焼き鳥好きが高じて25歳で脱サラ!
様々な苦労を乗り越えて
老舗酒場の暖簾を守り続ける男の物語
看板メニューの「焼鳥」に舌つづみ!
今宵の舞台は東京都江戸川区船堀(ふなぼり)。きたろうさんと武藤さんがお邪魔したのは、都営新宿線船堀駅のガード下で創業39年の「炭火焼鳥 いなほ」。焼き台の前で腕を振るうのは、三代目主人の小暮聡さん(43歳)だ。お客さん同士が肩を寄せ合う昭和レトロな雰囲気の店内で、ふたりは、さっそく、焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」
最初のおすすめは、看板メニューの「焼鳥」。「焼き鳥が大好きで、今でも仕事終わりに焼鳥屋さんによく行く」というご主人が備長炭で焼き上げる「白レバー」と「せせり」。わさびでいただく「せせり」に、「いやぁ、旨い! わさびが利いてるね〜」と感激するきたろうさん。「白レバー」が大好きという武藤さんは、「口いっぱいに広がるこの感じが幸せ〜」とうっとりだ。
千葉県印西市で生まれ育ったご主人。25歳までサラリーマンだったそうで、「料理経験もなく、レタスとキャベツの違いも分からなかったくらい」と笑う。しかし、25歳の時、大の焼き鳥好きが高じて酒場に興味を持ち、昼はサラリーマンとして働きながら、夜は焼鳥屋でアルバイトを始めた。「やってみると、すごく大変で。キツいので辞めさせてほしいと言ったんです。そしたら、オーナーに、『じゃあ、昼間の仕事を辞めてきたら。サラリーマンやってても先が見えないんでしょ? 自分で店やりたいんでしょ?』って言われて」と、酒場の仕事一本に絞ることを決意。焼鳥店で約6年、割烹居酒屋で約2年の料理修業を重ね、料理の技や酒場経営ノウハウを身につけたのだ。
続いてのおすすめは、自家製タレでいただく「つなぎ」と「もも」。心臓と肝臓を繋ぐ血管部分「つなぎ」は希少部位。「柔らかくて脂が甘い! おいしい〜」と舌つづみを打つ武藤さん。焼き鳥好きなご主人が、「いろんな種類を食べられるように小ぶりにしてます」というサイズ感もちょうどよく、「もも」もペロリと平らげる二人であった。
昭和61年にこの場所で開業した「いなほ」。創業者も二代目のオーナーも、小暮さんとは直接の関わりはなかったそうだが、彼の独立願望を知っていた知人が、リタイヤを考えていた二代目オーナーと引き合わせてくれたのだとか。そして、平成27年に先代から店を譲り受け、「いなほ」三代目の主人となったのだ。
ここで次のおすすめ、「牛すじ塩煮込み」が登場! 牛すじを自家製だしと塩で1時間煮込み、仕上げにネギを乗せたシンプルな一品。きたろうさんは、「う〜ん、旨い! 何の嫌味もないね」と唸り、武藤さんも「味がしっかりしてるのに重くないんですよね」と大満足!
〆は絶品! パリパリふっくらの「焼きおにぎり」
店を受け継いだ当初は、昔からの常連さんに、「お前に出来んのかよ!?」、「お前とはウマが合わねぇ!」などと厳しい言葉をかけられたそう。それでも1年もすると手ごたえを感じるようになり、店を引き継いで5年後には常連客も増えて店は順風満帆だったという。しかし、そんなタイミングでコロナ禍に突入。一気に店は存続の危機に……!
「すっごく不安で、店を辞めたいと思うこともあった」と言うが、緊急事態宣言時には、「食材を捨てるのはもったいない。近隣の人に無料で配ろう!」と、1日約400本の焼鳥を約1カ月間、無料提供したのだとか! 「こんな時に、人のために何かできるんだったら、いいなと思って」とご主人。きたろうさんと武藤さんは、驚き感心するばかりだが、「でも、奥さんは怒るでしょう!?」ときたろうさん。この質問に、妻・三貴子さん(36歳)本人にご登場いただき、答えてもらうことに! 「反対はしませんでした。偉いなと思いましたね。でも仕込みがすごく大変で、彼は倒れそうになってました」と振り返る。
ご主人が以前働いていた酒場で出会い、22歳で結婚した三貴子さんは、結婚から4年後、ご主人の独立後に「いなほ」で一緒に働き始めた。ご主人のことを「やさしくて面白い人」と言いながら、「直してほしいのは、お酒を飲んで説教すること」と笑う。3人の子育てをしながら家庭を守り、店が忙しい時には出勤してご主人を支え続ける。そんな彼女がいてこそ、ご主人は安心して酒場の仕事を続けられるのだ。
次に登場したのは、「ホッケ炭火焼き」。「炭で焼くと、ふっくら加減が全然違う」とのことで、武藤さんは、「おいしい〜! 脂がのっていて塩加減もいい」と大喜び!
最後の〆は、「焼鳥屋さんの焼きおにぎり」と「鶏がらスープ」。鶏がらスープは、染み入るような美味しさながら、「しつこさがないんだよ」ときたろうさん。そして焼きおにぎりは、全面を焼き上げた後に焼き鳥のタレをつけて二度焼きし、外はパリパリ、中はふっくら! 最後にバターを乗せた最高の組み合わせに、至福の表情を浮かべる武藤さんだった。
常連さんたちからも、「小暮くんの焼鳥は圧倒的においしい」、「店の魅力は大将」、「お茶目で優しくて明るい」、「お客さんが和気あいあいと楽しめる雰囲気にしてくれる」と慕われるご主人。そんなご主人にとって、酒場とは、「明日の活力になる場所!」。焼き鳥愛あふれる絶品料理と旨い酒で、明日への活力、満タン!!