「焼酎ハイボール」酒場を巡る旅 豊田屋

北風が吹くと恋しくなる「大衆酒場」旨み満載の絶品鍋には誰も抗えない

最近は“チューハイ”の語源を知らない人も多いようだが、「焼酎ハイボール」のことである。昭和20年代、東京下町の大衆酒場で、庶民でも手が届きやすい焼酎を飲みやすくするために、店主がソーダ水などで薄めたことがはじまりだ。

寒さが厳しくなるにつれて恋しくなるのが、熱い鍋をつつきながらの一杯。とりわけ酒との相性がいいアンコウや白子など旨味たっぷりの鍋に、世の左党たちの食指は動く。

JR総武線平井駅から歩いてすぐの「豊田屋」は、そんな呑兵衛たち垂涎の的。冬場はずっと先まで予約で埋まり、土曜には予約不要のカウンター狙いの客で3時間待ちになることもザラの超繁盛店だ。

まずは名物、合鴨肉のカモニラ炒めと鰻の肝焼きを肴に、焼酎ハイボールで喉を潤す。「ジョッキに焼酎とソーダがほぼ1対1。しかも氷はなし。この濃さと量がニクいよね」

この日、マッキー牧元さんが選んだのは、アンコウの肝入り鍋と白子鍋を1人前ずつ、一つの鍋で味わう組み合わせ。

北海道産に拘るアンコウは5kg以上の大物。真鱈の白子も北海道産か青森産の極上品。その他の食材も生の国産品を厳選するが、何を頼んでもお手頃価格でボリューム満点。「こりゃ繁盛するわけだ」と、マッキーさんも納得顔だ。

鍋は店主の関口義雄さんが各テーブルを回って仕上げてくれる。アツアツのアンコウと白子をハフハフ頬張っては、焼酎ハイボールをグビリ。

「ああ、もう、言うことなし。つゆの味付けは日本酒と信州味噌ですか? ホッとする味わいで、焼酎ハイボールとの相性も完璧。止まらなくなっちゃうよ……もう一杯!」

この時期、一度は訪れたい「鍋の聖地」が、ここにある。

カモニラ炒め1〜2センチ幅に切った合鴨をサラダ油で炒める。1センチ幅に切った玉ねぎと、コチュジャン、日本酒を加え、玉ねぎが少し透き通ってきたところで、もやしとニラを追加してさっと炒める。醤油、胡椒、うま味調味料で味を整えたら、「焼酎ハイボール」が止まらない一品の出来上がり!

「豊田屋」
メニューは一人前から楽しめる各種鍋を中心に、刺身や焼き鳥、揚げ物、餃子、珍味までバラエティ豊か。何度でも通いたくなる。
東京都江戸川区平井6-15-23
03-3618-1674
16:30〜22:30
日曜
  • ※ 2018.12.10掲載分
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