辛さ、旨さ、コクの三位一体!
絶品旨辛料理を武器に
酒場激戦区で勝負を続ける男の物語
「火祭りつくね」にノックアウト!
東京都江東区門前仲町にやってきた、きたろうさんと武藤さん。1627年創建の富岡八幡宮にお参りして向かった今宵の酒場は、「地獄豆腐 みはな」。旨辛料理が自慢とのことだが、辛いものが苦手なきたろうさんは少々不安げ。一方、辛いもの大好きな武藤さんは意気揚々と店内へ。ご主人の河合弘徳さん(59歳)に迎えられ、さっそくふたりは、焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」
「まずは、つくねのちょっと辛いのを」とご主人。出てきた「火祭りつくね」は、一見、たいして辛そうにも見えず、パクリといったきたろうさん。「なんにも辛くない……」と言いかけて、一瞬固まり、「ものすごい辛い……」と顔をしかめて、むせ込む! ハバネロ入りの唐辛子をつくねに練り込んでいるそうで、文字通り、口の中は「火祭り」だ!
「もともと辛いもの好きなの?」と聞くきたろうさんに、「好きでしたね……」とご主人。「でも、お客さんの辛さのレベルがすごいんで、今となっては“辛いもの好き”とは言わない」と苦笑い。
そんなご主人は、新宿区神楽坂で生まれ育ち、大学卒業後は大手食料品店に就職するも、24歳の時、学生時代にアルバイトをしていた酒場のオーナーに誘われ、転職。いきなり店長に抜擢されて酒場で働き始めた。22年間店長を務め上げると、平成24年に46歳で独立。独立前にご主人が考案して評判を呼んだメニュー「地獄豆腐」を店名として採用し、門前仲町に「地獄豆腐 みはな」を開業したのだ。ちなみに、「みはな」は、ご主人の4人の子どもたちの名前が由来だそう。
続いては、シャキシャキの大根に特製唐辛子味噌をつけていただく「辛味噌大根スティック」。辛さを恐れたきたろうさんは、何食わぬ顔で辛味噌をスルーして、大根だけをポリポリ。武藤さんに「いやいや、辛味噌つけてくださいよ!」とツッコまれ、おそるおそる辛味噌をつけて食すと、「全然大丈夫だ! 味噌がおいしい!」と一安心。しかし、「徐々に来るね……」と後からくる辛さにまたまた痺れる。武藤さんは、しっかり辛味噌をつけて口に運び、「確かにお味噌がおいしい! つける量で辛さが調整できていいですね!」と大喜びだ。
次に登場したのは、「チョリソーと唐辛子の辛いピザ」。生地部分にはナンを使い、ピザソースの上にはハバネロ入り唐辛子をたっぷり! チョリソーとチーズを乗せて焼いてある。「おいしい! これはお酒が進む辛さ!」とパクパク食べる武藤さん。その横で、きたろうさんは、ハーハー、ヒーヒー! 「もう一口食べるには勇気がいる……」と言いながらも、「確かに、辛さだけじゃなくて旨みがある。それがすごい」と感心せざるを得ないのだった。
〆は名物「地獄豆腐」!
ネットやSNSなどを見て来店するお客さんも多いという。辛いもの好きのお客さんに合わせてさらに辛いメニューが増えたとも。激辛料理もあるが、「自分では味見しません! 辛みのベースは決まっていて、それに足していくだけだから」と笑いながら、「『どれくらいの辛さ?』って聞かれるのが、すげぇ困るんです。俺の辛さの基準ととあなたの基準って違うから。だから、聞かれたときは、『一回、食べてみてください』って言います!」
創業から13年。名物の旨辛料理で人気店となった「みはな」だが、実は辛くないメニューも豊富に取り揃えている。「みはなサラダ」をはじめ、「串焼き盛り合わせ」や「山芋磯部揚げ」など、料理の世界に飛び込んで35年のご主人が丁寧に作り上げる、お酒が進む料理ばかりなのだ。
さて、お次は「ハバネロポテト」を! 続々登場する旨辛料理に「今日は楽しいですね!!」とテンションが上がる武藤さん。ハバネロ入り唐辛子の粉末をたっぷりまぶしたフライドポテトは見るからに辛そうで、きたろうさんは、唐辛子の粉を払い落しながら食し、「大将、なんか面白がってるだろー! 辛いって悶える人を見て!」と恨み節。ご主人も、「そうですね、ちょっとうれしくなっちゃいます」とニヤリ。
常連さんたちからも旨辛料理の評判は上々なうえ、「大将のキャラも店の魅力」、「こう見えて意外と真面目で熱い人」、「一緒に楽しい時間を作ってくれる」と愛されているご主人。常連さんのひとりは、「離婚して一人になった時に、1週間に1回連絡くれて、おかずを作っておいてくれた」と、ご主人の温かい人柄がわかるエピソードも教えてくれた。
〆は名物「地獄豆腐」! 辛さは5段階の真ん中3辛で。鉄鍋の中は韓国唐辛子と和唐辛子を加えたコチュジャンベースの真っ赤なスープ! 具材は木綿豆腐、豚肉、もやし、キャベツ、ニラ、玉ねぎ、えのきと具沢山だ。武藤さんは、「おいしい〜! まず辛さがきて、その後からほんのちょっと甘みがある」と箸が止まらず、きたろうさんも、「3辛はちょうどいい! 旨いよ!」と感激。それでも、やっぱりゴホゴホむせ出すきたろうさんに、「辛すぎるようなら、『お助けタマゴ』を」とご主人。すき焼きのように生卵につけていただけば、「優しい味だね。心配なく食べられる」ときたろうさんも目を細めた。
ご主人にとって酒場とは、「友達を作る場」。辛くとも、味わい深い酒場である。