BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2015/12/5放送 #76 飯酒盃

全てを叩き込んでくれた先代に感謝 家族ぐるみで先代の味と心を守り続ける 昭和漂う蒲田の人情酒場
働く父の姿を見て育った娘2人

「飯酒盃」と書いて「いさはい」と呼ぶ。飯酒盃とは、新潟を中心に数百戸あるという氏名で、遡れば有名な戦国武将に由来するともいうが……、なんと酒場にピッタリな名前だろう。暖簾に染め抜かれた、飯酒盃の文字をお猪口で挟んだ屋号がまた、実に粋。創業35年目を迎える店の厨房で、腕を振るうのは(飯酒盃さんではなく)二代目主人・竹内俊夫さん。店を切り盛りする女将の友美さんに、焼酎ハイボールをお願いすると、ジョッキになみなみ入った「メガ純ハイ」が登場。これで一杯390円。下町・蒲田の人情ここにあり!

最初の料理は、生のタコのお刺身。「北のタコは冬にグッと甘みが増します。ポン酢醤油で召し上がってください」と、ご主人が出してくれたツヤツヤの薄造りは、青森・深浦という町からの直送素材。きたろうさんが「確かにうまい!もっと薄く切ればフグと言ってもおかしくない」と褒めると、優しげなご主人の顔が一層柔らかくなる。そして顔のほころぶ理由が、もうひとつ。「今日は私の娘2人が、店を手伝ってくれているんです」。シャイな娘2人は「お父さんに言われて手伝いに……」と照れながらも、「(お父さんは)お店にいる時の方がかっこいいと思う」と、泣かせることを言う。「いいねぇ、酒場に若い女の子がいるというのは」とデレデレのきたろうさんが、実に楽しそう。西島さんが「家族4人、勢揃いする店はあまりないですね」と言うと、「どうしても家庭的なお店になっちゃいますね」と、ご主人が一層優しげに微笑む。

先代から受け継いだ味と心

次の料理は、牛もつ煮込み。「ほかの店では、ボイルしてある牛もつを使ったりしているようですが、うちは生の牛もつを使っています」と、ご主人。西島さんが「柔らかっ!このホロホロっと溶ける感じ、絶品ですね!」というこの一品は、先代からの味を変えぬよう、素材を継ぎ足し、継ぎ足し35年間守ってきたもの。先代の佐藤光昭さんとご主人が出会ったのは、15歳の頃。「私、家の事情で高校の頃から3畳半のアパートで一人暮らしをしていたんです。この時のバイト先がこの店です」。そして料理はもとより、人生のすべてを教えてくれたという。繰り返し言い聞かされたのは“商売は飽きないでやりなさい”、“家で何かあっても、店に入ったら笑顔でいなさい”という2つの事。ご主人が笑顔を絶やさないのは、そんな先代からの薫陶もあったのだ。

次なる料理は、ご主人が新たに取り組んだメニュー「特製ソースレバカツ」。豚レバーの臭みを取るため、自家製のタレに1日浸し、170度の油でサックリ揚げる。これを自慢の特製ソースにドプンと漬けたカツは、実に食べやすい。「レバー大好き」というきたろうさんはもちろん、西島さんも「臭みは全然ないのに、噛んでるとちょっとだけコクが出てきて美味しい!」と、大絶賛。

最後の一皿は「もう季節柄お鍋の時期なんで、何種類かあるお鍋から、海鮮寄せ鍋を」と、ご主人。一人前とは思えない大きな土鍋に、ズワイガニに白子、エビ、タラ、ホタテ……。魚介だけで10種類もの食材が入った鍋に、舌鼓を打った西島さんは「うわ〜、出汁が美味しい。これは相当な太っ腹鍋ですよ!」と大はしゃぎ。太っ腹鍋でお腹いっぱいになった一行は、最後にお店を長く続ける秘訣を訊いた。「日々の努力ですね。毎回、毎回同じメニューだったらお客さんもつまらないですから、喜んでいただけるよう努めるだけです」。そんなご主人の言葉に「やっぱり、コツコツは大事だよね」と、きたろうさん。そして「先代に伝えたいことは?」と訊けば「まぁ、なんとか頑張ってるよと(笑)。これから先も、出来る限りは続けていきます」と、照れながらも感謝の気持ちを語るご主人。気負わず、日々のコツコツを積み上げる、その実直な姿勢こそ、先代が二代目に最も伝えたかったことに違いない。

飯酒盃の流儀
その壱

大ジョッキより少し小ぶりなジョッキに、なみなみと入ったチューハイ「メガ純ハイ」。これでなんと390円!(税別)
その弐

青森の水だこを薄造りで。甘みを増した旬のたこは、鮮度抜群で歯ごたえもいい。活たこ刺身700円(税別)
その参

生の牛もつを、白味噌などで4時間煮込んだ創業時からの人気メニュー。牛もつ煮込み580円(税別)
その四

丁寧な下ごしらえで豚レバー特有の臭みを抜き、食べやすくしたレバカツ。豚レバーは苦手という人でも大丈夫。特製ソースレバカツ310円(2枚・税別)
その五

ご主人の確かな腕と味に惚れたという常連さんには、会社の社長が多い。そんな常連さんが、接待や社内の飲み会でこの店を使うこともしばしば。
その六

仕入れにより内容は変わるが、この日は牡蠣、ズワイガニ、エビ、白子、タラ、ホタテ、ハマグリ、あん肝、イワシのつみれ、金目鯛のかぶとなど約10種類の魚介類が。海鮮寄せ鍋1,450円(1人前・税別)
きたろうさんから、飯酒盃へ贈る「愛の叫び」 味にほっこり 家族にほっこり やすらぎました。———きたろう
「飯酒盃(いさはい)」
住所
電話
営業時間
定休日
東京都大田区蒲田5−10−4 桂月ビル
03-3736-1381
17:00〜23:00
不定休
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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