東京都足立区竹の塚で創業18年
地元で愛される人気酒場で
暖簾を守り続ける親子の物語
絶品! 名物の焼き鳥に舌つづみ!
今宵の舞台は東京都足立区竹の塚。きたろうさんと武藤さんがやって来たのは、東武伊勢崎線竹ノ塚駅から徒歩3分、創業18年の人気酒場「焼き鳥 えびちゃん」だ。入り口の看板には「えびちゃん」と書かれてはいるものの、その下には「平八」という文字が透けて見え、きたろうさんは、「塗り替えないのかなぁ!?(笑)」と苦笑いしながら店内へ! すでに常連さんたちで賑わうなか、女将の海老沼初美さん(69歳)と二代目を継いだ息子の義幸さん(47歳)に迎えられ、さっそく、焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」
最初のおすすめは、「手羽先ウインナー」と「つくね」。手羽先の骨を抜いて赤いウインナーを詰めて焼いた「手羽先ウインナー」は見た目も鮮やか。きたろうさんは、パクリとかぶりついて、「旨い! 合う! おもしろい!」と喜び、継ぎ足しの秘伝のタレでいただく「つくね」も「タレ旨いね〜」と舌つづみをうつ。
店は創業18年。女将に看板のことを伺うと、「『平八』は、主人が勤めていた頃のお店の名前です。代替わりが急に決まって、店名を『えびちゃん』に変えましたが、看板をきれいに書き換える余裕がなかった」と笑う。先代のご主人・義文さん(享年70)は「平八」の店長として11年勤めていたそうで、「平八」のオーナーが亡くなった後、同じ場所で自分の店「えびちゃん」を開業したのだ。先代は約2年半前にガンで亡くなったそうで、「5年ほど闘病している間も本人は一生懸命やっていました」と女将は少し寂しそうに振り返る。そんな彼女は、富山県で生まれ育ち高校卒業後に上京。印刷会社に就職し、知人の紹介で義文さんと出会って20歳で結婚した。そして、平成20年に義文さんが「えびちゃん」を開業してからは、夫婦二人三脚で店を支えてきたのだ。「彼は頑固で職人気質。でも人が良くて、みんなに声かけてました。顔が広い人でしたね」と女将は振り返った。
そんなご主人直伝の「もつ煮」が次の料理! アツアツをフーフーしながらいただいて、「味噌ベースだけどさっぱりしていて食べやすい!」とうれしそうな武藤さん。「大根、人参、こんにゃく、もつ、豆腐……。すごく具だくさんで食べ応えがあっておいしい〜」と目を細めた。
続いて登場したのは、「ブリカマ」。今が旬のブリのカマを程よい具合に焼き上げた一品に、「ふわふわで脂がのってる!」とまたまた頬が落ちそうになる武藤さんだ。
〆は先代レシピの「焼きうどん」!
ところで、二代目主人を継いだ義幸さんは店に入って8年目。女将にその働きっぷりを聞いてみると、「ここ数カ月でとても良くなって、今は昼間の仕込みはほとんど彼がやってくれるし、私の肩の荷が軽くなりましたね。安心して任せられる」と太鼓判! 今では、開業当時からの名物・焼き鳥も義幸さんが焼いていて、塩でじっくり焼き上げる「鳥皮」と「ねぎま」をいただけば、どちらも絶品!「鳥皮」のカリカリ&ジューシーな味わいも、「ねぎま」の旨みもたまらないのだった。
そんな義幸さんだが、実は意外な経歴が! なんと、以前はDJをしていたそうで、「渋谷でスカウトされて、事務所にも所属して、六本木や麻布十番のクラブでプレイしていました」と明かし、武藤さんは、「えー!! ギラギラじゃないですか!」と大興奮! きたろうさんも驚くばかりである。
ここで女将に店をやって楽しかったことを聞くと、「定休日に常連さんたちと旅行に行くこと」だとか! 常連さんたちも家族ぐるみの付き合いを楽しんでいる様子で、店の魅力は「ママとマスターの人のよさ。何でも受け止めてくれる」、「おやじ(先代)が大事にしてくれたんだよ、お客をね」と口々に語る。そして、「二代目はママを助けるために店を継いだ感じだね。料理はやっぱりママが上手い。二代目はまだまだ!」と厳しい言葉をかけつつも、温かく見守っているのが感じられた。
先代が亡くなった後も、店をやめようとは思わなかったという女将。「せっかく残してもらったものを無くすのは嫌だったし。先代もお店のことが大好きだった。看板を出していると、お客さんが入ってきてくれて、先代が亡くなったことを知らない人も来てくれたりするんです」と女将。武藤さんは「そう考えると、あの『平八』という文字が透けたままなのも意味があるのかも」としみじみ頷くのだった。
最後の〆は「焼きうどん」。先代のレシピで作る焼うどんは、野菜もたっぷり具沢山でかつおぶしが味の決め手。おいしさもボリュームも言うことなしである。
店をやる上で大切にしているのは、「料理」と言う義幸さん。「先代と同じ味は出せないので、できるだけ近づけるように頑張ってます。お客さんをがっかりさせないように」と語り、音楽と料理の共通点を聞かれると「個性ですね」と即答。「確かに個性が出れば、それについてきてくれる人がいますもんね」とふたりも納得するばかり!
最後に、女将にとって酒場とは「人と人が出会う場所」。義幸さんは「仲間」だそうで、「一応韻を踏んでます!」とDJらしく締めくくってくれた。