社会人野球を引退し酒場の世界へ!
第二の人生を歩み続ける男が営む
創業48年の老舗酒場
際立つおいしさ!「土佐かつを叩き」
今宵の舞台は、東京都台東区浅草橋。問屋の多い「モノづくりの街」として知られる浅草橋できたろうさんと武藤さんがお邪魔したのは、昭和52年創業の「酒小屋(さかごや)」。ご主人の津川元(はじめ)さん(77歳)に威勢よく迎えられ、さっそく、ふたりは焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」。「声と態度がデカいんです!」と自負するご主人は、きたろうさんと同い年だ。
最初のおすすめは、高知県土佐清水市から直送の「土佐かつを叩き」。自家製タレとたっぷりのネギでいただけば、「うまいねぇ! 土佐の香りがする」と目を細めるきたろうさん。武藤さんも、「おいしい! 味が濃くて、タレもおいしい」と感激だ。ご主人は、「高知には100回行った」と言うほどの高知ツウ。「長男が高知県の明徳義塾高校に野球留学してたからね」と、その理由を明かすと、きたろうさんが、「えっ、明徳義塾!? すごい名門校じゃん!」とびっくり!「甲子園初出場のとき4番バッターで、大会1号、2号ホームランを打ったのが息子!」と誇らしげなご主人だ。その後、長男の力さんは、平成3年にヤクルトスワローズからドラフト4位指名されて入団し、プロ野球選手に! 退団後はプロ野球の審判員となり、現在も活躍中である。
実は、徳島県で生まれ育ったご主人も、酒場を始める以前は、社会人野球の選手だったという。小学生のころから野球一筋で過ごし、高校卒業後に上京したご主人は、社会人野球で4年間にわたり活躍。その後、22歳で引退し、酒場の世界へ飛び込んだ。いくつかの居酒屋での修業を経て、29歳でまずは新宿に最初の「酒小屋」を開業。「苦労して集めた資金で、いきなり直球勝負!」すると、「開店初日から、『こんなに儲かるのか!』と思うくらい」順調なスタートだったという。その後は、移転をくり返しながら店を大きくし、37年前、40歳の時に、ここ浅草橋に現在の「酒小屋」を開業したのだ。
続いてのおすすめは、愛媛県松山から直送の「じゃこ天」。ご主人が「なかなか噛み切れない。飲み込むタイミングが難しい」というほどの歯応え! きたろうさんは、「うまいね、魚本来の甘みがある」と舌つづみをうち、武藤さんも、「練り物でここまでの歯応え! 東京ではなかなか食べられないですよね」とチューハイをグビグビ!
実は絶品!! 「ウツボの唐揚げ」
ここで登場したのは、なんと高知県直送のウツボを使った「ウツボ唐揚げ」! 「ウツボって食べられるんですか!?」と驚く武藤さんに、「旨いんだよ。ファンも多い」とご主人。カリッと揚がった一口サイズの唐揚げを口に運んだ武藤さん、「あ、おいしい! 白身魚のフライみたい」と気に入った様子で、きたろうさんも「脂がおいしいね〜」と感心しきりだ。
長男の力さんは、今も時々、店に立ち寄るという。「息子は親父に憧れて野球を始めたんだろうね」と言うきたろうさんに、「生まれる前からプロにしようと思ってたからねぇ! 長男のリトルリーグ時代は私が監督もやってたし」と力が入るご主人。野球好きのきたろうさんと、しばし野球談議に花を咲かせていると、常連さんが、「大将は野球愛がすごい。いつも9割が野球の話」と言い、「親父さん最高でしょ!」、「元気でパワフルで熱い人!」と口を揃える。豪快で飾らないご主人の人柄は、常連さんを惹きつけてやまないようだ。
続いては、「阿波の竹ちくわ」を。こちらも徳島県小松島から取り寄せた一品だ。竹棒を持って、かじりつくふたり。予想以上にしっかりとした噛み応えに、武藤さんは、「魚の旨みがすごい! 外側の皮と内側の練り物の食感が違って、これもまた楽しい」と堪能した。
開業以来、腕の立つ料理人を雇い、主に接客と経営に努めてきたご主人。現在、厨房で腕を振るうのはキャリア50年のベテラン料理人・坂本竜也さんだ。20年来の付き合いとなる頼れるパートナーに話を聞くと、「社長は真っすぐで一本槍。強情なところもある」と言いながら、「60代の時はすごい力があって強くて、デカい調理場の冷蔵庫をひとりで運んだりしてましたね」と裏話。そして、「60代くらいまでは、社長が全部メニューを設定して料理もほとんどやってたんですよ」と明かし、きたろうさんは、「大将、爪を隠すねぇ!」とツッコんだ。
そんな話をしていると、ご主人の携帯電話が鳴る。かつて所属した明治安田生命野球部の監督から試合結果の報告だという。そして、しばらくするとまたまた電話が! 次はご主人のお孫さん(笑)。もちろん野球をやっているそうで、「野球やんなきゃ、ウチの家族じゃないですよ!」と豪語するご主人であった。
〆は、店の名物「お好み焼き」で。武藤さんは、アツアツをハフハフ食べて、「ふわっとしてますね。今日のお料理はどれもちゃんと旨みがあっておいしい〜。それに軽いから、気づいたら無くなってる(笑)」とペロリ。
酒場をやってよかったのは「人との出会い」と言うご主人にとって、「酒場とは憩いを提供する場所」。
最後もまた、ご主人の豪快な声で「ありがとうございましたっ!」と見送ってくれた。