角界から酒場の世界に転身!
元力士のご主人が営む人気酒場で
絶品料理の数々に舌つづみ!
コリコリの歯応えがたまらない!「つぶ貝の刺身」
東京都墨田区錦糸町にやって来た、きたろうさんと武藤さん。酒場激戦区で向かった今宵の酒場は、名物のちゃんこ鍋を始め、さまざまな料理が味わえる人気酒場「だいにんぐ ひなた」。店を切り盛りするのは、元力士のご主人・日向祥平さん(48歳)だ。ふたりは、さっそく焼酎ハイボールを注文して、常連さんたちと「今宵に乾杯!」
最初のおすすめは、「つぶ貝の刺身」。北海道釧路市で生まれ育ったご主人が、故郷の北海道から直送してもらう魚介は鮮度抜群! コリコリしたつぶ貝の歯応えに「贅沢だなぁ〜」、「おいしい〜」と唸るばかりのふたり! 現役力士の時代からちゃんこ番で腕を振るってきたというご主人は、「相撲部屋でも僕の料理は美味しかったと思います!」と笑顔で胸を張った。
そんなご主人は、中学3年生の時に北海道巡業中だった元大関・北天佑(1960〜2006/享年45)にスカウトされ上京。平成6年に相撲部屋での生活を始め、約13年間「勝天佑」という四股名で相撲を続けた。しかし、相撲部屋での生活は、「はじめはもう辛いだけでした。やっと楽しいと思えたのは20歳くらい。後輩が増えてからですね」と明かし、「最初は食べることが特につらかった。一食で5合ですから」と苦笑い。得意技は「寄り切り」(相手に体を密着させて土俵の外に出す技)だったそうで、「派手な相撲は取れなかったし、ぶつかるのは頭が痛いからイヤ。出稽古の時はさぼったりもしてましたね」と愉快そうに話してくれる。
そして、15歳で相撲部屋に入ってから13年、平成18年に師匠の北天佑がガンで亡くなり部屋を閉じると、ご主人は引退を決意。28歳で現役を終えた。生涯戦績は251勝254敗。最高位は幕下三十四枚目だった。
角界引退後は、5年ほど大手居酒屋チェーンに勤めて社会勉強をしたそうで、「料理は作れても、お金の流れや、人とのかかわり方を知らなかった。殴られれば済むという世界だったから、怒られるという感覚が分からなくて……。最初は、叩いてくれた方が楽だと思いましたね」。そんな力士時代とは違う辛さを乗り越え、平成23年、33歳で「だいにんぐ ひなた」を開業したのだ。
次にいただくのは、「ひなた風山芋鉄板焼き」。現役時代に九州で食べておいしかったという料理をアレンジ。すりおろした山芋に自家製出汁と卵を加えてキャベツにかけて焼き、マヨネーズとお好みソース、かつおぶしをたっぷりかけていただく。野菜をふんだんに使ったボリューム満点の一皿ながら、ふわふわの食感でペロリといけて、きたろうさんも、武藤さんも、頬が落ちそう!
あふれんばかりの具沢山!「寄せ鍋」で〆
続いては北海道名物「鉄板ジンギスカン」が登場! ラム肉と玉ネギを焼いて特製タレで味つけし、アツアツを鉄板皿で提供する。「お肉の旨みがすごい!」、「噛めば噛むほどおいしい!」とふたりの箸はとまらない!
店は創業14年。「中学校時代から飲食で働きたいと思ってました。両親が働いている時は自分が兄弟たちに食事を作っていて、おいしいと言われるのがうれしかった。相撲で夢破れても、もともと自分がやりたかった憧れの商売なので、天職だなと思っています」と語り、第69代横綱の白鵬関や第74代横綱の豊昇龍も来店したことがあると教えてくれた。
ここで登場したのは「ざんぎ」。北海道名物の唐揚げで、釧路が発祥の地だとか。生姜の風味が利いたジューシーな味わいが絶品で、ご主人は「一番おいしいと思っている母親のレシピです」と誇らしげだ。
「自分の顔でやっている商売なので、誰にでもひと言声をかけるようにしている」という気さくな人柄のご主人。きたろうさんが、「お相撲さんは無口なイメージがあるけど、大将はよくしゃべるよね!」と言うと、「昔は、相撲取りはしゃべるな、と言われていたみたいですが、最近はみんなよくしゃべりますよ」と笑う。常連さんからも、店の魅力は「大将の人柄。会話が楽しいので酒が進む」、「お客さん同士を大将が繋いでくれる」、「お話も見た目も面白い(笑)」とのこと。料理の美味しさに加えて、ご主人の気さくな人柄が、多くの常連客に愛されているのだ。
ここで武藤さんが店内の張り紙を見て気になっていたという「力士味噌」を味見させていただくことに! ニンニク、豚肉、カツオ節を混ぜて低温で炒めた味噌だそうで、「食欲が落ちる夏場にスタミナをつけるための味噌」とのこと。ご主人が丁寧に手作りしているそうで、きゅうりにのせて食せば、「ものすごいニンニク! これはスタミナつくわ!」と、パンチの利いた味わいに、きたろうさんも武藤さんもびっくりである。
最後の〆は、店一番の人気メニュー「寄せ鍋」。アコウダイ、鶏肉、豚バラ、エビ、蛤、さつま揚げ、肉だんご、エノキ、豆腐、白菜、ネギ、油揚げ、マロニーと具材満載、ボリュームたっぷりの鍋に、「相撲取りじゃないんだから……」と絶句するきたろうさん。しかし、一口食べれば、そのおいしさに、「それぞれの具材から出る旨みが助け合ってる感じがするね。旨いなぁ」と喉を鳴らすのだった。
ご主人にとって、酒場とは、「コミュニケーションをとる場所」とのこと。きたろうさんは「いやぁ、よくしゃべれるお相撲さん! 素晴らしい!!」