東京都台東区蔵前で創業12年
二人三脚で互い支え合いながら
人気酒場を作り上げた夫婦の物語
4種の部位を使った串に刺さない「焼きとり」!
放送13年目に突入した「夕焼け酒場」! 今宵の舞台は、東京都台東区蔵前だ。きたろうさんと武藤さんが訪れたのは、大江戸線・浅草線蔵前駅A7番出口から徒歩1分。様々な創作料理が味わえる人気店「蔵前えいしち酒場」。厨房で腕を振るうのは、ご主人の小沼研介さん(53歳)。接客を担当するのは妻の恵子さんだ。隠れ家のような落ち着いた雰囲気の店内で、ふたりはさっそく焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」
最初のおすすめは、「アジのなめろう」。新鮮なアジと大葉、生姜、合わせ味噌、ごまを刻み合わせる。アジの旨みがしっかり味わえる一品に「う〜ん、大人の味だね」ときたろうさん。武藤さんも「薬味がしっかり利いてる。これは飲めますね」と大満足だ。
埼玉県出身のご主人。もともと料理は好きだったそうだが、この道に入ったのは25歳の時。「遅いですよね。それまでは学生気分でブラブラしていて、親から『いいかげんにしろ!』と家から追い出されて」と料理人になることを決意し、しゃぶしゃぶ店で修業を開始。「これをやる!と決めたから集中できたし、我ながら教わったことをすごく吸収できたと思う」と振り返り、「約5年の修業で身につけたものを今この店で吐き出している感じですね」と話す。
続いてのおすすめは、「焼きとり」。もも、砂肝、なんこつ、とり皮の4種類の部位を使い、「グリルがないので、苦肉の策(笑)」と、串に刺さずフライパンで焼き上げる。にんにくやねぎ、ピーマンなどもたっぷり! 甘めの自家製ダレもベストマッチで、「シェアしやすいし、食べやすくて、おいしい!」、「見た目も美味しそうなんだよ」と、箸が止まらないふたりである。
女将の恵子さんは、宮城県仙台市出身。デパートガールに憧れて20歳で上京し、百貨店で勤務していたという。しかし、友人に誘われ、酒場でアルバイトを始めたのがきっかけで、「酒場の方が楽しくなっちゃって」と百貨店を退職。26歳から本格的に酒場で働き始めた。ご主人との出会いは、それから8年後。恵子さんが、当時ご主人が働いていた酒場で働くことになったのだ。ご主人は恵子さんの「気の利くところと優しいところに惹かれた」と言い、恵子さんは「彼の真面目なところ。自分にはないから惹かれた」とほほ笑む。そして、出会いから4年後に結婚したふたりは、さらにその5年後、平成25年に念願の店を開業したのだ。「僕たちふたりは、もともとこの場所で営業していた酒場の常連客だったんですが、そのオーナーが店を辞めるタイミングで僕たちに声をかけてくれて」! 偶然にも自分たちの店を持つ夢がかなったのだ。
モッチリじゅわり!
「深谷ねぎと仙台麩のあさり玉子とじ」
次にいただくのは、「深谷ねぎと仙台麩のあさり玉子とじ」。夫婦それぞれの地元の名産を使った一品に、「旨いな、これ!」と感激するきたろうさん。武藤さんは、「仙台麩がもっちりしていておいしい! 深谷ねぎも甘いですね〜」とうっとりだ。
ところで、店名の「えいしち」の由来を伺うと、「すぐ向かいに蔵前駅の出口があって、それがA7番。えいしち(笑)」とご主人。これは予想外だったきたろうさん、「すばらしい発想!」と膝を叩く。平成25年に開業した店は、周辺の会社のサラリーマンなどで当初から繁盛したそうで、順風満帆な日々を過ごしていたという。しかし、開業から7年後、女将が突然病気に……。「急にお腹が痛くなって病院に行くと、内臓が破裂していて」。卵巣嚢腫破裂と診断され即入院。その間、ご主人は妻の容体を心配しつつ、復帰を信じて店を守り続けた。そして2か月後、恵子さんは病いを乗り越えて無事復帰することができたのだ。
ここで登場したのは、「めひかりの唐揚げ」。宮城県で水揚げされた新鮮なめひかりに薄く衣をつけて揚げてあり、「めひかりのおいしさを活かして、あっさりと揚げてくれてる」と舌つづみをうつきたろうさん。武藤さんも「口当たりが軽くて、内臓の苦みもいいですね」とチューハイが進む!
「妻に出会わなければ店をやってなかったと思う」というご主人と、「主人には我慢させていることが多いと思うので申し訳ない。いつも私の気持ちを聞いて優先してくれて感謝しています」という恵子さん。常連さんたちも、「料理はもちろんですが、2人の人柄がすごく良くて居心地がいい」、「2人が仲良くて、お客さんも和気あいあい。大変良いお店」と口を揃えて店の魅力を語る。料理のおいしさはもちろん、夫婦ふたりの人柄も店が愛される理由なのだ。
最後の〆は、「ちりめん山椒のおにぎり」。白米にたっぷりのちりめん山椒と大葉、ごまを混ぜ、自家製だし醤油で味付け。きたろうさんは、「握り方が優しいね。ちりめん山椒こんなに使ったら商売にならないでしょ!?」と興奮気味。ご主人は「〆だけど、もう一杯飲んでもらえたら!」と笑顔を見せた。
ご主人にとって酒場とは、「色々な人に出会える場所」。きたろうさんも「酒場に来ると、十人十色って言葉がよくわかるよね。みんな違うんだよ」と納得し、女将が「楽しい場所」と言うと、「幼稚園生みたいだけど(笑)、素敵だよ!」と大きく頷くのだった。