洗練された街でありながら、下町の人情を残す錦糸町。酒場「焼きとり 鳥けい」は、そんな街にぴったりの一軒だ。一行を迎えてくれたのは、美人女将の五十嵐薫さん。Tシャツ姿でありながら、気品ときっぷの良さを感じさせる姿は、きたろうさんが思わず「綺麗だねぇ」と漏らすほど。そして、いつものように常連さんと、焼酎ハイボールで今宵に乾杯!早速、オススメ料理をいただくことに。
「最初は、自慢の地養鶏を使った焼き鳥から。はつ元、皮にんにく、ささみ紫蘇梅焼きです」と出てきた3本は、どれもひと手間かけた串ばかり。天然飼料で育てられた地養鶏の強い旨味と食感もさることながら、加えたひと手間と素材のバランスが素晴らしい。特に「これはうまいな!」と、きたろうさんを魅了したのが「皮にんにく」。鶏皮で小粒のにんにくを包んで焼いたものだが、その香りと食感はクセになりそう。
次のおすすめ料理は、地養鶏を使った手羽元のからあげ。「熱いですから気をつけて」と言われても、このアツアツがたまらない。「持つところが熱いよ」とボヤきながら頬張るきたろうさんも、みるみるうちにえびす顔に。からあげが大好きな西島さんは「ザックザクだもん!竜田揚げに近いような、カリッとした食感が楽しいですね」と大喜び。続いて登場した「野菜と地鶏の餃子」にも「さっぱりしてる。お野菜たっぷりの餃子だから、この辛いラー油が合うんですね」とホクホク。鶏尽くしとなった今宵、焼酎ハイボールの杯が止まらない!
「女将は美人だから、若い頃は有名だったんじゃない?」と、きたろうさんが訊くと、「若気の至りで、女子大生のディスクジョッキーをやってました」と驚きの告白。「そういうのが流行ってまして、月曜から金曜まで、女子大生が曜日担当でね。2年ぐらいやってました」。と、ここで常連さんが「女将は博識で、政界・財界にも強いんだよ」という声が。「いやいやいやいや、その当時の総理大臣のウグイス嬢をやってたんですよぅ」と、さらに驚きの告白!名を聞けば「あの!」と声が上がるような大物。「演説が長い方で3、40分くらいは立ってるんですけど、背中がピシッと微動だにしない。それを娘心にすごく覚えています。立派な方でしたね」。なるほど女将の話し上手は、そんな得難い経験を経て培われてきたのだ。
そんな女将が店を継いだのは、2人の子育て真っ最中の32歳の頃。父親の強いすすめで三代目女将となるのだが「うちは父が厳しくて、“しろっ!”と言ったら“しろっ”なんですよ。もう訳も分からずやってきて、あっという間に25年です」と笑う。「でも私、ちょっと変なのかもしれないけど、この仕事の大変さが分からないんですよ。新しい体験が増えて楽しいくらいで。常連の方たちが、私を支えてくださったから、こんな私でもやってこられたんです」
最後のメニューは、薬膳地養鶏の鍋。「これは女性に嬉しい!」と喜ぶ西島さんの前に現れたのは、大家族が囲むような特大の鍋。「大きいよ!これギャグ?2人前でこんなに大きいわけないじゃない。俺たちは相撲取りじゃないんだから」と、きたろうさんもびっくり。蓋を開けると、湯気と一緒にはっかくの香りがモウモウと上がり、猛烈に食欲を刺激する。もちろん味は格別。確かにこの鍋を食べずして、店を後にするなんてありえない!
お店を長く続ける秘訣を訊かれた女将は言う。「ただ出会いを大切にすることですね。それから子供の頃から父に言われていた“自分がしたことよりも、されたことの感謝の気持ちを忘れるな”ということですね」。言うは簡単だが、行うには難しいことを、実直に続けてきた女将。だからこそ、今も人情が生きている錦糸町で、この店が愛されているに違いない
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地養鶏とは、海藻やナラの樹液など天然飼料を使って飼育された鶏のこと。皮にんにく、ささみ紫蘇梅160円(各1本・税別)、はつ元180円(1本・税別)
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揚げたてのアツアツを頬張れば、中からさらにアツアツの肉汁が飛びだす、激ウマのからあげ。元祖手羽元のからあげ1本130円(税別)
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野菜と地鶏の上品な出汁が効いた餃子だけでも美味しいが、ラー油をつけるとパンチ力が増して、焼酎ハイボールの最高の友に!地鶏と野菜の餃子420円(税別)
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クコの実、はっかく、タカの爪などの漢方素材が入っていて、すぐに体がポカポカと温まる。地養鶏薬膳鍋1,980円(2人前より要予約・税別)
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店の常連さんに見守られ、助けてもらってきたという女将にとって、人との繋がり、新たな出会いは、何物にも変え難く大切なもの。
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住所
電話
営業時間
定休日 -
東京都墨田区錦糸4−1−9
03-3626-2002
17:00〜23:00(ラストオーダー)
日曜
- ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。