創業43年の老舗酒場!
飽きのこないお袋の味で常連客を魅了し
暖簾を守り続ける女将の物語
鮮度抜群の刺身は最高の旨さ!「お任せ盛り」
今宵の舞台は、東京都足立区青井。つくばエクスプレス青井駅からきたろうさんと武藤さんが向かった今宵の酒場は、昭和57年創業の「居酒屋 やまびこ」。まもなく創業44年目を迎える老舗店をひとりで切り盛りするのは、女将の木村洋子さん(77歳)だ。落ち着いた雰囲気の店内で、ふたりはさっそく、焼酎ハイボールを注文して「今宵に乾杯!」
本日のお通し「板わさ」に続き、最初のおすすめ料理は、刺身の「お任せ盛り」。女将自ら足立市場で仕入れているそうで、この日は、生ダコ(北海道産)、生まぐろ中トロ、シマアジ(愛媛県産)の盛り合わせだ。捌きたての生ダコは吸盤がまだ動いている状態! シャキシャキと音が出るほどの噛み応えに武藤さんは感動し、続いて食した中トロに、「脂がのって、味が濃くておいしい〜」とうっとり。「どれもこれも新鮮でおいしい!」ときたろうさんも、興奮気味だ。
宮崎県の高校を卒業後、上京して叔父が営む会社で事務員として働いていたという女将の洋子さん。昭和45年、23歳で結婚し、2年後、もともと洋服の卸問屋に勤めていた夫(巌さん・享年71)とともに洋品店を開業した。「当時流行していたツッパリの制服やボンタンなんかを売る男子専科だったんです(笑)。10年くらいやってましたが、赤字で……。それで、次に何をするか考えたところ、母が料理上手だったし私も料理が大好きだから、居酒屋をすることにしたんです」。すると、その決断は大成功! 開業当初から店は盛況だったそうで、「その頃、周辺には酒場などなく、こんないい商売があるのかと思うくらい大繁盛でした。当時は景気がよくて、商店街は黒山の人だかりでしたから」と嬉しそうに振り返り、店名「やまびこ」には、「呼べばお客さんが来る」という願いを込めたと教えてくれた。
料理修業の経験はなく、全て自己流という女将。「私は九州出身なので味付けが甘口。だから味付けについて文句を言われたりもしましたが、いろいろ工夫やアレンジを重ねてやってきました。まだまだ日々勉強です」
そんな女将が、お袋の味を再現した家庭料理が、日替わりの煮物。宮崎地鶏を使った「地鶏筑前煮」は、歯応えのしっかりした地鶏とゴロゴロ野菜がたっぷり入った煮物で、「地鶏の歯応えが全然違う! お酒にも合うね」ときたろうさん。武藤さんも、「噛めば噛むほど旨みが出る! 野菜も柔らかくて、ほっとする味」と堪能した。
〆は滋味あふれる宮崎地鶏の親子丼!
そして、次にいただくのは、生きたどじょうを揚げた「活どじょうから揚」! 「どじょうが逃げ出してしまった……」とつぶやきながら女将が揚げてくれたから揚げに、「意外とクセがないんですね!」と武藤さん。「食べやすくて、ちょっとつまむのにぴったり」と気に入った様子だ。「夏の今の時期だけの限定メニューです。いつも同じじゃなくて、珍しい料理があったほうが、お客さんも喜んでくれる」と話す女将に、「お客さんのこと考えてるね〜」ときたろうさんも感心しきりだ。
長年店に通う常連さんも、店の魅力は、「家庭料理を超えた料理のおいしさ。女将は謙虚な中にちょっとしたお色気もあるし、接客も上手」と話し、女性の常連さんは、「女将は人の悪口は言わないし、すごく感じが良い。だから自分の悩み事があるといつも聞いてもらうんです」と話してくれた。料理の腕もさることながら、飾らない人柄で、お客さんからの信頼を集める女将。そんな女将と常連さんたちには、毎年楽しみにしているイベントが! バスを借り切っての旅行会を年に一回開催しているそうで、「出発すると同時に飲み始めての宴会になる(笑)」のだとか。
コロナの時期には「何度も辞めようと思った」と言う女将は、お客さんからの「やってほしい」という声に背中を押されて、続けてこられたという。愛あふれる多くの常連さんたちに支えられてきた女将だが、「昔は、泥棒が入ったことがあって。冷蔵庫にあったマグロの柵とごはんを食べていったんですよ(笑)」と笑い話のような出来事もあったのだそう。
さて、ここで、「砂肝にんにく炒め」が登場! 女将が幼い頃から食べていたという、母親直伝の思い出の味だ。武藤さんは「サクサクした歯応えがいいですね! ニンニクと砂肝の味が、バランスがよくてすごくおいしい」と頬が落ちそう。きたろうさんも「旨い」を連発!
店をやる上で大切にしているのは、「手抜きをしないこと。いいかげんに料理を出すことは絶対しない」と断言する女将。「働きものだなぁ……」と言うきたろうさんに、「働くのが好きなんですね!」と明るい笑顔を見せ、「忍耐と努力で地道にコツコツやってきました。自分でもよく続いたと思いますね」と話した。
最後の〆は、「地鶏親子丼」。宮崎地鶏の旨みを活かし、砂糖は一切使わずに作るとのこと。きたろうさんは一口食べるなり、「完璧に旨い! これは〆で頼むお客さん多いでしょ!」と最後まで箸が止まらないのだった。
女将にとって酒場とは、「やまびこの暖簾の奥に至福あり」と見事な回答。
考え抜いたすばらしいお言葉、いただきました!