BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2015/9/26放送 #66 天満酒蔵

一度は消えかけた
大阪・天満の老舗の灯 母から娘へと伝える味と暖簾
これぞ大阪の酒場のノリ

日本一長い商店街、天神橋筋商店街で創業46年という「天満酒蔵」。一文字づつ店名が書かれ、並んだ提灯をくぐると、奥まで続く長いカウンターとテーブル席は、まだ時間も早いのに驚くほど客で埋まっている。その中で一行を待っていたのは特別ゲスト、漫才コンビ「ハイヒール」のリンゴさん。実はリンゴさん、きたろうさんの舞台に必ず足を運ぶというファンなのだとか。「もう、きたろうさん遅いって!」と掲げた焼酎ハイボールは、既に半分がカラ!改めて店の常連さんと乾杯し、女将・岡牧子さんのおすすめ「お造りの盛り合わせ」をいただく。マグロに鯛、イカ、貝柱という定番ラインナップに、一同「おいしい!」「美味いなぁ」と大満足。この日2軒目のはしご酒も、快調に始まった。

「次は何をしましょうか?どて焼きが良く出るんで、それでどうです?って、どて焼きって分かります?」と女将がきたろうさんたちに言うと、「土手の柳は風まかせ〜♪」と口ずさむリンゴさん。この丁々発止こそ大阪流。どて焼きとは、味噌やみりんで煮込んだ牛スジ串のこと。グツグツと煮え立つ黄金色の串を見ると、注文せずにはいられない大阪名物だ。きたろうさんが“うまい、うまい”と頬張りながら「女将、苦労してるはずだけど、それが顔に出ないねぇ」と言うと、照れもせず「なんやろねぇ?でも、うれしいわぁ。ずっと前向きに生きてるからかなぁ。後ろ見ても終わった事やもん」と、深い事をバッサリ言い切る女将。これは酒が楽しくなる会話だ。

 
若きオーナーと、態度の大きい従業員

もともとお菓子屋さんの娘として生まれた女将は、お見合い、1回会って、3度目に結婚式という、今では考えられないスピードでご主人と結婚。ご主人は職人気質の亭主関白で、黒い物でも“白い”と思えば白だと通すタイプ。「“気に入らんかったら帰ってや”って何度も言われました。でも旦那、格好良かったから」と女将は笑う。しかし2年前、そのご主人が体を悪くして、一日中立っての仕事が出来なくなり、閉店を覚悟。40日ほど休み、店も次の借り手が決まりかけた頃、娘の久美子さんが“どうしても店をやりたい!”と手を挙げた。「お客さんが“辞めんの?”とか“さびしいわぁ、これからどこ行こ?”とか言われたんです。“そういや私も寂しくなるわ”と思って」と、OLを辞め店を継ぐ決心をした。「今、娘がオーナーですよ。私が従業員です。偉そうな従業員です」と女将は笑うが、久美子さんは当時、両親から相当な反対に遭ったという。「ココがあったから育ててもらったし、大学まで出してもらえたんで」という久美子さんの強い決意に、商売の厳しさを良く知るご主人や女将も、ついに折れた。

3品目に「くじら食べます?」と女将に訊かれ「昔はくじらなんてね、もう安くてどうしようもなかったもんね。豚も牛も食べさせてもらえなかった。でも今、くじらがうまいんだよ」と、きたろうさん。早速フライをいただく事に。キツネ色の一歩手前くらいの色に揚げられたフライは、噛むほどに旨味が出てくる。ここでリンゴさんが「これでいくら?350円!いやらしい話やけど、客単価いくら?」と、突っ込んだ事をサラリと訊く。「1人1,500円いってくれたら嬉しいね」と女将が答えると「それ考えたら、シティボーイズさんの公演、高すぎませんか?」と、リンゴさんの鋭い突っ込み!「そりゃ関係ないだろ!」と、きたろうさんも大笑い。この大阪ノリに、いつものきたろうさんの毒舌も形無しだ。

最後は、刺身を取ったあとの魚を使ったあら炊き。こちらは毎朝、女将が仕込んでいるもので、娘の久美子さんに引き継いでもらいたいと願っている一品だ。でも久美子さんは「味付けを教えるのも“こんな感じ”ぐらいですよ」。「そりゃ何ccとか何カップとか、やった事無いもん。勘で作ってるんで」と女将。朝仕込みなので、あら炊きは冷めているのだが、実にお酒にあう。その日の刺身の仕入れ次第で魚は変わるが、必食というのも納得のうまさだ。さて、たっぷり大阪の酒場を満喫した3人。特にリンゴさんは、天満酒蔵を気に入ったご様子で「天満酒蔵さん美味しかったわ。また1,000円握って来ますわ」と約束。リンゴさん、リンゴさん。できれば客単価1,500円になるよう、プラス500円持ってきてあげてくださいね。

天満酒蔵の流儀
その壱

女将が見事な包丁仕事を見せてくれるマグロ、鯛、貝柱、イカの4種盛り合わせ。お造り盛り合わせ1,000円(税別)
その弐

煮込む際に、味噌を土手のように積む事からその名が付いたと言われるどて焼き。大阪発祥と言われている。どて焼き3本350円(税別)
その参

今や高級食材のイメージがあるくじらも、大阪の大衆酒場では庶民の味。くじらのフライ350円(税別)
その四

刺身用の魚を使ったあら炊きは、女将自慢の味付け。はまちのあら煮250円(税別)
きたろうさんから、天満酒蔵へ贈る「愛の叫び」 大阪で見つけた満天の母娘 100点満天———きたろう
「天満酒蔵」
住所
電話
営業時間
定休日
大阪府大阪市北区天神橋5−7−28
06-6353-3792
11:00〜23:00
月4回(不定休)
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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