「焼酎ハイボール」酒場を巡る旅 船堀伊勢周

和洋中120種の肴が待つ夢の酒場で
67年間飲み継がれる「焼酎ハイボール」

最近は“チューハイ”の語源を知らない人も多いようだが、「焼酎ハイボール」のことである。昭和20年代、東京下町の大衆酒場で、庶民でも手が届きやすい酒、焼酎を飲みやすくするために、店主がソーダ水などで薄めたことがはじまりだ。

創業は昭和27年。67年間変わらない秘伝のレシピで作る焼酎ハイボールで人気を博すのが、船堀駅から徒歩15分の大衆酒場「伊勢周」。大きなL字型のカウンターに腰を落ち着けたマッキー牧元さんは、早速焼酎ハイボールを注文。女将さんはキンキンに冷えた氷なしのジョッキに強炭酸ソーダを注ぐと、特製の“もと”を豪快に加え、レモンスライスを浮かべた。たっぷりの量と、なんと無料というお通しの煮込みに笑顔がこぼれる。「ここの焼酎ハイボールは炭酸がしっかり効いていて、キレ味鋭く、スイスイ飲めるタイプだね」と、煮込みをつつきながら、マッキーさんは、早くも一杯目を飲み干した。「伊勢周」は酒屋に勤めていた初代が脱サラ開業、現在は2代目の尾崎成春さんと女将の貞子さん、息子の浩之さんが切り盛りしている。もつ焼きがメインだった料理は次第に種類が増えていき、今やその数常時120種以上。鮮魚のお造りや揚げ物、焼き物はもちろん、グラタンやナポリタン、〆には本格ラーメンまでもが用意されている。

マグロのブツとタンドリーチキンを肴にグラスを傾けていると、どんどん席が埋まってきた。ついにカウンターはいっぱいかと思いきや、なんとL字の端で内側に折り返し、見知らぬ客が向かい合う形に。これがいつもの光景だという。

店と客が一体となって生み出す居心地の良さに、大衆酒場の理想形を見る気がした。

イカネギ塩炒めロールイカの皮に切れ目を入れて適当な大きさにカット。ネギは斜め切りに。フライパンに油をひいてイカを炒める。半分火が通ったところでネギを加え、塩コショウ、ダシの素で味付け。最後にオリーブオイルを回しかけて完成。アツアツを冷えた「焼酎ハイボール」と一緒にどうぞ

「伊勢周」
辛口の焼酎ハイボールと、もつ焼きをはじめとする和洋中120 種もの肴で地元客に愛される、下町の老舗大衆酒場
東京都江戸川区松江3-3-4
03-3651-6013
16:00〜23:00
木曜
  • ※ 2019.8.22掲載分
  • ※ 当サイトの掲載情報は各媒体の発行時期の内容のものになります。

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