東京タワーのお膝元。JR田町駅と慶応大学を結ぶ、慶応仲通り商店街にある「炭火焼 湯淺」が、今回のお目当て。「いらっしゃいませ!」と大きな声で迎えてくれたのは、この店の大将・湯浅孝雄さん。靴を脱いでカウンターに座った一行は、常連さんと焼酎ハイボールで乾杯。と、ここでサプライズ!隣に座るご婦人こそ、大将のお母さんで、なんとこの日、御年100歳の誕生日だという。「いや〜、おめでとうございます。100歳!うちのお袋も、こないだ100歳の誕生日を迎えたばっかり」と、きたろうさんも大喜び。「大将は、おばあちゃんとお店を始めたの?」と、きたろうさんが訊くと「私は一銭も持ってなかったんですが、おばあちゃんを担保に入れてね」と大将は笑う。
最初のオススメをお願いすると「うちには3種類のオススメ、名物があるんです。まずは築地のイキのいいやつを」と、立派な舟盛りが出てきた。シマアジやタイのほか、サンマやサバの光り物など6種盛りは、見るからに新鮮。「タイも美味しいし、サンマもさっぱり!」「旬の魚だなぁ。カンパチも美味しいよ」と、二人はご満悦。「月曜日だとね、自分が釣ってきたサバを刺身で出すんですよ」という大将。10人乗りの船を持ち、趣味を兼ねて沖に出るのだという。「ボウズの時はどうするの?」ときたろうさんが訊くと「ボウズはありません。私が坊主ですから」と頭を指差す大将。万事このようにノリのいい大将が、料理の道に入ったのは高校卒業後。新宿や銀座の料亭で厳しい修行を経て、16年前に「炭火焼 湯淺」をオープンさせた。「これだけの店舗を、地べたから買ってオープンさせるっていうのはね、地元の私の周りでも誰もいないんですよ。ですから、絶対に失敗は許されないと精進してます」という大将。たしかに、この見事な刺身を見る限り、隙は微塵も感じられない。
2つ目の名物は炭火焼。自慢のつくねは軟骨多めのコリコリとした食感が特徴で、これにたっぷり黄身を付けていただく。ねっとり濃厚な味と食感は、たしかにクセになりそう。そしてもう1本、トマトベーコン巻きは、毎日2時間かけておばあちゃんが仕込むという。「おばあちゃん、綺麗に巻きますね。すごく美味しい。ベーコンが二重、三重になってて食べ応えがある!」と西島さん。「長いベーコン1本、全部巻いてるからね。おばあちゃんは、店に仕込みに来るとしっかりするんです」と大将が言うと、きたろうさんは「舞台に立つと、しっかりする芸能人みたいな感じだね」と納得顔。
そして3つ目のオススメは、西島さんがカウンター越しに鍋が見えて、気になってしょうがなかったというおでん。大根を頬張った西島さんは「しっかり染みてる。すごく上品な味ですね」と満面の笑み。「これはつみれですか?これ美味しい!お魚の味がものすごく詰まってて、見た目とは裏腹に味が濃いんです」と、またまた激賞!おでんネタはもちろん、大将自ら集大成と誇る、しょう油を使わない出汁の味を、じっくり楽しみながらいただきたい。
最後に、サービスの特製鳥スープでほっこりしながら、大将にお店を続ける秘訣を訊いた。「体が辛いと思う時はあるけど、誰かに一言でも言っちゃうと、それが当たり前になっちゃうから」と、厳しく自分を諌める大将。その姿勢には長い厳しい修行を経て得た誇りと、開店への協力を惜しまなかった母への思いが込められている。大将は言う。「酒場は私の生きがいです。お客さんがうちの料理を食べて、“美味しかったよ”とか“ごちそうさん”という言葉を言ってくれるのを聞きたくてやってるのかもしれない」。そして、おばあちゃんにとっては、そんな息子の働きぶりこそが生きがい。締めに、きたろうさん西島さんも加わって、ハッピーバースデーの歌をおばあちゃんにプレゼント。真っ当に働くことで、日々、人を元気にする。ここはそんな幸せに満ちた酒場だ。
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築地で仕入れた、その日のオススメの魚を盛り合わせ。この日はシマアジ、かんぱち、タイ、マグロ、サバ、サンマの6種盛り。おまかせ刺身盛り1,000円(税別)
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軟骨が多めで食感が楽しい「自家製つくね」や、毎日おばちゃんが仕込む「トマトベーコン巻き」など。各300円(税別)
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昆布と鰹節で出汁をとり、お酒、みりん、塩で味を整えた出汁が絶品。しょう油を使わないのが、この店のこだわり。おでん おまかせ5品盛1,050円(税別)
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鶏ガラスープに卵白を混ぜ、塩、コショウで味を整えたスープは、この店のニクイ心遣い。ほんのりと感じる卵白の甘みが、また良し。
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住所
電話
営業時間
定休日 -
東京都港区芝5−20−20
03-5445-1351
月〜金 11:30〜13:30、17:00〜23:30
土・祝 16:00〜23:00
日曜
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