BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2016/5/21放送 #98 四季の味 ふじ芳

苦労の日々も夫婦で乗り越え 57年、磨きに磨いた包丁の腕 味と人情に魅せられて、店は今日も繁盛、繁盛!
美味しいものを分かち合いたい常連さんが集う

東京台東区の浅草橋。惣菜の大皿がカウンターにズラリと並ぶ店「四季の味 ふじ芳」が、今回の店。包丁一本57年のご主人・藤田芳男さんと、妻・ヨシノさんの店は、夕方5時の開店と同時に連日大盛況。早速、焼酎ハイボールで常連さんと賑やかに乾杯し、会話がスタート。「やっぱり、地元の人が多いんですか」と訊くと、「うーん、地元の方は少なくてね、みなさんよそからお見えになる方ばかり」と意外な返事。わざわざ遠くから通うわけを、常連さんに訊くと「そりゃ、親父と女将さんですよ」と口をそろえる。お2人の人柄に興味をそそられつつ、まずは最初の一品をいただくことに。

最初の一品はぶりの刺身。旬は冬の素材だが、ご主人は「冬のぶりみたいに、こってり脂はのってないですけど、美味しいと思いますよ」と自信たっぷり。切り身の厚さはほどほど、キリッと立った美しい切り口は、さすがの包丁さばき。「確かにさっぱりして美味しい! これは旨味の塊」と西島さんが褒めると、お隣の常連さんが「これ美味しいですよ、筍」と“新筍・鴨はさみ焼”をお裾分け。さらに「きたろうさん、さばの立田揚げ」と、皿が回ってくる。「つまみを頼まなくていいよ〜!」と声を上げるきたろうさんに、「嬉しいのは、お客さんが帰る時に“ここは何食べても美味しいですから”って、隣のお客さんに大概言ってくれるんですよ」と、ご主人が顔をほころばせる。

ご主人は新潟の中学を卒業後、地元の有名日本料理店で働き始め、18歳の時に上京。様々な店で修行して腕を磨いていった。女将と出会ったのは、新潟の修行時代。「俺は2カ月ほど先に東京に出てきたんだけど、後を追いかけてこられたから……」と照れるご主人に、「それは違いますよ!」と笑う女将。知り合って5年後に結婚。長男が誕生した時、ご主人はまだ修行の身で、女将は子育てをしながら働いたという。そして18年後、ここ浅草橋に2人の念願だったお店を構えた。

素材の持ち味に、ひとひねり加えた絶品料理

「きたろうさんねぇ、うちには有名な塩辛があるんですよ」と、いたずらっぽい顔をしてご主人が言う。すると常連さんから「大将の塩辛、天下一品です!」と声が飛ぶ。早速いただくと、いかの切り身は白いままに、その上に漬け込んだ“いかわた”が乗っている。これを和えていただくのだが「うわ!たまらない。メチャクチャ美味しい。震えちゃった」と、西島さんが大感激。「この塩加減は多分難しいよ。ギリギリだもん」ときたろうさんが言うと「塩はほんの少ししか入ってないです」とのこと。さらなる料理は“米茄子のかにあんかけ”。トロトロに柔らかい米茄子に、アツアツのかにあんかけは相性抜群で、まるで高級料亭の味。きたろうさんが「うまいね。この味に辿り着くまで、大変だったでしょ」と訊くと、「味は一気に決めないとダメなんですよ」という。「試行錯誤をしているとね、だんだん味がどんな味だか分からなくなってくる。まぁ何十年もやってますから、どういう味になるか分かります」。これぞ、57年の経験の凄み。遠くとも通いたくなる常連さんの気持ちも、よく分かる。

最後は店の看板にも書いてある名物料理のうずら鍋。羽根と内臓以外のうずら肉と、ひな鳥のももの合挽き肉を団子でいただくのだが、肝心の鍋がグツグツ言ってない。「つゆを濁らせたくないんで煮立たせないんです。お出汁はかつお節だけで、他のものは入れてません」。シンプルだが、こだわりは十分。うずらの少し甘い旨味と、かつおだしが溶け合ったその味は、そうそう出会えるものではない。西島さんが、お店を続けられた秘訣を訊くと「やっぱり、うちのお母さんのおかげだと思いますね。本当にありがたいって思っています」とご主人。苦労の時代も二人三脚。「10年くらい前から、連休は必ずお母さんとどこかへ行くようにしています。今までどこにも行ったことなかったですから」。大変な時代も包丁の腕を頼りに生きてきた2人が、これから人生を謳歌する。そんな人が作る料理を食べれば、誰だって幸せな気持ちになるに違いない。

ふじ芳の流儀
その壱

冬が旬のぶりだが、15歳から包丁を握ってきたご主人の手にかかれば、絶品の刺身に。その厚さにこだわりアリ。ぶり刺身1,400円(税別)
その弐

「ここは何を食べても美味しい」と口をそろえる常連さんが、ちょっと食べてみてほしいと、お裾分けをしてくれる。新筍・鴨はさみ焼1,000円(税別)、さばの立田揚げ800円(税別)
その参

塩をほとんど使わず、いかわたの旨味が堪能できるご主人自慢の一品。いかわた塩辛750円(税別)
その四

柔らかい米茄子に、上品な味付けのかにのあんをかけ、その素材の持ち味を生かす。素材の硬軟を考えた料理作りも、ご主人のこだわり。米茄子かにあんかけ950円(税別)
その四

うずら肉とひな鳥のモモの合挽き肉を使ったお鍋。カツオだしと肉からの旨味が溶け合った鍋は絶品!うずら鍋3,600円(2人前・税別)
きたろうさんから、ふじ芳へ贈る「愛の叫び」出会いが生んだ こだわりの味 大将これからが青春!!———きたろう
「四季の味 ふじ芳」
住所
電話
営業時間
定休日
東京都台東区浅草橋4−1−2
03-3866-6229
17:00〜23:00
日曜、祝日
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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