BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2015/8/29放送 #63 蒲田物語

母が残した商売の心得「目配り、気配り、心配り」を大切にご主人と常連さんが日々紡ぐ物語
小粋な来店サービスに歓声が沸く

今回のお店は、大田区蒲田にオープンして5年になる「蒲田物語」という酒場。「なぜ、この名前に?」と問われ「店を長く続けて、物語を作りたいからです」と答える、ご主人の野崎文章さん。30人は入る店を一人で切り回す働き者のご主人に、焼酎ハイボールを注文し、いつものように乾杯。最初のおつまみをお願いすると、ご主人は何故かフォークを取り出し、ふわりふわりと振り始め、アッという間にグニャグニャに。「昔、マジシャンだったの?」と、きたろうさんが訊くと「いやいや、旅行会社でツアーコンダクターをやってました。手品はご新規のお客さんが来られると、必ず披露して気持ちを掴むんです」という。続いての手品が飛び出しそうだったが「俺は飲みにきたんだよ!」と、しびれを切らすきたろうさん。そこに登場したのが、この店の一番人気「牛すじの味噌煮込み」。牛スジはゴロッと大きいのだが「トロトロだから大きいのが気にならない」と西島さん。旅行会社から転職後、修業した店で覚えた味をベースにしているが「夏場なんで、味噌と砂糖を少しあっさり目にしてます」とご主人。この絶妙な味付けと焼酎ハイボールが、実に良く合う。

二品目は、山芋がたっぷり入った「だしまき玉子」。お客さんのリクエストで変えるという味付けは、ほんのりと甘い上品な味。しかし、そんな手間をかけながら、一人で店を切り回すのは大変。実は、洗い物やオーダーをとっているのは、常連さんなのだとか。しかし、実際に手伝っている常連さんは、タオルを頭に巻き、ビシッと前掛け姿でスタッフにしか見えない。「お給料はもらえるの?」と、スタッフ(=常連さん)に訊くと「いや、飲み代を安くしてもらったりですかね。金額は店長の気分次第ですが、店長がいい人なんで」と、実に楽しそうだ。お客さんが口を揃えて腰の低さと、人柄の良さを褒めるのを聞けば、いかにご主人が愛されているかが分かる。

 
圧倒的な迫力!山口名物の瓦そば

ご主人の愛される人柄には訳がある。「母親が酒場やスナックをやってまして、とてもお客さんに愛されていました。そんな母親がいつも“目配り、気配り、心配りを大切にしろ”って言ってて、それが小さい頃から染み込んでるんです」と言う。そんなご主人が、次に出した一品がまた心配りに溢れている。「西島さんが北海道出身とうかがったんで、ザンギを是非」。ザンギとは北海道の家庭料理で、唐揚げの一種。鶏を使うのが一般的だが、こちらでは鮭を使う。ショウガ醤油とニンニクの少し強めの味付けが、西島さんの頬を緩ませる。

いつものように、これだけは食べて帰って欲しいメニューを頼むと、出てきたのは、大きな瓦の上でジュージュー焼き音を立てる茶そばの焼きそば。「店の立ち上げの時に山口県出身のスタッフがいまして、山口の名物を紹介してもらったんです。以来、うちの看板料理の瓦そばです」とご主人。「瓦そばがこんな料理だとは、全然想像してなかった!焼けた茶そばのパリパリが美味しいですね。意表をつかれたなぁ」と西島さんが驚けば、「この茶そばと肉が合うね、うまい!」と、きたろうさんも絶賛。このメニューを頼んだ人は一様に驚き、そのお客さんがまた違うお客さんを連れてきて驚かせるのだという。「これは紹介する側も楽しいですよ。自慢できますもん」と西島さんの言うとおり、この瓦そばを食べに訪れるお客さんは、引きもきらない。

最後に「ご主人にとっての酒場とは?」を訊くと、「来た時よりもちょっとだけ疲れを癒す場」だというご主人。しかし、そのご主人のもとで働く常連さんがいる。ちょっと矛盾しているけれど、仕事の後の酒が何よりおいしいことを、常連さんが知っているからに違いない。そして、ご主人と常連さんが一緒になって、「蒲田物語」という物語が、これからも続いていくのだ。

蒲田物語の流儀
その壱

新規のお客さんに、必ず披露するというマジック。レパートリーも豊富で、これでお客さんの心を掴むのだとか。
その弐

トロトロになるまで煮込んだ牛スジから出る脂と味噌が、絶妙のバランス。牛スジと野菜の煮込580円(税別)
その参

山芋のふんわり感と、ちょっと甘めの出汁がお酒のつまみにぴったり。山芋たっぷりだしまき玉子380円(税別)
その四

ショウガ醤油とニンニクに浸け込んだ鮭を、片栗粉でまぶして油で揚げた北海道名物。鮭ザンギ480円(税別)
その五

お客さんの要望にも柔軟に応えるのが、ご主人の姿勢。まずはお客さんに喜んでもらうのが第一。
その六

昭和30年代中ごろに生まれたという、山口県下関市の郷土料理。その名の通り、熱した瓦の上に茶そばと具を乗せた料理。山口名物 瓦そば880円(税別)
きたろうさんから、蒲田物語へ贈る「愛の叫び」 酒場で物語をつくるのはあなただ! ———きたろう
「蒲田物語」
住所
電話
営業時間
定休日
東京都大田区蒲田5−1−5 博千ビル1F
03-3737-8755
17:00〜24:00
日曜
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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