酒場激戦区の赤羽で創業19年!
カウンターで肩を寄せ合う人気酒場
絶妙コンビの母娘が暖簾を守る!
名物小鉢「白菜と鶏肉のトロトロ煮」
今宵の舞台は東京都北区赤羽。きたろうさんと武藤さんがお邪魔したのは、酒場激戦区の赤羽で創業20年目を迎えた「小鉢屋 かわすじ」。入口の大きなドクロマークの暖簾に一瞬戸惑うふたりだが、店内のこじんまりした雰囲気に「いいねぇ! 赤羽来たって感じ」と大興奮! 女将の古賀奈美さん(61歳)と一人娘の聖菜(せいな)さん(26歳)に迎えられ、さっそく焼酎ハイボールで、「今宵に乾杯!」。
最初のおすすめは、創業時からの名物小鉢「白菜と鶏肉のトロトロ煮」。鶏団子と白菜を煮込んだ、冬にぴったりの一品に、「実に家庭的。いいねぇ〜」とほっこりするきたろうさん。ゆず入り鶏団子のさっぱりとした風味も絶品だ。
暖簾やエプロンにプリントされているドクロマークの意味を尋ねると、「ただ好きなだけ……」と女将。聖菜さんが、「開業当時、海賊物の漫画や映画が流行っていたので。お店のシンボルマークです」と補足説明してくれて、きたろうさんは、「娘がいなきゃダメだね! 全部フォローしてもらってんじゃん」と笑う。
女将は福島県いわき市出身。21歳で上京し、飲食店で働き始めた。33歳で結婚し、聖菜さんを授かると専業主婦として子育てに専念。転機が訪れたのは42歳の時。「最初は友達と店を始めたんです。でもすぐにその友達が辞めて、私ひとりでやることに」。そして、「もともと料理は好きじゃなかったし、修業もしてない。でも、主人に“やれ”と言われたら、仕方ない。最初はもうドキドキでしたよ」と振り返った。
次のおすすめは「はんぺん明太チーズ」と聞いて、喜ぶふたりだが、カウンターの向こうで、(母)「はんぺん買ってきた? 無いよ?」、(娘)「ウソでしょ!」、(母)「あった!」とやりとりする母娘の様子に、少々苦笑い。それでも、はんぺんに明太ソースとチーズを乗せてこんがり焼き上がった一品に、武藤さんは「おいしい! ペロっと食べちゃう」と目を細めた。
幼い頃から忙しく働く母親の姿を見てきた娘の聖菜さん。現在は別の飲食店で働きながら、家業を手伝っている。「けんかは毎日!! マミーは動きがトロい! もう私がやるから、向こうで飲んでて!って感じ」とチャキチャキ! 女将は「娘がこんなに料理ができるとは思わなかった」と言い、きたろうさんは、「しっかりした子に育ったね。幼いころから両親が忙しく働いていた環境で、自立することを覚えたんだね」と頷いた。
手作りの「ホヤの沖漬け」が絶品!
続いては、「ホヤの沖漬け」を。一口食べて、「言われなきゃ何か分からない。クセもなくておいしい」と武藤さん。聖菜さん自らホヤをさばいて手作りしているそうで、「料理センスがすごい!」とびっくりし、さらに聖菜さんの趣味は海釣りと聞いて、納得するのだった。
お店の魅力は、「やっぱり女将。奈美さんに会いに来てます。本当はもっとしゃべるんですよ!」と常連さん。別の常連さんも、「ちょっとヌケてるところが、逆に面白い」、「手伝ってあげたくなる」と口を揃え、女将は「いつも助けてもらってます」と感謝しつつ、「仕事好きじゃないんですよね〜」と、のほほ〜ん! 聖菜さんは、「居酒屋とスナックの間、“イザック”という感じなんです」ときれいにまとめてくれた。
ここで、聖菜さんの「手作りハンバーグ」が登場! と思いきや、またまた、(娘)「ママ、オイスターソースどこ?」、(母)「この辺じゃない?」、(娘)「ヤバい、無いよ」という会話が……。結局、オイスターソースを買って来て調理を再開! タネには隠し味にオイスターソースを加え、ソースには白ワインを使用しているそうで、武藤さんは、「ふわっとしていておいしい! ソースはさっぱり系で軽い感じですね」と箸が止まらないのだった。
ここで、「かわすじ」の隣でバー「酒落頭(しゃれこうべ)」を営む女将のご主人・孝幸さんにご登場いただいてお話を伺うと、「かわすじ」という店名は、「自分の地元・福岡県飯塚市で、頑固者を意味する“川筋者”。それをひらがなにしました」と教えてくれる。奈美さんとの結婚は「なりゆきですね」と照れ気味だが、ふたりの出会いは34年前。孝幸さんは、当時、奈美さんが勤めていた飲食店のお客さんだったそうで、女将は「店から帰る時の、彼の後ろ姿がなんか寂しそうだったから(笑)」と振り返った。
創業から19年。「仕事が好きじゃない」と言いながらも、持ち前の明るさとトークの面白さで、酒場の激戦区を生き抜いてきた女将。「いろんなお客さんがいて、その出会いが楽しい。体が続く限り続けたい」と語る。娘の聖菜さんから見ると、「言いたいことをもっとはっきり言えばいいのに!」と母親にもどかしさを感じることもあるそうだが、そんな人柄だからこそ、娘や常連さんたちに支えられ、店を長く続けてこられたのかもしれない。
最後の〆は、「ホルモン鍋」。牛モツと野菜も盛りだくさんなホルモン鍋は、「旨い! 上品だよ」と感激するきたろうさん。武藤さんも「ホルモンもプリプリ! 万人受けしそうなモツ鍋」と大満足だ。
聖菜さんにとって酒場とは「心のつながる場所。やっぱり本音はお酒が入ってないと語れないから」と答えると、女将も「心のつながり……」と答えて、そのなんとも絶妙な間合いに、一同大笑いである。