古くから貯木場で知られる新木場。最近ではビジネスビルも多くなったが、街の賑やかさからは程遠く、夜の駅前など寂しい限り。そんな新木場に、絶品焼き鳥を食べさせる、創業21年の酒場「鳥やぶ」がある。店に入ると、いい感じにお酒の入った常連さんが、「ここは最高だよ」と、きたろうさんと西島さんを熱烈歓迎。陽気でハキハキと話す女将・高橋房子さんに焼酎ハイボールをお願いして、まずは今宵に乾杯。きたろうさんが「ここは女将の店なの?」と訊くと「いえいえ、店は新木場フーズという会社のもので、うちらは従業員。私が一番の古株で、新木場のキャサリンと呼ばれてます」と笑う。今宵は一段と楽しくなりそうだ。
厨房を仕切る店長・小黒雅博さんが、最初に出してくれたのは地鶏のたたき。鮮度が命とあって、限定6人前の早い者勝ちメニュー。「結構ボリュームがありますね。レアをポン酢で……うん、これ美味しい!焼き目がまた香ばしくていい」と西島さん。岩手産地鶏の締まった肉質と、脂の乗り具合、そのバランスが抜群なのだ。店長は新橋をはじめ、焼き鳥屋や酒場などで働いて30数年。この店で働き始めて11年というツワモノ。その腕は確かだ。
続いて出てきた一品は、オリジナル料理の「火の鳥」。たっぷりのニンニクや青唐辛子で鶏肉を炒め、赤唐辛子を漬け込んだお酒で豪快にフランベ。さらに、辛味の効いたチリソースをかけたこの料理は、真っ赤で見るからに辛そうだが、実は甘辛。炭酸の効いた焼酎ハイボールと実に良くあう。「こういうのは、キャサリンが考えるの?」と、きたろうさんが訊くと、「ここの会社は自由にやらせてくれて、おまかせなんですよ。店長と二人三脚でやってます」と、仕事を心から楽しんでいる様子だ。
3品めにしてようやく串焼きが登場したのだが、これまた普通じゃない。とろけたチーズがたっぷり乗った、その名も「とりチーズ」。肉が見えないほどのチーズに大喜びする西島さん。「一瞬ミスマッチかなと思うんですけど、美味しいの。私これ大好き!これは誰のアイデアなんですか?」と訊くと、やはりキャサリンのアイデア。そんな彼女に、お店を続ける最大の秘訣を訊くと「お客様が気持ちよく飲んで、楽しい雰囲気で帰っていただくということ」と語り、常に心掛けている二つの事を教えてくれた。ひとつはお客さんの悩みを、親身になって聞く事。「男の人って、みんな大変だと思います。上から押され、下からも押され。それをここで発散して行ってちょうだい、と思ってます」。健康のことから仕事の愚痴まで、なんでも語り合うという。そしてもうひとつは、一見のお客さんでも名前を覚える事。名刺をもらい、一人一人似顔絵を描いて覚えるのだ。そんな女将がいる店なら、たまたま立ち寄ったお客さんも、つい足を伸ばして……という事になるに違いない。
最後の一品は、肌寒くなったこの季節にはたまらない小鍋「鶏団子入り湯豆腐」。ほっこりお腹を温め、満足そうなきたろうさんが訊く。「物静かな店長とキャサリンは、ぶつかることはないの?」「いっぱいありますよ。でも、それを引きずらない。その場だけで“すいません”でおしまい」。物静かに見える店長だが、若い頃はかなりの暴れん坊だったそうで、今もぶつかると相当に激しいとか。でも、そんな二人が時にぶつかり合いながら、力を合わせ店の味と空気、評判を二人三脚で作り上げている。お互いが従業員同士という立場もあるのかもしれないが、それ以上に11年間も助け合い、心から尊敬しあっているからこそ、この絶妙な居心地の良さが生まれているのだ。
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岩手産地鶏の胸肉の皮をサッと焼き、レアのたたきでいただく。肉本来の味が楽しめる、人気メニュー。地鶏のたたき600円(税別)※数量限定メニュー
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真っ赤な色から想像する味とは異なり、甘辛で食べやすい。焼酎ハイボールとよく合う一品。火の鳥520円(税別)
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焼き鳥にたっぷりのとろとろチーズを乗せた、女将考案の創作料理。2本320円(税別)
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早速きたろうさんの似顔絵を描いてもらうと、これが特徴を捉えていてそっくり。
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冬場にぴったり、体を芯から温めてくれる小鍋。鶏団子入り湯豆腐1人前600円(税別)
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住所
電話
営業時間
定休日 -
東京都江東区新木場1−6−1
メトロセンター内1F
03-3521-3043
16:00〜22:30
日曜、祝日
- ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。