!」と感激。コリコリとした歯ごたえの北海道産つぶ貝も新鮮そのものである。
岩手県の一戸町で生まれ育ったご主人。「小学生のとき、はじめて食べた寿司屋のちらし寿司の旨さに感動して、寿司屋になりたいと思った」そうで、中学卒業後は、迷わず盛岡市の寿司店で働き始めたという。「仕込みを全部やって、賄いを任されたんですが、何も知らない15歳の小僧には大変でした。その頃、私は左利きで、最初に左手で包丁を持ったら、ぶん殴られて。和包丁は片刃だから、右手で使わなきゃダメだったんです」。
その後、20歳で寿司店を退職し、岩手県内の和食料理店に就職。23歳で上京した。「和食料理店に入って一番大変だったのは、やったことのなかった揚げ物。油の音を聞いて、温度を判断して調整するのが大変だった」という。「最初は誰も教えてくれないんです。だから先輩を飲みに誘って、酒飲みながらゴマすって教えてもらうんです(笑)」。厳しい修業も、「料理が好きで入ったし、自分が選んだ道。これ以外のことは何もできない」と強い意志で挑み続けたご主人は、25年間に及ぶ修業を経て、平成9年、40歳で「みさき」を開業したのだ。
そんなご主人だが、上京当時は、東京での暮らしに戸惑いを感じていたそうで、「東京は落ち着かない場所で、息苦しさが常にあった」と振り返る。「東京に出てきた途端、給料が3倍になって、店を変わるたびに給料が増えていく。東京って怖いと思いました」と苦笑いだ。
驚くほどのおいしさ!「ゴーヤチャンプル」
続いては、「島らっきょの天ぷら」を。きたろうさんは、「俺、らっきょ好きじゃないんだよ」と言いながら口に運び、「これは、らっきょじゃないよ(笑)。らっきょ嫌いでも食べられる。旨い!」と感激。武藤さんも、「普通のらっきょよりもクセがなくて、食べやすい」と気に入った様子で、ご主人は、「これはカミさんの甥っ子が宮古島で作った島らっきょの新物」と胸を張った。
次に登場したのは、「ゴーヤチャンプル」! 具材は、島豆腐、ゴーヤ、ランチョンミート、もやし、卵。「ゴーヤチャンプルもなかなか食べないよなぁ」と言うきたろうさんだが、一口食べて、「うまい!」と目の色が変わる。ご主人は、「食べ慣れない人にも食べやすいように」と、ゴーヤを薄めにスライスし、具材それぞれの火の通り方を考えて、ひとつひとつ炒め時間を変えるという。味付けも、「ゴーヤの苦さが他の具材に移ってしまわないように、最後に塩胡椒、醤油、ごま油を入れて軽く混ぜるだけ」と気を配り、面倒な手間も「それでお客さんがおいしいと言ってくれるから」と厭わない。それでも、料理のこだわりを伺うと、「こだわらないのが、こだわり!」と言ってのけ、きたろうさんたちを驚かせるのだった。
さて、ここで「茄子チーズ焼き」が登場! 茄子と玉ねぎ、豚肉を炒め、チーズを乗せた、ちょっとおしゃれな一皿。トロトロの茄子にケチャップととろけるチーズの相性は抜群! ふたりは大喜びである。
「お客さんがおいしいと言ってくれる、それだけでやっていてよかったと思います」とご主人。常連さんは、お店の魅力について、「旬のものを美味しくいただける」、「マスターの職人気質なところ。魚の仕入れから、なにからなにまで職人!」と話し、従業員の女性は、「お客さんとマスターの距離が近くて会話が楽しめる」とも。ご主人は、「人に恵まれて育ってきたので、嬉しいし、ありがたいです。みんなに助けられてやってきました」と謙虚な言葉。きたろうさんは、「成功する人って、出会いが恵まれてるよね。それも大将の人柄だよ!」と頷くのだった。
最後の〆は、ご主人の故郷岩手県産の鶏を使った「とり雑炊」。「卵がとろっとろでおいしい! ごま油もいい香り〜」と目を細める武藤さん。きたろうさんも、鶏の旨みに喉を鳴らしながら、「〆にぴったりだね」と大満足!
ご主人にとって酒場とは、「ストレス発散の場。おいしいものを食べて、一緒に会話して、喜んで帰ってもらいたい!」。最高の酒場である。