駅から離れた住宅街の人気酒場!
58歳で酒場を開業したご主人が
絶品料理と明るい人柄で客をもてなす
歯がなくても食べられる!?「太刀魚の塩焼」
2025年最後の放送の舞台は、東京都葛飾区金町。きたろうさんと武藤さんが向かったのは、JR常磐線金町駅から徒歩30分ほどの住宅街にある「居酒屋 北さん」だ。創業27年目を迎えた人気酒場を切り盛りするのは、ご主人の北山忠男さん(84歳)と女将の佐野悦子さん(78歳)。常連客で賑わう店内で、ふたりはさっそく焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」
最初のおすすめは、「刺身」。きたろうさんは「鮪中トロ」と「ブリ」、武藤さんは「イカ」と「サーモン」を選んで盛り合わせてもらう。分厚くスライスされた刺身は鮮度抜群、ボリューム満点で、口いっぱいにおいしさが広がる。「漁師の倅(せがれ)だから、子供の時から包丁持ってやってたからね」と胸を張る主人の故郷は、一年を通じて豊富な魚介が水揚げされる福井県越前町。魚のさばき方は、子供の頃に漁師の父親から教わったそうだ。
次のおすすめは、「太刀魚の塩焼」。「細かい骨まできれいにとってますから、歯がなくても食べられる」と笑う。きたろうさんは食べた瞬間に、「旨いね! 海を感じる」と感激! 武藤さんも、「ふわっとしてて、おいしい! まさに素材の味ですね」と舌つづみを打った。
ご主人と女将はご夫婦かと思いきや、「共同経営者です。家庭はそれぞれ別々」とか! ふたりの出会いは今から35年前だという。実は、ご主人は、15歳で福井県から上京後、和菓子店や電機メーカーなど様々な職業を経験してきたそうで、酒場を開業する直前は洋服の縫製加工会社を経営。その会社で経理を担当していたのが、女将の佐野さんだった。そして、27年前、ご主人が酒場を開業するにあたり、佐野さんに声をかけると、佐野さんも、「私は手に職があるわけじゃないし、料理を作るのが好きだったので」と共同経営に賛同。ふたりで酒場を営むこととなったのだ。ところで、そもそもご主人が会社をたたんで酒場を開業したのは、「少年野球の監督を20年くらいやってたんです。かわいい教え子たちの側にいたくて、ここなら、大きくなった教え子たちが集まれるでしょ!」。当時はよく大勢で集まっていたそうで、「『金の無い時はうちに来い、金のある時は他所へ行け』なんて言ってましたね(笑)」と振り返り、今でも店に来る教え子もいるのだとうれしそうに話してくれた。
他にはない絶品料理「揚玉トーフ」
ここで次の料理「豚テキ」が登場! 「これ食ったら、また明日来たくなるよ!」とご主人が絶対的自信を見せる一皿は、またまたボリューム満点!すりおろした大根や玉ねぎを使った女将の手作りソースが味の決め手で、武藤さんも、「やわらかくておいしい! ボリューミーだけど重くない。洋食レストランの味ですね」と大満足だ。
調理は、ご主人が主に魚料理、女将は揚げ物や炒め物などを分担しているそうで、和洋のバランスもバッチリ! ご主人いわく「うちは冷凍食品とか使わないで全部手作りだから調理に時間がかかる。おいしいもの食いたかったら、待っててくれ!って感じ。生意気ですね!」と笑った。
常連さんたちにも話を伺うと、「ママは優しくて、マスターは人付き合いが良い」、「飾らないところが気楽」とお店の魅力を語り、さらには、「他所で飲んでいても、北さんに行きたいと言ったら車で迎えにきてくれる!」と言う。店は最寄りのJR金町駅から約3キロ離れているため、ご主人の手が空いている時は車で送迎(無料)してくれるそうで、ご主人と女将のお客さんを大切にする思いも、店が愛される理由のひとつなのだ。
続いては、女将が作る「揚玉トーフ」を。「他にはないちょっと珍しい料理」と土鍋で登場したのは、カツオ出汁をベースにみりんやすき焼きダレなどで味付けしたスープで豆腐と揚玉、ネギなどを煮た一品。「ちょっと甘めのお出汁がおいしい。揚玉がふわっとしていてお出汁をちゃんと吸ってる」と大喜びの武藤さん。きたろうさんも、「女将、これホント旨いねぇ」と感動しきりで箸が止まらない!
店を辞めようと思ったことは、「しょっちゅう!」「毎日です。儲からないからね」と口を揃えるご主人と女将。「後1〜2年で店を閉めようと思っている」とご主人は言うが、常連さんからは、「ダメよ! ダメ、ダメ!」と声があがり、思わず笑顔になるご主人だった。
最後の〆は、女将の作る「ナポリタン」。「野菜嫌いな人が多いから、いっぱい入れちゃうの」と7種類の具材が入ったナポリタンに、「おいしい〜。これは〆にいいですね」と武藤さん。きたろうさんは、「青春の味だね。思い出すよ」としみじみと味わった。
「『最近どうしてるかな?』と思っていたお客さんが来てくれると、よかった! とうれしくなる」というご主人。酒場とは、「待ち焦がれる場所」だと言い、女将は「ひとりでのんびり飲める、ストレス解消の場」だと言う。「なかなかそういう酒場ないからね。ここがそうだね」ときたろうさんが頷くと、「そう思っていただけるのなら、最高! もうちょっと続けようかなって気になるね!」とご主人の楽しそうな声が響いた。