酒場激戦区・東京都千代田区神田
創業62年目を迎えた老舗酒場
宮城県の絶品郷土料理に舌つづみ!
宮城県石巻産の絶品「ホヤ刺身」
今宵の舞台は東京都千代田区神田。きたろうさんと武藤さんがお邪魔したのは、神田駅西口から徒歩1分。宮城県の絶品郷土料理が味わえると人気の「季節料理 竹仙」。昭和39年創業の老舗酒場で、二代目主人の瀬古英三郎さん(46歳)と妻の彩さん(37歳)に迎えられ、ふたりは、さっそく、焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」
最初のおすすめは、宮城県から直送の「ホヤ刺身」と「カツオ刺身」。「ホヤは好きな人と嫌いな人が分かれますね。でも、うちの刺身で食べられるようになった人もいますよ」とご主人。きたろうさんは、一切れ口に運び、「もっとクセがあるかと思ったら、めちゃくちゃ食べやすい!」と感激。武藤さんも「おいしい〜! 私は好きです!」とペロリ。続いて気仙沼で水揚げされた「カツオ刺身」に「味が濃い!」と喜び、きたろうさんも「宮城に来たみたい」とゴキゲンである。
ご主人が宮城県の郷土料理にこだわるのは、先代女将の母・瀬古惠美子さん(82歳)が宮城県登米(とめ)市出身ゆえ。惠美子さんは、65年程前に上京し美容師として働いていたが、結婚後、夫・斌(あきら)さん(享年82)と共に「竹仙」を開業。伊達家の家紋に記された「竹」と仙台の「仙」から「竹仙」と命名したそうだ。
次のおすすめは、宮城県栗原市直送「幻宝茸の酒蒸し」。普通の椎茸の2倍はある巨大な椎茸に、「おばけだよ!」と目を丸くするきたろうさん。旨みが豊富であわびのような食感が楽しめるとのことで、食べやすいサイズに切って酒蒸しにした一品に、武藤さんは「旨みがすごい! スープも上品でおいしい」と喉を鳴らした。
もともと料理にはあまり興味がなく、調理師専門学校も行かなかったというご主人だが、母親にすすめられ、20歳の時に家業を手伝い始めた。しかし、「料理長からいじめられて耐えられず」、半年で店を飛び出し、様々な職業を転々とした。再び「竹仙」に戻ったのは32歳の時。「そこからやる気になった」そうで、「母の影響で宮城県出身のお客さんが多かったので、どうせなら宮城の郷土料理を掘り下げたい」と、宮城の郷土料理を増やすことに。そして、店に戻って9年後、母親のリタイアにあわせて二代目に。
「当初は不安でしたね。お客さんの90%は母を目当てに来てたんですから。『ママいる?』と来たお客さんが、いないと知るとそのまま帰っちゃう。キャバクラみたいでしょ(笑)。お客さんからも、『ママいなくなったら絶対潰れる』とさんざん言われた」と苦笑し、「だから、お袋だけが目当てのお客さんを入れないようにして、代替わりしたことを分かった上で入ってもらう。そうすると、少しずつ、料理や店の雰囲気が好きで来てくれるお客さんが増えていったんです」
すいとんと仙台麩が入った「はっと汁」
続いては、「仙台麩出汁唐揚げ」を。フランスパンのような見た目の仙台麩を2cm幅に切り、鰹出汁で煮込んだ後、衣をつけて油で揚げる。武藤さんは、一口食べて、「お麩がふわっふわ! でも外側はサクって感じ〜」とうっとり! きたろうさんは、「シュークリームみたいだね!」とドヤ顔だが、武藤さんは「ピンとこない……」と却下である。
ところで、現在、ご主人とともに働く妻の彩さんも、実は料理人。高校卒業後、調理師専門学校に進学し、卒業後は日本料理の名店「なだ万」に就職。5年間、和食料理人として働いた。「彼女の方が腕がいい」とうれしそうに笑うご主人。ふたりの出会いは、12年前の神田祭。神輿仲間の紹介で会い、ご主人は「結婚するならこの子だと思った」と、1年後に結婚! 夫婦で支え合いながら店を切り盛りしているのだ。
ここで登場したのは、大人気の「竹仙餃子」! ご主人が子供の頃、母親によく作ってもらった“母の味”。しっかり下味がついているので、タレ要らず! 武藤さんは、「ニラの風味が広がって、タレなしでも物足りなさは全くない」と箸が止まらないのだった。
先代女将の惠美子さんは、5年前にリタイアし、現在は生まれ故郷宮城県で暮らしているが、月に一度は店に顔を出し、常連客をもてなしているという。スタッフが惠美子さんに「ずっとここで働き続けては?」と聞くと、「それは、やっぱり若い人たちにお任せしないと。私の人生の自由がなくなっちゃう」と笑い、「今後は息子の好きなようにやればいい。余計な口出しはしないです」と潔し!
「店を残してくれた両親には感謝しかない」というご主人。「昔からのお客さんに、『今が一番おいしい』と言ってもらえたときはうれしかったですね。こうやって毎日料理してるわけだから、進歩していかない方がおかしい。お客さんの好みに合わせて、少しずつでもレベルを上げていきたい」と真剣な眼差しで語ってくれた。
最後の〆は宮城県登米市の郷土料理「はっと汁」。ご主人曰く「伊達政宗が、あまりのおいしさのため、“法度”にした」とか。小麦粉の団子と仙台麩を醤油と鰹出汁で煮込んであり、「モチモチとふわふわが一緒に食べられておいしい!」と武藤さん。きたろうさんも、「シンプルだけどおいしいなぁ」としみじみと味わった。
ご主人にとって、酒場とは、「人生になくてはならない場所」。彩さんにとっては、「憩いの場。落ち着く場所。お酒が美味しく飲める場所」。
それを聞いて、きたろうさん、「やっぱりいいよなぁ。酒場、だ〜い好き!」