「焼酎ハイボール」酒場を巡る旅 新小岩やきとり
おばこ

超辛口の「焼酎ハイボール」と
絶品もつ焼きの幸せな“饗宴”

最近は“チューハイ”の語源を知らない人も多いようだが、「焼酎ハイボール」のことである。昭和20年代、東京 下町の大衆酒場で、庶民でも手が届きやすい酒、焼酎を飲みやすくするために、店主が炭酸水などで割ったことが始まりと言われている。

新小岩駅前の喧騒を離れた住宅街に「やきとり おばこ」の赤提灯は静かに灯る。まもなく創業63年を迎える老舗だ。昨年からは、初代のお孫さんである堀裕子さんと、ご主人の賢一郎さんが引き継ぎ、夫婦で店を切り盛りしている。

看板メニューである“やきとり”は豚のもつ焼きのこと。マッキー牧元さんは、同店自慢のもつ焼きを頼むと、お決まりの酎ハイ(焼酎ハイボール)で今宵の一杯をスタートした。「これはキリッとしてうまいね〜。超辛口とも言えるけど、口当たりはソフト。氷がないから最後まで薄まらず、スイスイ飲み切れるのもいい」

一般的な焼酎ハイボールは琥珀色のものが多いが、こちらのそれは無色透明、要望がなければ氷も入れない。キンキンに冷やした宝焼酎と炭酸水を裕子さんが絶妙な配合で混ぜてくれるのだが、じつは、焼酎にあらかじめレモン風味のエキスを少量加えている。「抜群の飲みやすさの秘密はそれか! 真の酒呑みのための焼酎ハイボールだね」

賢一郎さんが丁寧に焼き上げる“やきとり”は、そんな至高の一杯の幸せな伴走者だ。どれも大ぶりで肉厚。ジューシーな味わいで、ほんのり山椒を効かせた塩、コクがあるのにすっきりした甘みのタレ、どちらも甲乙つけがたい。「お酒もお料理も、子供の頃から見ていた祖母のやり方を守っているだけ」と裕子さん。その味は、時代を超えて酒呑みを惹きつけ続けている。

柿ときのこの白和え木綿豆腐をしっかり水切りしておく。椎茸、しめじ、きくらげなどお好みのキノコを食べやすい大きさに切って塩茹でする。豆腐に顆粒だし、ごま油、白ごま、冷ましておいたキノコを加えて崩し混ぜ、食べる直前に、皮をむいて切った柿と軽く和えたら完成。柿の甘みと豆腐のコクが辛口の「焼酎ハイボール」によく合う

「やきとり おばこ」
丁寧に焼き上げられる大ぶりのもつ焼きと、季節の野菜を使った一品料理が楽しめる
東京都江戸川区松島4-33-6
03-3653-0852
17:00 〜 22:00(L.O.21:30)
木曜、第3 水曜
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    営業時間等に関しましては、店舗にお問い合わせください。12月1日取材
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