BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2015/11/28放送 #75 もがみがわ

息子の孝行で夢を叶えた母 素朴で飾らない人情酒場に今日も赤提灯がともる
専業主婦だった母に贈ったプレゼント

東京江戸川区平井。知名度は低いが交通の弁が良く、知る人ぞ知る住みやすい街。そんな平井に、開業18年目を迎える人気酒場「もがみがわ」がある。目印は大きな赤提灯。店を切り盛りするのは、山形出身の草苅久美子さん。色白で整った目鼻立ち、若かりし日は相当に……と想像できる美人女将だが、雰囲気は女将というよりお母さんという感じ。きたろうさんと西島さんは、早速、焼酎ハイボールをお願いして乾杯。まずは、カウンターにずらりと並んだ総菜料理をいただくことに。ひとつはオススメの「高野豆腐の煮物」。染み染みの高野豆腐を口に含むと、鰹節と昆布で丁寧に取られた出汁が溢れ出す。その味に「お袋の味だねぇ!」と、きたろうさん。西島さんは山形名物の玉こんにゃくをセレクト。お母さんが「これを食べると力が出るよ!」という玉こんにゃくに、辛子をちょっと多めに付けて食べると、素朴な味が口いっぱいに広がる。山形弁で「うめなぁ〜」とつぶやきながら、これから登場する料理に期待を膨らませる。

「この店はね、息子が私のために作ってくれたの」とお母さん。もがみがわは、専業主婦だった母の夢を叶えるために、息子の満さんが出資。「じゃあ相当、蓄えがあったんだね」と満さんに訊くと、「いやもうお金を掻き集めて、やっとですよ」とご謙遜。その後45歳の時に、満さんはそれまで経営していた印刷会社を辞め、母と共に暖簾を守る決意をした。「楽しく働いてもらうのが一番なんで」と語る息子の言葉に照れながら、次にお母さんが出してくれた料理が芋煮。今や全国に知られる芋煮だが、山形では地域によってその味やこだわりも様々。特にお母さんがこだわるのが芋。「こっちの芋ではできないんですよ。芋が違うんだもん」と、芋は山形から取り寄せる。「芋が全然違いますね。柔らかいし、ものすごく食べやすいです。こんなに美味しいんだ、里芋って」と初めて芋煮を食べた西島さんは、そのネットリとした食感にすっかりハマったようだ。

お母さんを目当てに集まる常連客たち

続くおすすめ料理は、なんとお新香。普通の酒場なら脇役の一品だが、山形のお漬物文化は侮れない!「農協から送ってもらってるの」という5種のお新香は、どれも絶品。急勾配の土地で栽培される温海かぶを使った「温海かぶら漬」は、酸味、苦味、辛味が複雑に組み合わさりながら、パリッとした歯ごたえがたまらない。また2人を唸らせたのが「なすの辛子漬け」。「けっこう辛い!でもつまみに最高」、「なんだろうな、人工の味がしないんだよ、これはなかなか!」と大満足。

「ママがどれくらいこの仕事が好きか、夕方、平井の駅を降りるとよく分かるんです。ママの笑い声が平井駅まで聞こえてくるから」とは常連さん。クセの悪い客は、問答無用でつまみ出すというお母さんだが、いつもはお客さんの飲み過ぎに注意を払い、ついつい話し込んでしまう性格。そんなお母さんには、多数のファンクラブがあり、自称会長もたくさん。「酒は楽しく飲むのが一番だから」というお母さんの事を、常連さんは「ママは自然と人を育ててるよね。我々は育てられてるよ」と言う。そんな店、なかなかない。

そして最後に、店で一番注文の多い料理が登場。食材は、これも山形名物の麩を使った家庭料理「麩の卵とじ」。水で戻した麩を、醤油ベースの甘辛つゆで煮込み、溶き卵を加えて完成。普段、お味噌汁の具ぐらいしか馴染みのない麩だが、山形には麩の料理がたくさんあるのだという。「美味しい。麩が出汁をたっぷり吸って。これ、ご飯の上にのっけても美味しいよ。でもこれ、お金かかってないよねぇ」と、きたろうさんが言うと、女将がすかさず「これで350円!」と胸を張る。こんな丁々発止のやりとりの最後に“お母さんにとって酒場とは?”を訊くと、「生きがいです」と笑う。その笑顔を見てしまえば、思わず「また来るよ」と言ってしまう事間違いなし!

もがみがわの流儀
その壱

カウンターの上にずらり並んだ大皿総菜料理は十数種。どれも草苅さんお手製のお袋の味。玉こんにゃく1人前200円、高野豆腐300円(共に税別)
その弐

かつおだしと醤油をベースに、里芋、牛肉、まいたけ、コンニャクなどを煮込んだ、冬の山形の名物料理。味わえるのは、9月下旬〜11月中旬のみ。芋煮390円(税別)
その参

普段は優しいお母さんだが、ほかのお客さんに迷惑をかけるような行いをすれば、即刻退場!出入り禁止のお達しを食らうことになる。
その四

温海かぶら漬、しなべきゅうり、なすの辛子漬など、数種のお漬物を山盛りで!いかに山形が漬物王国かが分かる一皿。山形のお漬物盛り300円(税別)
その五

特別なことは何もしていないというお母さん。しかし、その姿を見て常連さんも人として成長しているという。
その六

雪深い山形の保存食として、欠かせない食材のひとつが麩。料理方法も様々あり、各家庭のお袋の味となっている。麩の玉子とじ350円(税別)
きたろうさんから、もがみがわへ贈る「愛の叫び」 親孝行酒場のほっこり味に酔いしれました。———きたろう
「もがみがわ」
住所
電話
営業時間
定休日
東京都江戸川区平井5−24−10
03-3619-0989
11:00〜22:00
火曜
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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