「焼酎ハイボール」酒場を巡る旅 錦糸町三四郎

昭和の香り漂う錦糸町の名酒場で
穏やかに嗜む「焼酎ハイボール」

最近は“チューハイ”の語源を知らない人も多いようだが、「焼酎ハイボール」のことである。昭和20年代、東京下町の大衆酒場で、庶民でも手が届きやすい酒、焼酎を飲みやすくするために、店主が炭酸水などで割ったことが始まりと言われている。

JR錦糸町駅南口に昭和26 年から暖簾を掲げる老舗居酒屋「三四郎」は、平日夕方5時の開店と同時に賑わいだす。入口脇の焼き台から漂う香ばしい煙の奥には、美しい白木のV字型カウンターが厨房まですっと伸びている。

「昔から何度か来ているけど、ここはずっと変わらないなあ。いい意味で昭和のまま時が止まっている」とマッキーさん。

まずは売り切れ必至のくりから焼き(鰻の串焼き)を注文し、多くの客が一杯目に頼む焼酎ハイボールでひと息つく。こちらの焼酎ハイボールは強炭酸の辛口タイプ。甘めのタレを使った焼き物や、どぜう鍋をつつきながらグビリとやるのが、マッキーさんのお気に入りのスタイルだ。

くりから焼きの濃厚な旨味に唸り、たまらずお代わりを注文。看板メニューのもつ焼きも期待を裏切らない旨さだ。「私が嫁いだ昭和46年頃は一番忙しい時代でね、不思議と官公庁や病院勤めの堅いお仕事の方に贔屓にされました。当時の飲み屋では酔ったお客同士のいざこざもよく起きたものだけど、三四郎なら安心して飲めるって、穏やかに飲みたい人に好まれたんです」

名物女将・棚橋ケイコさんの温和な人柄を表すかのように、磨かれ続けた檜のカウンターは、すっかり角が取れて滑らかな手触りに。今年の3月から焼場を守るのは息子の良一さん。伝統の味は次世代へと受け継がれ、穏やかな口福をもたらし続けている。

五色いもお好みの刺身と大和芋を和えた、いわゆる“ばくだん” のような一品。塩もみして水気を切った薄切りのきゅうり、マグロ、タコ、イカ、イクラを、すりおろした大和芋の上に盛り、卵黄をのせて、海苔を散らすだけ。醤油をかけて混ぜながらいただけば、一口ごとに多彩な味を楽しめる。「焼酎ハイボール」との相性も完璧!

「三四郎」
これぞ昭和の居酒屋という凛とした風情がたまらない。マグロやアジの刺身から、どぜう鍋、とんかつまで料理も充実
東京都墨田区江東橋3-5-4
03-3634-0346
平日17:00〜22:00、土曜12:30〜17:00
日曜・祝日
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