東京都荒川区町屋で創業55年!
幼なじみの夫婦が二人三脚で守る
人気老舗酒場の暖簾
足立市場で仕入れる鮮度抜群の魚介料理!
今宵の舞台は、東京都荒川区町屋。東京メトロ千代田線と京成本線、路面電車(東京さくらトラム)が走る下町で、きたろうさんと武藤さんが向かったのは、昭和45年創業の老舗酒場「居酒屋 まる」。二代目主人の桑原健次さん(55歳)と“みっちゃん”の愛称で親しまれている妻の美智子さん(50歳)に迎えられ、ふたりは、さっそく焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」
まずは本日のお通し「鰤の卵つまみ」を。煮つけたブリの卵はしっとりとお酒が進む味わい。きたろうさんが、「ブリっ子は十夢!」とつぶやくと、ご主人は「僕はAKBのファンだったので、研究生のころからずっと十夢ちゃん応援してました」と言うから、武藤さんは照れながらも嬉しそう!
最初のおすすめは、お刺身「ちびまる盛り合わせ」。「足立市場が近くて鮮度がいいものが手に入る」そうで、この日は、とろけるような中トロ、脂ののったブリ、軽く表面を炙ったカツオ、旨みたっぷりのタコや甘エビが並び、どれも鮮度抜群! あまりのおいしさに悶えるふたりである。
店は創業55年。先代の父・春松(享年59)さんが、昭和45年に、ここ町屋に喫茶店「マル」を開業した。「父は割烹で修業したのですが、当時は喫茶店が大流行で、喫茶店として開業したんです。でも夜にはお酒や煮物なんかも出していたらしい」とご主人。昼は喫茶店、夜は酒場という二刀流で営業し、約30年間、地元の人々に愛されてきたという。そして、健次さんが二代目を受け継いだのは23年前、32歳の時だった。「父は、僕が継ぐことを知らないまま他界して……。その前に母も亡くなってるので、両親に感謝することができなかった。だから、今、もし会えるなら感謝したい」。そう語る健次さんは、高校卒業後、父に憧れて料理の世界へ。「住み込みで鍋割烹の店に入って、そこで基本を教わりました。先輩から殴られ、蹴られもしましたが、ちょうどバブルのころで、18歳で30万円くらいもらってましたから。今、思うとすごいですよね(笑)」と振り返る。そして、14年にわたり6軒の和食料理店で厳しい修業を積んだのち、平成14年に店を受け継ぎ、酒場として再スタートを切ったのだ。
次のおすすめは、「ぶり大根」。「うわ、ブリが大きい!」と歓声を上げながら、一口食べれば、「大根って旨みをなんでも吸収しちゃうね」と喉を鳴らすきたろうさん。武藤さんも、「おいしい〜! ブリの身もホロホロ〜」と目を細めた。
絶品!「秋鮭と木の子のちゃんちゃん焼き」
実は、ご主人と美智子さんは幼なじみだそうで、「みっちゃんは、もともと栄養士で料理が得意。可愛いし、優しいし、料理も上手で完璧」とベタ惚れのご主人。みっちゃんも、「彼の真面目なところがいい。顔じゃなくて心です」と結婚を決めたとか。そして、「結婚当初から、一緒にお店をやるという覚悟はありました。ただ、最初からいい女将さんになるのは難しかった。厳しいお客さんもいますから。でも今は、みなさんに可愛がっていただいて、とても幸せです」と語ってくれた。
ここで登場したのは、「秋鮭と木の子のちゃんちゃん焼き」。ごま油やにんにくなどで味付けした特製味噌をかけてホイル焼きにしてあり、きたろうさんは「旨いな〜」と感激。武藤さんも「鮭とお味噌が合いますねぇ」と大満足だ!
店の魅力について、常連さんたちは「旬の料理を食べられる」、「一人で来ても楽しい」、「大将が気さくで優しくて居心地がいい」と、それぞれに絶賛! 今では人気酒場となった「まる」だが、開業当時は苦労の連続だったとか。「開業した後にリーマンショックがあって……。なんとか頑張って盛り返し、店を改装したら、今度は東日本大震災」と苦い思い出を語るご主人。それでも時間とともに軌道に乗り、「ずっと二人で仲良くやっていければ」と穏やかな表情を浮かべる夫婦なのだった。
次にいただくのは「砂肝土手煮風」。名古屋の赤味噌を使って濃いめに味付けした砂肝の煮物は、呑兵衛にはぴったりのお酒が進む一品! 「砂肝が柔らかい! やっぱりこのお味噌がおいしいですね」と大喜びの武藤さんである。
「お客さんが笑って飲んでくれるのが一番うれしいし、それを大切にしている」と口を揃える夫婦。きたろうさんは「夫婦のバランスがいいんだよね」と頷くと、ご主人が「実は、手伝ってくれている有紀ちゃんも幼なじみ。公園で一緒に遊んでいた仲です」と従業員の西村有紀さん(54歳)を紹介。有紀さんいわく、「私も付き合いが長くて、遠慮なく言うからケンカになることもあるんですが、次の日には解決してるという感じ」とのこと。幼なじみならではのチームワークも店の魅力なのだ。
最後の〆は、みっちゃんが試行錯誤の上につくりあげた「タコライス」!食べやすいようにスパイスの種類や量を工夫したそうで、よく混ぜていただけば、「たまんないよ!」ときたろうさん。武藤さんも、「チーズの絡まり具合が最高! おいしい!」と大満足。
恒例の「酒場とは?」の質問に、みっちゃんは、「楽しみが詰まっているバルーンのような場所」と詩のような素敵な答え! 一方、ご主人は「人生そのもの!」。これまた絶妙なバランスである。