東京都葛飾区青戸で創業62年!
両親が築き上げた老舗酒場で
暖簾を守り続ける二代目主人の物語
名物! 備長炭で焼き上げる「焼き鳥」
今宵の舞台は、東京都葛飾区青戸。京成電鉄青砥駅から、きたろうさんと武藤さんが向かったのは、昭和38年創業の老舗酒場「鳥新」だ。店を切り盛りしているのは、二代目主人の越川慎也さん(60歳)。7年前に改装した明るく開放的な雰囲気の店内で、ふたりはさっそく、焼酎ハイボールを注文して、「今宵に乾杯!」
最初のおすすめは、名物の焼き鳥「ハツ」と「せせり」を塩で。「やっぱり炭がいいですね。香りとか後味がとてもいい」というご主人が備長炭で焼き上げる焼き鳥は、ボリュームも満点! 「ほぼ持つところがないくらい串に刺さってますね!」と武藤さんが驚くと、「ギリギリまで刺してます。下町の定番ですね」とご主人。プリプリとした「ハツ」も、噛めば噛むほど旨みが出てくる「せせり」も塩がベストマッチ! 絶品である。
ご主人の父・文雄さんが、昭和38年に開業した「鳥新」。「当時の店は昔ながらの昭和の焼き鳥屋。毎日通う常連さんもいて、席も決まってるような状態でしたね」と振り返る。店のある葛飾区青戸で生まれ育ったご主人は、子供の頃はプロ野球選手に憧れ、家業を継ぐ気はなかったという。しかし、昭和54年、ご主人が中学2年生の時、文雄さんが病気で他界(享年41)。その後は、母・和子さんが店を切り盛りするようになった。「母は仕事命で頑張っていて、その姿を見てたので……。後継者がいないと店は終わってしまうから」と、家業を継ぐことを決意。高校を卒業すると、都内の焼き鳥店で3年間の修業を積み、21歳から「鳥新」で働くようになったのだ。
ここで、次のおすすめ「肉豆腐」が登場! 創業時からの変わらぬ一品は、味の滲みた大きな豆腐に鶏肉がゴロゴロ! きたろうさんは「なんでも大きいね!」とうれしそうに食し、武藤さんも「冬はいいですね〜。寒い時にぴったり!」と喉を鳴らした。
店で働き始めた当初は、常連さんからの厳しい言葉も多かったというご主人。「不味いとか、味が違うとか言われたのはショックでしたね。一生懸命やってても認められない。でも言ってくれる人の方がありがたい。言わない人は二度と来なくなっちゃいますから。それに、長年やってると、だんだん分かってきてくれる。14〜5年はかかりましたけどね」と話す。そして、ご主人が「ずっと働き者でした」という母・和子さん(令和4年に他界〈享年80〉)にも支えられながら、18年前の平成19年に二代目主人として店を受け継いだのだ。
〆は「ミニうな丼」で大満足!
続いては、「やきとり(もも)」と「皮」を創業時から継ぎ足しのタレで。またまたボリューム満点の「やきとり」に思わず歓声を上げるふたりだが、1本150円と聞いて、「それじゃ儲からないよ!」と絶句するきたろうさん。武藤さんは、口いっぱいに頬張って、「ジューシーでおいしい!」と感激し、続いて「皮」を食して、「プルプルですね〜」と大満足だ。
ところで、この日、店内で飲んでいた常連さんたちの中には、ご主人の妻・恵美さん(61歳)の姿も! ご主人が34歳の時に知人の紹介で知り合い、1年後に結婚したという恵美さんは、助産師として働きながら、店が忙しい時には手伝っているという。「お店に立ってる姿がカッコよくて」大将に惹かれたという恵美さん。「彼はすごい働き者。よくやっていると思います」と言い、大将は恵美さんの「すべて」に惚れたと明言する。常連さんたちにも話を伺うと、「もともと地元で美味しいと有名なお店でした」、「焼鳥がおいしくて、コスパがいい!」、「焼き鳥を焼いている大将がカッコいい!」と賛辞の嵐になるのだった。
ここで登場したのは、大人気の「甘酢唐揚げ」。皿に積み上がった唐揚げのボリュームに、「うわー!! 大きい!」と目を丸くする武藤さん。「これでも少し減らしたくらい」とご主人は言うが、きたろうさんも、「一羽分じゃないの!?」とビックリだ。そして、大きな唐揚げにかぶりついた武藤さん、「甘酢がさっぱりしてる! カリッと、ふわっとしておいしい」と大感激!
料理のこだわりは、「鮮度がいい鶏を上手く備長炭で焼くこと」だそうで、「焼き場一生というくらい炭焼きは難しい。炭は生き物なので。だから、まだまだです」と謙虚なご主人である。そして、「両親には感謝してます。店を残していただいて」と言い、「父が最初に開業してくれて、母と私で休まず頑張って、この4階建ての店舗兼自宅のビルを購入できました。それが私と母の夢でした」と話す。きたろうさんは、「みんなで建てたビルってことだね」と頷くのだった。
最後の〆は、「ミニうな丼」と「なめこ汁」。炭火でじっくり焼き上げた鰻はふわふわで身もしっかり。タレの滲みたごはんも最高で、「おいしい〜」と感動の声を漏らすふたり。ご主人は、「父の時代からずっとやってます。タレも鰻用と焼き鳥用と分けてるんですよ」と胸を張った。
ご主人にとって、酒場とは、「一日のご褒美。至福のひととき」。真面目で誠実なご主人の人柄がにじむ、愛され酒場である。