こだわりの黄金アジに舌つづみ!
地域住民と密接に関わることで
人気酒場を作り上げた男の物語
こだわりの絶品「黄金アジのフライ」
東京都江戸川区船堀にやってきた、きたろうさんと武藤さん。お邪魔した今宵の酒場は、平成19年創業、名物の黄金アジを始めとした絶品料理が味わえる「居酒屋 楓」だ。店を切り盛りしているのは、二代目主人の山田剛史(たけし)さん(55歳)。広々とした明るい店内で、ふたりはさっそく焼酎ハイボールを注文して、「今宵に乾杯!」
最初のおすすめは、「黄金アジのフライ」。「まずは何もつけずに」とのことで、そのままザクっと頬張れば、「おいしい!」「サクサクのフワフワ!」と感激するふたり。ご主人は、「刺身でも食べられる東京湾の黄金アジを使っています。アジは回遊魚ですが、東京湾は餌場が豊かなため外海を回遊しなくなる。だから脂がのるんです」と、おいしさのワケを説明してくれた。
千葉県出身のご主人は、学生時代のアルバイトから料理の道に入り、大学卒業後、ビアレストランで料理修業を始めた。その後、29歳からは浦安市にある洋食酒場で約10年働き、店長に就任。目標売上も達成したところで、「上が抜けなきゃ、下が育たない」と退職し、「半月くらいは飲んで暮らそうかなと思ってた(笑)」とか。そんなタイミングで出会ったのが、「楓」のママだったそうで、「楓」を手伝い始め、ママの体調不良がきっかけで、約15年前に店を受け継いだのだ。
続いていただくのは、「黄金アジの塩ユッケ」。「なめろうじゃないの!?」と驚くきたろうさんだが、黄金アジをごま油と塩で味付けして卵黄を乗せた一品に、まさに「ユッケだよ!」と舌つづみ! 武藤さんも「ごま油と塩だけでも間違いない組み合わせなのに、そこに卵黄まで……」と悶絶だ。
ご主人が黄金アジにこだわる理由を伺うと、「アジが好きなんです。イワシもサンマも好きですが、おいしい季節は限られる。でも東京湾のアジは夏でも脂がのってるから」と言うが、他にも理由が……。「以前、常連さんに釣り好きの友人がいて。もう病気で亡くなったのですが、その彼と最後に一緒に船釣りに出かけて獲ったのが黄金アジ。刺身でもフライでも天ぷらでもめちゃくちゃ美味しくて、今までのアジはなんだったんだ!? と思うくらい。それから東京湾の黄金アジにこだわるようになりました」と、今は亡き仲間への想いも込められているのだ。
箸でほぐれる!「柔らかスペアリブのBBQソース」
ここで、「ちょっと変わり種を」とご主人が出してくれたのは、「黄金アジのシオカラ」。「アジが塩辛に!? ならないだろ!」と半信半疑で食すきたろうさんだが、ひと口食べて、「塩辛になってますよ……」と唸る。武藤さんも、「ほんとだ! 不思議! でも、臭みもクセもなくて食べやすい」と箸が止まらない!
次に登場したのは、「柔らかスペアリブのBBQソース」! 箸で簡単にほぐれる柔らかさに「すごく柔らかくてビーフシチューみたい!」と驚く武藤さん。スペアリブを2時間茹でてから自家製BBQソースに漬け込んで焼き上げるそうで、洋食酒場での経験が活かされた一皿だ。
勤めていた洋食酒場を辞め、40歳の時に馴染みのない土地で店を受け継いだご主人。「当時、周りは全部地元の人がやっているお店で、『おまえはよそ者だろ』と思われているのを感じた」という。「でも、たまたま来られたお客様の中に町会の青年部部長がいらして。会議や打ち上げなどで店を使ってもらったことで、徐々に地域に馴染めるようになった」と明かす。そして、「今日も隣町の青年部部長が」とご主人が紹介してくれたのは、15年来店に通う山本将之さん(55歳)。「忘年会や新年会などもここでしています。人数的にも丁度いいし、なにより彼が青年部に協力してくれているので。本当に地域のために貢献しているいい奴です!」と笑顔で語ってくれた。
次のおすすめは、「ネギトロのブルスケッタ」。自家製ガーリックトーストに醤油とわさびで味付けしたネギトロを乗せてカリッといただけば、「旨い! つまみになるね」ときたろうさん。醤油とバターの相性はやはり抜群である!
地域活動に参加していくことで地元の人々との絆を紡ぎ、人気酒場を作り上げたご主人。「僕の店は人との縁で展開していってる感じです。店をやるにあたって、人とのかかわり方が大事だし、地域貢献はとても大切。何かお手伝いできることはないかと常に考えている」と言い、地域のソフトボールチームにも所属。「混ぜてもらえることがうれしい」と、チームが獲得したトロフィーをうれしそうに見せてくれた。
最後の〆は、「生姜焼きそば」。「生姜焼きも食べたい、焼きそばも食べたい、というのを合わせた、ありそうでない料理(笑)」という一品は、自家製生姜焼きのタレで味付けしてあり、「普通の焼きそばよりさっぱりしていて食べやすいかも」と武藤さんも大満足だ。
「仲間がいるから店を続けていこうと思える。仲間の子供たちがだんだん成人して、飲みに来てくれるようになればうれしいですね」と穏やかに話すご主人。酒場とは、「人と人が出会って新しい絆が生まれる場所」。優しさに包まれる温かく心地よい酒場である。