BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2016/3/19放送 #89 元祖やき鳥 八榮亭上店

焼き鳥の原点を神戸で発見!戦争も震災もあった百年間守り続け、決して変えなかったタレの味
創業者が始めた日本初とは?

“日本初 探し求めて はしご酒”。そんな目的の神戸スペシャル2軒目は、神戸・新開地の「元祖やき鳥 八栄亭上店」。“やき鳥”の文字の前の“元祖”、そして暖簾に染め抜かれた“創業100年”の言葉に期待して暖簾をくぐると、三代目主人の西武治さんと、四代目女将の伊藤直子さん父娘が笑顔で迎えてくれる。まずは焼酎ハイボールで常連さんと乾杯し、早速おすすめを焼いてもらうことに。「うちは“かわ”のタレ焼きが一番人気で」という女将の話を聞き、常連さんが必ず頼むという“かわ”を注文。「かわの嫌味がないね」「プリプリで、かわと思えない」と二人は大感激。朝締めの新鮮な素材、それも一番おいしい首皮の食感は格別だ。

続いての串は“み”という聞き慣れない串。「ウチのネギマはネギが挟まってないんですよ。タレに浸けられないので、身ばっかり」という“み”。そこで、きたろうさんと西島さんが気づいたのが、年季を感じさせるタレの壺。「タレも100年ものということですか?」と訊くと、「正確には103年」とご主人。103年分の鶏の旨味が凝縮されたこのタレには、お金に変えられない味が詰まっている。その味が変わらないように、シシトウやネギ、椎茸など、水分を含む野菜は絶対にタレに浸けないという。「美味しい!ネギがなくて正解かもと思わせますよ」と、103年もののタレの味のすごさを実感した西嶋さん。「空襲ってございましたよね。あの時は初代のおばあちゃんが、タレ壺を抱えて逃げたんですよ」とご主人。また神戸が震災に襲われた時、もう店で働いていたという女将は「震災の時はタレも建物も無事で、“ご先祖様が守ってくれた〜”いうてね」と、その奇跡を喜んだという。今では何があっても大丈夫なように、3カ所に分けて保存。それだけタレにこだわっているこの店に、もちろん塩焼きはない。

「歴史のある店だから、日本で初めてやったことってあったりするんじゃない?」と、きたろうさんが訊くと「(昔の焼き鳥は)手羽身とかモモとかを、鉄板の上で焼きよったんです。それでおじいちゃんが、細かく切って串にして焼いたらどうなんだろうと。日本初、おじいちゃんが串打ちして、串焼きにしたんです」。焼き鳥の元祖、というよりすべての串焼きの元祖!ご主人の言葉に思わず「なんか証拠ある?」と、きたろうさん。ご主人は「証拠は、代々伝わってきたこの話です」と笑う。

父親が認めた娘の腕前

次の串は、卵になる前の卵を焼いた“たまひも”。焼き場の前に立つ女将の手先を、じっと見つめるご主人に「娘の腕前はどう?」と、きたろうさんが訊くと「だいぶ慣れてきました。最初は怒ったり“こう焼かなあかん”とか言うてましたけどね。もう一人前です」とご主人。その言葉を聞いて「初めて言われた」と感激した女将が、涙を潤ませながら、焼きあがった“たまひも”を出してくれる。ゆで卵とは異なる食感で「これはうまいわ。卵の味はしないね」、「卵ほど味が濃くないというか」と、二人とも初めての食材に驚く。

最後に、これだけは食べて帰りたいメニューをお願いすると、意外な名前が飛び出した。「前に女優の朝丘雪路さんが来てくれはって、うちの娘と雪路さんの名前から花菜雪路丼(はなゆきじどん)って名付けていただいたんですよ」。焼き鳥丼に鶏スープをかけたこの花菜雪路丼は、シメの定番。“焼き鳥のシメは米だと思う”という主義の西島さんは「鶏の出汁って、なんでこう美味しいんでしょう」と大満足。きたろうさんも、丼を掻き込み一言「うんまい!」。店を長く続ける秘訣を聞かれたご主人は言う。「焼き鳥の味を、一生懸命守っていく、ただそれだけやと思います」。時代が変わってもこだわりは曲げない。その思いに、かつては店が嫌で嫌で家出のお金を貯めていたという女将も深くうなづく。「今ようやく店が好きになってきました。なんか最近は、おしゃべりすることがだんだん少なくなってきてる世の中だから、みんなでふれ合ってほっこりしてもらえたら、一番嬉しいなぁって」。100年続く名店は、そんな素朴な気持ちに支えられている。

八栄亭上店の流儀
その壱

主に淡路鶏・丹波鶏の朝ジメした新鮮な素材、その首皮を使用する。かわ300円(2本・税別)
その弐

野菜から出る水分が、タレの味を変えてしまうため、タレツボに野菜を浸さないのが鉄則。
その参

タレに浸すことができないため、ねぎまからネギを抜いた鶏の身だけの串が“み”。引き締まった身の食感を楽しめる一串。“み”300円(2本・税別)
その四

鶏の部位で、卵になる前の卵がたまひもと呼ばれる。煮物などで食べられるが、ここでは串に。たまひも300円(2本・税別)
その五

その店でしか味わえない味。それも100年も続く店なら、その味を愛するお客さんは非常に多い。そうしたお客さんを裏切らないためにも、味を変えないことはとても大切。
その六

大女優・朝丘雪路さんが、四代目女将の娘の名前と、自分の名前から付けた鶏スープ丼。焼き鳥のシメにぴったりで、サラサラとお腹に納まる。花菜雪路丼650円(税別)
きたろうさんから、八榮亭上店へ贈る「愛の叫び」タレを守りつづけた四代に日本初より感激———きたろう
「元祖やき鳥 八榮亭上店」
住所
電話
営業時間
定休日
兵庫県神戸市兵庫区新開地2−6−15
078-576-2474
17:00〜21:00
日、月曜日
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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