「焼酎ハイボール」酒場を巡る旅
葛飾 小鳥

西日暮里に夫婦二人三脚で42年
円熟の焼き鳥と焼酎ハイボール

最近は“チューハイ”の語源を知らない人も多いようだが、「焼酎ハイボール」のことである。昭和20年代、東京下町の大衆酒場で、庶民でも手が届きやすい酒、焼酎を飲みやすくするために、店主が炭酸水などでったことが始まりと言われている。

西日暮里駅のほど近く、京成線と日暮里・舎と ね り人ライナーに挟まれた裏路地に「小鳥」はある。カウンター6席とテーブル1卓の小上がりという小体なこの店は、斉藤清美さん・きよ美さん夫妻が昭和55年に開業し、以来二人三脚で実直に営んできた。

残暑の夕刻、マッキー牧元さんが喉を潤すのはもちろん、焼酎ハイボールだ。氷屋から届く大きな塊から割った氷と宝焼酎が入ったグラスに小瓶の炭酸水を注ぎ、レモンスライスを添えるのが小鳥流だ。 「旨いっ! かなりドライなタイプで、焼き鳥のタレや脂をさっと流してくれるから、もう1本、もう1杯と、ついつい進んじゃう味だね」

古希を迎えるご主人は、秋田の高校を卒業後、西日暮里駅前の焼き鳥店に入り、店長まで務め、その店の応援のもとに近隣での独立を果たした。かわいい店名の由来を聞くと、「小さな焼き鳥屋だから」。 ご主人が付きっきりで丁寧に焼き上げる焼き鳥はどれも間違いない旨さ。そして、脇を固める一品料理も実にバラエティに富んでいる。

「日替わりにおひたしが3種類もあるよ。さつま揚げの唐揚げなんてのも面白いし、手間を惜しまず、旨いものを食べさせたいという心意気が伝わってきて、毎日通いたくなるよね。大将! しめ鯖と、焼酎ハイボールをお代わり!」 ガタゴトと電車が行く音に、たゆたう煙。ゆるりと幸せな時の流れがここにはある。

さつま唐揚げさつま揚げをさらにもう一度揚げるというアゲアゲな一品。さつま 揚げを2センチ幅に切り、おろしニンニクと醤油を混ぜたタレに絡ませる。片栗粉をまぶして、からりと揚げる。大根おろしがよく合う。辛口の「焼酎ハイボール」と間違いない組み合わせだ!

「小鳥」
仕込みから焼きまで丁寧な仕事が光る正統派焼き鳥店。鮮魚や季節の野菜を使った日替わりの一品料理も充実している。
東京都荒川区西日暮里5-31-5
03-3806-0147
17:00 〜25:00
日曜

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